放課後等デイサービスは、障害のある子や、発達に支援が必要な子のための福祉サービスです。使えるかどうかは市町村が決め、月に使える日数にも上限があります。希望すれば誰でも好きなだけ使える制度ではありません。
一方で、費用の大半が公費でまかなわれていること、費用が増え続けていること、不正請求の事例があることは事実です。「ずるい」という声の背景には、こうした事実もあります。
この記事では、対象・負担額・日数の決まりと、制度の課題を、2026年10月4日に確認した国と自治体の資料で整理します。
放課後等デイサービスは「ずるい」のか

当サイトは、制度の決まりを見るかぎり、利用する家庭が「ずるい」とは言えないと考えます。理由は3つあります。
- 対象は、法律で「就学している障害児」と決まっています。市町村の支給決定を受けないと使えません
- 月に使える日数は、市町村が決めます。国は、原則として「各月の日数から8日を引いた日数」を上限とするよう示しています
- 利用者は費用の1割までを負担します。所得に応じた月額の上限があります
「ずるい」と感じる側の疑問にも、もっともな点があります。次の章から、言われやすい理由を1つずつ、資料で確かめます。
制度そのものの説明は、放課後等デイサービスとは?にまとめています。
「ずるい」と言われる4つの理由

「ずるい」という声は、おもに次の4つに分けられます。
| 言われること | 事実 |
|---|---|
| 税金で使っている | 費用の9割以上は公費です。市町村が支払う給付費のうち、国が2分の1、都道府県が4分の1を負担します |
| 料金が安すぎる | 利用者の負担は費用の1割までで、月額の上限があります。市町村民税の課税世帯(収入がおおむね890万円以下)の上限は月4,600円です |
| 親が働いていなくても使える | 法律の定義に、保護者の就労の要件はありません。子どもへの支援が目的の制度だからです |
| 事業所が増えすぎている・不正がある | 事業所数と費用は増え続けています。国の資料も、不正請求による行政処分の事例があるとしています |
4つとも、事実の部分があります。そのうえで、対象と日数には決まりがあり、国が見直しを進めている点もあります。順に見ていきます。
誰が使えるのか|対象と受給者証

放課後等デイサービスの対象は、児童福祉法で、学校に就学している障害児と定められています。幼稚園と大学は除かれます。専修学校などに通う子は、市町村長が認めた場合に対象になります。
使うには、市町村に申請して、支給決定を受ける必要があります。決定を受けると、受給者証が発行されます。そのあとで、利用する事業所と契約します。
診断名や障害者手帳は、必須ではありません。国の事務処理要領は、次のように書いています。
- 医学的診断名や障害者手帳を有することは必須要件ではなく、療育を受けなければ福祉を損なうおそれのある児童を含む
- 手帳などがない場合の確認では、年齢などを考慮して、必ずしも診断名を有しなくても、障害が想定され、支援の必要性が認められればよい
「診断がないのに使えるのはおかしい」という声もあります。これは制度が決めている範囲で、支援の必要性は市町村が判断します。確認に使う書類は、自治体ごとに決まっています。
月に使える日数にも決まりがあります。国の事務処理要領は、原則として、各月の日数から8日を引いた日数を上限とする、としています。子どもの状態から市町村が必要と判断した場合は、この日数を超えて利用できます。その場合、市町村は支援の必要性を十分に確認することになっています。
受給者証のくわしい説明は通所受給者証とは?、療育手帳との違いは療育手帳とは?で扱っています。
いくら払うのか|利用者負担と、費用の出どころ

利用者の負担は、費用の1割までです。月ごとの負担には、所得に応じた上限があります(こども家庭庁)。
| 区分 | 世帯の収入の状況 | 負担の上限(月額) |
|---|---|---|
| 生活保護 | 生活保護を受けている世帯 | 0円 |
| 低所得 | 市町村民税が非課税の世帯 | 0円 |
| 一般1 | 市町村民税の課税世帯(所得割28万円未満。収入がおおむね890万円以下の世帯) | 4,600円 |
| 一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
ひと月に利用した量にかかわらず、上限を超える負担は生じません。おやつ代などの実費は、別にかかります。
残りの費用は公費です。上限に当たる世帯では、公費の割合は9割より大きくなります。児童福祉法は、市町村が支払う給付費について、国が2分の1、都道府県が4分の1を負担すると定めています。
「安すぎる」と感じるかどうかは、人によって違います。4つの区分は、障害福祉サービスに共通するしくみです。月4,600円の上限は、児童発達支援など、障害のある子の通所支援に共通で、放課後等デイサービスだけのものではありません。大人の障害福祉サービスの上限(一般1は月9,300円)よりは、低く設定されています。
学童保育との違い

