特別支援学級の「その後」は?中学卒業後の進学・就職を公的データで確認【2026年10月時点】

休日の明るいリビングで、ソファに並んで座り、無地の進路パンフレットを一緒に見る日本人の母親と中学生くらいの女の子 療育・制度

中学校の特別支援学級を卒業した生徒の93.7%は、高校や特別支援学校高等部に進学しています(文部科学省、2024年3月卒業者)。卒業してすぐ就職した生徒は0.8%でした。

「特別支援学級に入ると、その先がない」という話を見かけることがあります。国の統計を見るかぎり、中学卒業の時点で行き先がなくなる生徒はごく少数です。

この記事では、特別支援学級の卒業後の進学先、特別支援学校を出たあとの就職、障害者雇用の現状、学びの場を途中で変えられるかを、2026年10月14日に確認した国・東京都・八王子市の資料で整理します。

特別支援学級の「末路」は?データで見る全体像

中学卒業時、高等部卒業時、働いている人を、卒業証書の筒・カバン・作業台と椅子で並列に整理した図解

「末路」という言葉が当てはまるような、決まった行き先はありません。進路は、高校、特別支援学校高等部、専修学校などに分かれています。

時点国の統計で分かること
中学の特別支援学級を卒業したとき93.7%が進学。就職は0.8%(2024年3月卒業者・全国)
特別支援学校を卒業したとき一般企業などへの就職は約29.8%、就労系の障害福祉サービスの利用は約34.5%(2025年3月卒業者・全国。厚生労働省の資料)
働いている障害のある人常用労働者40.0人以上の民間企業に雇用されている障害者の数は70万4,610.0人で、22年連続で過去最高(2025年6月1日時点)

ただし、国の統計には分からないこともあります。2026年10月時点で、文部科学省「特別支援教育資料(令和6年度)」には、中学の特別支援学級から高校に進んだ人が、高校を出たあとどうなったかの集計は載っていません。高等部の数字は、高等部に進んだ人の数字です。

特別支援学級に通う子どもは10年で約2倍

明るい小さな教室で、私服の子どもたちがそれぞれ学び、先生がそばで見守っているイラスト

特別支援学級に在籍する小・中学生は、2024年5月1日時点で39万4,785人でした。小学校が28万1,167人、中学校が11万3,618人です(文部科学省)。

年度在籍者数(全国・国公私立)
2014年度(平成26年度)18万7,100人
2019年度(令和元年度)27万8,140人
2022年度(令和4年度)35万3,438人
2024年度(令和6年度)39万4,785人

2024年度の在籍者は、2014年度の約2.1倍です(当サイトが計算)。

翌2025年5月1日時点では、さらに増えて41万9,700人でした(文部科学省「学校基本調査」令和7年度確定値。小学校29万5,723人、中学校11万8,737人、義務教育学校5,240人を当サイトが合計)。

障害の種類では、自閉症・情緒障害と知的障害の学級に通う子がほとんどです。小学校では自閉症・情緒障害が15万899人、知的障害が11万8,978人でした。中学校では自閉症・情緒障害が5万7,486人、知的障害が5万1,518人です(義務教育学校を除いた集計)。

特別支援学級は、もう少数の子だけの場所ではありません。支援級の基準や、通常の学級との違いは、特別支援学級の基準と特別支援学級と通常の学級・通級の違いにまとめています。

種類ごとの在籍者数や、知的障害の学級と自閉症・情緒障害の学級の違いは、特別支援学級の種類は7つ|知的と情緒の違い・東京都と八王子市の実際で紹介しています。

中学の特別支援学級を卒業したあとの進路

高校・特別支援学校高等部・専修学校など・就職を、同じ淡い色調の異なる屋内場面で並列に示した図解

中学の特別支援学級の卒業者は、多くが高校か特別支援学校高等部に進みます。

全国(2024年3月卒業者)

進路人数割合
高校等に進学1万9,151人59.5%(当サイトが計算)
特別支援学校高等部に進学1万1,004人34.2%(当サイトが計算)
進学の合計3万155人93.7%
専修学校・職業能力開発校など650人2.0%
就職者等253人0.8%
その他(社会福祉施設への入所・通所を含む)1,127人3.5%
卒業者の合計3万2,185人-

出典は文部科学省「特別支援教育資料(令和6年度)」です。「高校等」には、高等専門学校と中等教育学校の後期課程を含みます。

高校等への進学がいちばん多く、約6割です。「支援級からは高校に行けない」というのは、全国の数字とは合いません。

東京都(2024年度卒業者)

東京都の公立の中学校・義務教育学校の特別支援学級(通級指導学級を除く)を卒業した1,768人のうち、1,701人(96.2%)が進学しました(東京都教育委員会、2025年5月1日現在の調査)。

