フリースクールとは、不登校の子どもが学校の代わりに通える民間の学びの場・居場所です。法律上の「学校」ではありませんが、在籍している小中学校と連携することで校長の判断により出席扱いになり、学びを止めずに次の一歩につなげられます。
費用は月2万〜5万円が中心(文部科学省調査の平均は月約3万3,000円)。東京都のように月2万円の利用料助成を出す自治体も増えています。
この記事では、フリースクールの仕組み・料金・出席扱いの条件・選び方を、初めて調べる保護者向けに整理します。
フリースクールとは——学校との違い

フリースクールは、不登校の子どもを受け入れる民間の施設です。NPO法人・企業・個人など運営はさまざまで、決まったカリキュラムの強制がなく、子どものペースで過ごせるのが共通点です。
最初に押さえたいのは「学校ではない」ことの意味です。
- 在籍はいまの小中学校のまま。フリースクールに通っても転校にはなりません
- 卒業証書は在籍校から出ます。フリースクールだけで義務教育の卒業資格が出るわけではありません
- 出席の記録は、条件を満たせば在籍校の指導要録上「出席扱い」にできます(後述)
公的な居場所(教育支援センター)との違い
似た役割の場所に、教育委員会が設置する教育支援センター(適応指導教室)があります。
| 項目 | フリースクール | 教育支援センター |
|---|---|---|
| 運営 | 民間(NPO・企業など) | 教育委員会(公的) |
| 費用 | 月2万〜5万円が中心 | 原則無料 |
| 雰囲気・プログラム | 施設ごとに多様。居場所重視から学習重視まで | 学校復帰も視野に入れた支援が中心 |
| 出席扱い | 条件を満たせば可 | 原則出席扱い |
費用を抑えたいならまず教育支援センター、雰囲気が合わない・空きがない・より多様な過ごし方をさせたいならフリースクール、という順で検討すると無駄がありません。
フリースクールのタイプ——何をする場所か

ひとくちにフリースクールと言っても、中身は施設ごとに大きく違います。大きくは4タイプです。
- 居場所型——遊び・会話・自由時間が中心。まず安心して家の外に出られることを目標にする
- 学習支援型——教科学習のサポートが厚い。学校復帰や受験を視野に入れる子向け
- 専門支援型——発達障害・HSPなど特性に応じた支援体制を持つ
- オンライン型——自宅から参加。外出がまだ難しい時期の選択肢。オンラインの居場所はN中等部などの民間スクールも含め選択肢が広がっています
どのタイプが合うかは、子どもの状態(外に出られるか・人と会えるか・学習意欲があるか)で変わります。「学習の遅れが心配だから学習支援型」と親が先に決めず、子どもの今の状態から選ぶのが失敗しないコツです。
フリースクールの料金相場

文部科学省の調査では、フリースクールの会費(授業料)は月平均約3万3,000円、入会金は平均約5万3,000円です(2015年度調査・以降全国規模の公的調査は更新されていないため目安として見てください)。
| 費目 | 目安 |
|---|---|
| 入会金 | 3万〜5万円程度 |
| 月会費 | 1万〜5万円(月3万円前後が中心) |
| その他 | 教材費・行事費・施設費などが別途かかる場合あり |
通う日数によって月額が変わる料金体系(週1日なら1万円台、週5日なら4万〜5万円など)の施設も多くあります。
自治体の助成金——東京都は月2万円
利用料への助成を出す自治体が増えています。東京都は「フリースクール等利用者等支援事業」として、都内在住の不登校の小中学生を対象に利用料月額上限2万円を助成しています。令和8年度(2026年度)は2026年5月27日から申請受付中です(2026年8月時点)。
月3万円の施設なら実質1万円になる計算で、負担感は大きく変わります。お住まいの自治体名+「フリースクール 助成」で最新の制度を確認してください。
出席扱いになる条件——校長の判断で決まる

