通所受給者証(正式には「障害児通所受給者証」)とは、児童発達支援や放課後等デイサービスなどの通所支援を、自己負担1割で利用するために市区町村が発行する証明書です。
最初に、最も多い誤解を解いておきます。受給者証は療育手帳とは別の制度で、手帳がなくても取得できます。「手帳を取るほどではない」「診断を受けるか迷っている」段階の子でも、医師の意見書などがあれば発行される自治体が多数——つまり、療育を始めるハードルは思われているよりずっと低い、ということです。
受給者証と療育手帳の違い

| 項目 | 通所受給者証 | 療育手帳 |
|---|---|---|
| 目的 | 福祉サービス(児発・放デイ等)を1割負担で使うための利用券 | 知的障害の証明。手当・割引・控除など生活全般の支援の入口 |
| 発行 | 市区町村(窓口申請) | 都道府県等(児童相談所等の判定が必要) |
| 取得の要件 | 支援の必要性(診断がなくても意見書等で可の自治体多数) | 知的障害の判定(IQ目安あり) |
| どちらが必要? | 療育に通うならこちらが必須 | 療育に通うだけなら不要 |
詳しくは療育手帳とはで解説していますが、覚え方はシンプルで、「通うための券=受給者証」「証明のカード=手帳」。両方持つ子もいれば、受給者証だけの子も多くいます。
対象になる子

法律上の対象は「障害児」ですが、実務の運用は広く、診断名が確定していないグレーゾーンの子も対象になりえます。取得の根拠として使えるのは自治体により:
- 医師の診断書または意見書(「支援が必要」という趣旨のもの)
- 保健センター・児童相談所等の意見
- 療育手帳・精神障害者保健福祉手帳(あれば)
「診断を受けるか迷っている」段階なら、まず市区町村の障害福祉窓口か児童発達支援センターに「受給者証を検討している」と相談するのが入口です。
申請の流れ|5ステップ

- 市区町村の窓口に相談——必要書類(意見書の様式など)を確認します。並行して利用したい事業所の見学を始めると効率的です
- 書類をそろえて申請——申請書・医師の意見書等・マイナンバー関係など(自治体の案内どおり)
- 調査・ヒアリング——自治体の担当者による聞き取り(子どもの様子・利用希望日数など)。「障害児支援利用計画」の作成が必要な場合は、相談支援事業所に依頼するかセルフプランで作成します
- 支給決定・交付——利用できる日数(支給量)が決まり、受給者証が交付されます。申請から交付まで数週間〜1〜2カ月が目安です
- 事業所と契約して利用開始——受給者証を提示して契約します
急いでいる場合のコツは、窓口相談と事業所見学を同時並行にすること。人気事業所は空き待ちがあるため、交付を待ってから探し始めると二重に待つことになります。
「支給量」とは|月に使える日数

受給者証には支給量(月あたりの利用可能日数)が記載されます(例:「月10日」)。ここは実務上のポイントが3つ:
- 支給量は申請時のヒアリングをもとに自治体が決めます。希望する利用ペースは遠慮なく伝えてください
- 複数の事業所を併用する場合も、合計が支給量の範囲内であればOKです
- 生活の変化で足りなくなったら、変更申請で増やせます(減らすことも可能)
費用|1割負担と月額上限

受給者証で利用する通所支援は、自己負担1割+世帯所得に応じた月額上限です(国制度・全国共通)。
| 世帯区分 | 月額上限 |
|---|---|
| 生活保護・住民税非課税世帯 | 0円 |
| 住民税課税世帯(所得割28万円未満・年収目安約890万円以下) | 4,600円 |
| 上記以上の世帯 | 37,200円 |
満3歳後の4月1日から就学までの3年間は無償化の対象です(児童発達支援)。費用のしくみは療育とは・放課後等デイサービスとはでも解説しています。
更新について

受給者証には有効期間があり、1年ごとの更新が一般的です(自治体により異なります)。期限が近づくと案内が届くので、期日までに更新手続きを行ってください。更新時に支給量の見直し(増減)も相談できます。
よくある質問

Q. 療育手帳がなくても本当に取れますか?
取れる自治体が多数です。受給者証の根拠は「支援の必要性」であり、手帳の有無ではありません。窓口で「手帳はないが医師の意見書はある(または取れる)」と伝えれば、手続きを案内してもらえます。
Q. 診断がついていない場合はどうすればいいですか?
医師の「意見書」(診断名の確定がなくても「支援が必要」という趣旨の書面)で申請できる自治体が多くあります。かかりつけの小児科・発達外来に「受給者証の申請に意見書が必要」と伝えて相談してください。
Q. どこで申請しますか?
お住まいの市区町村の障害福祉課(自治体により名称は異なります)です。児童発達支援センターや利用予定の事業所も、手続きの案内に慣れているので相談先になります。
Q. きょうだいで使う場合はそれぞれ必要ですか?
はい、受給者証は子ども一人ずつの発行です。負担上限は世帯単位の合算調整の仕組みがあるため、複数人利用時の負担は窓口で確認してください。
Q. 受給者証を取ると学校や周囲に知られますか?
自動的に知られることはありません。福祉サービスの利用情報が学校へ勝手に共有される仕組みはなく、学校との情報共有は保護者の判断で行うものです。
まとめ:「通うための券」。手帳より先に、気軽に取ってよい

- 受給者証=児発・放デイを1割負担で使う利用券。療育手帳とは別制度
- 手帳なし・診断確定前でも取得できる自治体が多数(医師の意見書等)
- 申請〜交付は数週間〜。窓口相談と事業所見学は同時並行が時短のコツ
- 支給量は希望を伝えてよく、あとから変更もできる
→ 療育の全体像:療育とは?内容・効果の考え方・いつから始めるか
→ 就学後の受け皿:放課後等デイサービスとは
※本記事は2026年8月時点の一般的な情報提供です。受給者証の取得要件・必要書類・支給量の運用は市区町村により異なります。必ずお住まいの自治体の障害福祉窓口でご確認ください。