進学先人数進学者に占める割合
特別支援学校高等部1,001人58.8%
高校の全日制(高等専門学校を含む)181人10.6%
高校の定時制127人7.5%
高校の通信制392人23.0%

卒業年と対象(全国は国公私立・2024年3月卒業、東京都は公立・2025年3月卒業)が異なりますが、東京都では全国より高等部に進む割合が高く、高校の中では通信制が多くなっています。就職者等は5人でした。

高校受験の内申の扱いは、都道府県によって違います。東京都の都立高校入試では、全ての教科を特別の教育課程で学ぶ固定の特別支援学級の生徒は、中学校が作る成績一覧表の記載人員に含めない、と定められています(令和9年度入試の実施要綱)。受験の方法と選択肢は、特別支援学級から高校受験はできる?で詳しく説明しています。

特別支援学校を卒業したあとの就職

一般企業などで働く、障害福祉サービスを利用する、進学するを、デスク・作業台・本の同じ大きさのカードで示した図解

厚生労働省の資料によると、特別支援学校の卒業生(2025年3月卒業、2万1,001人)のうち、一般企業などに就職した人は約29.8%でした。就労系の障害福祉サービスを利用した人は約34.5%です。

特別支援学校高等部の卒業者について、文部科学省の資料(2024年3月卒業者)は次のように示しています。

進路(2024年3月卒業者・全国)全体(2万641人)うち知的障害(1万8,217人)
就職者等29.5%32.0%
社会福祉施設等への入所・通所62.1%61.0%
大学などへの進学1.8%0.5%

高等部卒業者の就職率は、2018年3月卒業者の31.2%から、2024年3月卒業者の29.6%まで、30%前後で推移しています(文部科学省の推移表。臨時労働者を含む)。同じ年の就職者等の割合は、上の表では29.5%で、資料の中で0.1ポイント違っています。

ここで気をつけたいのは、高等部の卒業者には、中学の特別支援学級から進んだ人と、特別支援学校の中学部から進んだ人の両方が含まれることです。障害の程度もさまざまです。この数字は「支援級の子の就職率」ではありません。

高等部を修了すると、大学の入学資格も得られます(文部科学省、2024年6月時点)。

「就職できない」は本当か|障害者雇用は増えている

明るい職場で若い大人と同僚が並んで作業し、そばの上司や支援員が穏やかに声をかけているイラスト

「特別支援学級だと就職できない」とは言えません。障害のある人を雇う企業は増えています。

厚生労働省の調査(2025年6月1日時点)では、常用労働者40.0人以上の民間企業に雇用されている障害者の数は70万4,610.0人でした。前年より4.0%増え、22年連続で過去最高です。この数は、重度の人を2人、短時間で働く人を0.5人として数える(例外あり)雇用率の計算上の数で、実際の人数とは違います。小数点が付くのはそのためです。

障害の種類雇用されている障害者の数(2025年6月1日時点)前年比
身体障害37万3,914.5人1.3%増
知的障害16万2,153.5人2.8%増
精神障害16万8,542.0人11.8%増

企業に義務づけられた障害者の雇用の割合(法定雇用率)は、2026年7月に2.5%から2.7%に上がりました。対象は、従業員37.5人以上の企業です(厚生労働省のリーフレット)。一方で、法定雇用率を達成している企業は46.0%にとどまります(2025年6月1日時点。当時の法定雇用率2.5%のもとでの数値)。

働く場所は、企業だけではありません。就労移行支援などの障害福祉サービスから一般企業に就職した人は、2024年に約2.9万人でした。前年より約9%増えています(厚生労働省)。

就労系の障害福祉サービス内容利用者(2025年3月)
就労移行支援一般企業への就職をめざして訓練する。標準利用期間は2年約3.7万人
就労継続支援A型事業所と雇用契約を結んで働く約8.5万人
就労継続支援B型雇用契約を結ばずに、就労や生産活動の機会を得る約38.8万人

就労移行支援の選び方や、八王子市の事業所の情報は、姉妹サイトの就労移行支援の保健室で紹介しています。

療育手帳と障害者雇用の関係

淡い緑・ベージュ・青で色と形を描き分けた無地の手帳と判定書で、確認書類と本人が選べることを示した図解

障害者雇用の枠で働くとき、企業の雇用率に数えられるかどうかは、手帳などで確認されます。

障害確認に使うもの(厚生労働省のガイドライン)
知的障害療育手帳(東京都では愛の手帳)、または児童相談所や障害者職業センターなどの判定書
精神障害精神障害者保健福祉手帳
身体障害身体障害者手帳