「フリースクールに通うと出席になるの?」——なります。ただし自動ではなく、在籍校の校長の判断です。
根拠は文部科学省の通知「不登校児童生徒への支援の在り方について」(令和元年10月25日)です。義務教育段階の不登校の子どもが学校外の施設で相談・指導を受けている場合、次のような要件を満たせば指導要録上の出席扱いにできると定めています。
- 保護者と学校の間に十分な連携・協力関係があること
- 通う施設が適切な指導・支援を行っていると校長が判断できること(活動内容・スタッフ体制などの情報が学校に提供される)
- 施設に通所または入所して相談・指導を受けていること
手続きの実際
- 在籍校の担任・管理職に「フリースクールを利用したい」と伝える(先に学校に話を通すのが最重要。事後報告だと連携要件を満たしにくくなります)
- フリースクール側から活動内容・出席状況の報告書などを学校へ提供してもらう(出席扱いの実績がある施設は手続きに慣れています。見学時に「出席扱いの実績と学校への報告方法」を必ず聞いてください)
- 校長が判断し、出席扱いが認められれば、施設への通所日が在籍校の出席として記録されます
なお、出席扱いはあくまで出欠の記録の話で、教科の成績(評定)が自動的に付くわけではありません。内申が関わる中学3年生は、テストの受け方や評価の扱いも学校と相談しておくと、高校受験時に慌てません。
フリースクールの選び方——5つのチェック

- 必ず見学・体験に行く——パンフレットと現場の雰囲気は別物です。子ども本人が「ここならいい」と感じるかが最優先
- 子どもの今の状態に合うタイプか——居場所が必要な時期に学習型を選ぶと逆効果になりえます
- 出席扱いの実績があるか——在籍校との連携経験・報告書の仕組みを確認
- 費用の総額——月会費だけでなく入会金・教材費・行事費まで含めて。自治体助成の対象施設かどうかも確認
- 通い続けられる距離か——片道1時間かかると続きません。近くにない場合はオンライン型の併用も選択肢
フリースクールでよくある質問

Q. 小学生でも通えますか?
通えます。多くのフリースクールは小学生〜中学生を受け入れており、小学生の利用は年々増えています。低学年は親子同伴で過ごせる施設もあります。
Q. フリースクールに通えば中学校を卒業できますか?
卒業できます。卒業証書を出すのは在籍している中学校で、不登校のままでも校長の判断で卒業認定されるのが現在の一般的な運用です。フリースクールはその間の学びと生活を支える場所です。
Q. フリースクールにも行けない場合はどうすればいいですか?
外に出る段階でないなら、無理に通わせる必要はありません。オンライン型のフリースクールや、自宅でのICT教材学習(条件を満たせばこれも出席扱いの対象になります)から始める方法があります。まずはエネルギーの回復が先です。
Q. 無料で使える居場所はありますか?
あります。教育委員会が運営する教育支援センター(適応指導教室)は原則無料です。学校または市区町村の教育委員会に問い合わせると案内してもらえます。
Q. 高校生でも通えますか?
高校生年代を受け入れる施設もありますが、数は多くありません。高校生の場合は、在籍高校の出席の問題が絡むため、通信制高校への転校やサポート校の利用が現実的な選択肢になることが多いです。
Q. 費用の補助はありますか?
自治体によります。東京都は月額上限2万円の利用料助成があり(2026年度受付中)、他の道府県・市区町村でも助成制度が広がっています。「自治体名+フリースクール 助成」で確認してください。
まとめ:居場所が決まると、親子とも楽になる

- フリースクールは民間の学びの場。在籍校はそのまま・卒業は在籍校から
- 費用は月3万円前後が中心。東京都は月2万円の助成あり
- 校長判断で出席扱いにできる。先に学校へ相談し、実績のある施設を選ぶのが近道
- 合う施設は子どもの状態で決まる。見学・体験してから決める
日中の居場所が決まると、子どもの生活リズムだけでなく、保護者の心理的な負担も大きく軽くなります。焦らず、まず1カ所の見学から始めてみてください。
→ そもそもの現状整理はこちら:不登校とは?定義・最新の人数データ・親が最初に知ること
→ 中学生の対応と進路の備え:中学生の不登校|親ができる対応と学年別の進路の備え
→ 中学卒業後の選択肢の全体像:不登校の中学卒業後の進路|6つの選択肢を全整理
※本記事は2026年8月時点の情報に基づく一般的な情報提供であり、個別の助言に代わるものではありません。出席扱いの可否は在籍校の判断によります。助成制度の内容は自治体・年度により変わるため、最新情報は各自治体の公式案内で確認してください。
主な出典:文部科学省「小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査」(2015年度)/文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日)/東京都フリースクール等利用者等支援事業(令和8年度)