ガイドラインが挙げる確認書類に、特別支援学級の在籍歴は含まれていません。在籍と手帳は別の仕組みです。

障害者雇用の枠を使うか、使わずに働くかは、本人が選べます。手帳を取るかどうか迷うときは、高校や高等部の進路指導の先生、ハローワークの専門の窓口などに相談するとよいでしょう。

学びの場は途中で変えられる

特別支援学級と通常の学級を同じ大きさで並べ、担任・コーディネーター・就学相談への相談を示した図解

特別支援学級に入ったら、卒業までずっと支援級というわけではありません。文部科学省の通知(2013年)は、就学時に決めた「学びの場」は固定したものではなく、柔軟に転学できることを関係者の共通理解とすることが適当だ、としています。

文部科学省の通知(2022年)は、特別支援学級の子は、原則として週の授業時数の半分以上を目安に支援級で学ぶ、としています。大半の時間を通常の学級で学んでいる場合は、学びの場の変更を検討するべきだ、とも書いています。

変更の方向確認すること
支援級から通常の学級へ通常の学級で過ごす時間を少しずつ増やしてから移る方法もある(2022年の通知)
通常の学級から支援級へ八王子市では、特別支援学級への年度途中の転学は、転学先の学級に定員の余裕がある場合に限られる(市の就学相談ガイド)

変更を考えるときは、担任と特別支援教育コーディネーター、市区町村の就学相談の窓口に相談します。

支援級のデメリットと言われること|事実を確認

高校進学、内申点、学級の変更、近くの学校についての四つの質問を、虫めがね付きの札で並列に示した図解

インターネットで「デメリット」として挙げられることを、公式の資料と照らし合わせました。

言われること公式の資料で確認できること
高校に行けない全国では、中学の支援級の卒業者の約6割が高校等に進学している(2024年3月卒業者)
内申点がつかない扱いは都道府県と在籍の形で違う。東京都では、全教科を特別の教育課程で学ぶ固定学級の生徒は、都立入試の成績一覧表の記載人員に含めない
一度入ると戻れない国の通知は、学びの場は固定したものではないとしている
近くの学校にない支援級はすべての学校にあるわけではない。八王子市の知的障害の固定学級は、小学校28校・中学校20校(2025年4月1日現在)

デメリットがゼロというわけではありません。当サイトとしては、内申の扱いと通学先の2点は、入る前に必ず確認してほしいと考えています。中学の支援級の様子は、中学校の特別支援学級にまとめています。

偏見や心ない言葉を向けられたとき

図書室で私服の子どもたちが対等に本を見ながら穏やかに話し、ひとりで抱えなくていいと伝えるイラスト

支援級について、心ない言葉を向けられることがあります。そうした言葉を、子どもや家族が受け止め続ける必要はありません。

障害者差別解消法は、行政機関等と事業者が、障害を理由に不当な差別的取扱いをすることを禁じています(第7条・第8条)。公立学校も私立学校も、この法律の対象です。

同級生などからの言葉は、学校のいじめへの対応で扱います。国の「いじめの防止等のための基本的な方針」は、障害のある子どもがかかわるいじめについて、教職員が障害の特性への理解を深め、個別の教育支援計画などで情報を共有しながら指導することを求めています。

通常の学級の子と一緒に学ぶ「交流及び共同学習」について、文部科学省のガイドは、障害のある子にもない子にも、お互いを尊重し合う大切さを学ぶ機会になる、としています。

「ずるい」と言われたときの考え方は、特別支援学級は「ずるい」?で説明しています。

有名人の名前とあわせて支援級の話が出回ることもあります。本人の発言で確かめられた例と、出回る情報の注意点は、特別支援学級に通っていた有名人は?本人が語った例と「学級・通級・学校」の違いにまとめています。

八王子市の特別支援学級

知的障害の固定学級、学級の人数、案内される学校、特別支援教室を、人数の目安を示さない無地の名簿用紙などで確認する図解

八王子市では、知的障害の固定の特別支援学級が、小学校28校と中学校20校に置かれています(市の就学相談ガイド、2025年4月1日現在)。

項目八王子市の状況
知的障害の固定学級小学校28校、中学校20校
1学級の人数全学年を合わせて8人で1学級
案内される学校原則、住まいから最も近い設置校
自閉症・情緒障害の固定学級2025年の時点で未設置。他の自治体で自閉症・情緒障害の固定学級に在籍していた子が転入する場合、知的障害がなければ、原則として通常の学級に在籍し、特別支援教室を利用する形で就学相談が始まる
特別支援教室(校内通級)巡回校を含めると全校に設置

八王子市は、2027年4月に開設する新しい特別支援学級と特別支援教室拠点校も案内しています。最新の設置校は、市のホームページで確認してください。

療育の全体像は療育とは?内容・効果の考え方・いつから始めるかで整理しています。

よくある質問

高校進学、就職、不利になるか、学級の変更、在籍者の増加、大学についての六つの質問を整理した図解
Q
特別支援学級に入ると、高校に行けなくなりますか?
A

行けなくなるわけではありません。全国では、中学の特別支援学級の卒業者の93.7%が進学し、約6割が高校等に進んでいます(2024年3月卒業者)。

Q
特別支援学級の卒業生は、就職できないのですか?
A

中学を卒業してすぐ就職する人は0.8%と少数で、多くは進学します。特別支援学校の卒業生では、約29.8%が一般企業などに就職しています(2025年3月卒業者)。ただし、特別支援学校の卒業生には、支援級以外から進んだ人も含まれます。支援級出身の人だけの数字ではありません。

Q
特別支援学級にいたことは、就職のときに不利になりますか?
A

障害者雇用の枠では、雇用率の確認に手帳などを使います。厚生労働省のガイドラインが挙げる確認書類に、支援級の在籍歴は含まれていません。障害者雇用の枠を使うかどうかは、本人が選べます。

Q
特別支援学級から通常の学級に戻れますか?
A

戻ることは可能です。文部科学省の通知は、発達の程度や適応の状況などを見ながら柔軟に転学できることを、関係者の共通理解とするのが適当だとしています。通常の学級で過ごす時間を少しずつ増やしてから移る方法もあります。

Q
特別支援学級の人数は増えていますか?
A

増えています。2024年5月1日時点で39万4,785人で、2014年度の約2.1倍です。2025年5月1日時点では41万9,700人でした(学校基本調査の小学校・中学校・義務教育学校を当サイトが合計)。

Q
高等部を卒業したら、大学には行けますか?
A

特別支援学校の高等部を修了すると、大学の入学資格が得られます。ただし、2024年3月卒業者で大学などに進学した人は1.8%でした。

Q
特別支援学級に通うのは、おかしいことですか?
A

おかしいことではありません。特別支援学級は、学校教育法にもとづいて小・中学校などに置かれる学級です。2025年5月1日時点で、全国で41万9,700人が在籍しています(文部科学省「学校基本調査」の小学校・中学校・義務教育学校を当サイトが合計)。障害者差別解消法は、行政機関等と事業者が、障害を理由に不当な差別的取扱いをすることを禁じています。

まとめ

明るい朝の並木道を、私服の日本人の若い大人が落ち着いた表情で一人で歩いている写真
  • 中学の特別支援学級の卒業者の93.7%は進学しています。約6割が高校等、約3割が特別支援学校高等部です(2024年3月卒業者・全国)
  • 特別支援学校の卒業生は、約29.8%が一般企業などに就職し、約34.5%が就労系の障害福祉サービスを利用しています(2025年3月卒業者)
  • 常用労働者40.0人以上の民間企業に雇用されている障害者の数(雇用率の計算上の数)は70万4,610.0人で、22年連続で過去最高です。法定雇用率は2026年7月に2.7%に上がりました
  • 学びの場は途中で変えられます
  • 入る前に、高校受験の内申の扱いと通学先を確認しておくと安心です

※本記事は2026年10月14日時点の、国・東京都・八王子市の公開情報にもとづく一般的な情報提供です。進路や就学先の判断は、学校や市区町村の就学相談の窓口、医療機関などにご相談ください。制度や設置校は変わることがあります。

主な出典(いずれも2026年10月14日確認):文部科学省「特別支援教育資料(令和6年度)」/文部科学省「学校基本調査」令和7年度確定値(e-Stat。小学校 表51、中学校 表78、義務教育学校 表105)/文部科学省「障害のある児童生徒等に対する早期からの一貫した支援について(通知)」(平成25年)/文部科学省「特別支援学級及び通級による指導の適切な運用について(通知)」(令和4年)/文部科学省「障害のある子供の教育支援の手引」/文部科学省「交流及び共同学習ガイド」(2019年)/文部科学省「いじめの防止等のための基本的な方針」/文部科学省「大学入学資格について」/東京都教育委員会「令和7年度 公立学校統計調査報告書 公立学校卒業者(令和6年度)の進路状況調査編」/東京都教育委員会「令和9年度東京都立高等学校入学者選抜実施要綱」/厚生労働省「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」/厚生労働省「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について」/厚生労働省「プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドライン」/厚生労働省 障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(第64回)資料「就労系サービスに係る報酬・基準について」/障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(e-Gov法令検索)/八王子市「特別支援学級」と「就学相談ガイド」

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