学童保育(放課後児童クラブ)と放課後等デイサービスは、どちらも児童福祉法にもとづく事業です。所管は、どちらもこども家庭庁です。違うのは、対象と目的です。
| 項目 | 放課後等デイサービス | 学童保育(放課後児童クラブ) |
|---|---|---|
| 対象 | 学校に就学している障害児(市町村の支給決定が必要) | 保護者が仕事などで昼間家庭にいない小学生 |
| 目的 | 生活能力の向上のために必要な支援、社会との交流の促進など | 適切な遊びと生活の場を与えて、健全な育成を図る |
| 保護者の就労 | 法律の定義に要件なし | 要件あり |
| 費用 | 費用の1割まで。所得に応じた月額の上限あり | クラブごとに違う。こども家庭庁の調査(2025年5月1日時点)では、利用料をとるクラブのうち、月額4,000円以上6,000円未満が最も多い(26.2%) |
学童保育は、保護者が働いていることなどが前提です。放課後等デイサービスは、子どもへの支援が目的なので、保護者が働いているかどうかは問われません。「親が家にいるのに預けている」という声は、この違いから生まれます。
2つは、どちらか一方を選ぶものでもありません。国の事務処理要領は、障害のある子も、放課後児童クラブなどの一般の施策を利用する機会が確保されるよう、市町村に配慮と環境の整備に努めることを求めています。併せて利用することも含まれます。
「預けすぎ」「やめとけ」と言われたら|国の資料の両面

「預けているだけではないか」という声には、国の資料に2つの面があります。
1つめは、預かりのニーズに応えることも、家族への支援に含まれる、という面です。国のガイドラインは、放課後等デイサービスの役割を「本人支援」「家族支援」「移行支援」「地域支援・地域連携」の4つとしています。家族支援の例に、家族の休息(レスパイト)の時間の確保や、就労などによる預かりのニーズに対応するための延長支援を挙げています。
2つめは、預かりが主な目的なら別の事業を使う、という面です。国の事務処理要領は、主として家族の就労支援や、家族の一時的な休息を目的とする場合は、日中一時支援などを活用する、としています。
つまり、子どもへの発達支援が中心にあり、そのうえで家族を支えることは、制度が認めています。預かりが主な目的の場合は、日中一時支援などを使うこととされています。
2024年度の報酬改定でも、この方向が強まりました。
- 支援は5つの領域(健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性)をすべて含めた総合的なものを基本とする
- 30分未満のごく短い支援は、原則として報酬の対象から外す
- 支援の時間に応じた区分を設ける。長い時間の支援は、預かりのニーズに対応した延長支援として評価する
家族が休むために使うことを、当サイトは後ろめたく思う必要はないと考えます。国のガイドラインが、家族の休息を家族支援の例に挙げているためです。
「やめとけ」と言われて迷うときは、事業所の支援の中身を確かめてください。個別支援計画に何が書かれているか、5つの領域のどれに取り組んでいるかを、事業所に聞くことができます。
療育そのものの考え方は、療育とは?で扱っています。
制度の課題|費用の増加と不正請求

制度に課題があることは、国の資料も認めています。
費用と事業所の数は、増え続けています。
- 2023年度(令和5年度)の費用額は約5,306億円で、障害児支援全体の総費用額の65.8%を占める(こども家庭庁の資料)
- 費用額は、2012年度から2023年度までに11.1倍になった(同じ資料)
- 事業所数は22,643か所で、前の年より7.2%増えた(厚生労働省「令和6年社会福祉施設等調査」)
不正請求もあります。厚生労働省の資料は、障害福祉サービスの一部の事業者に、法令を守る意識の欠如や、不適切な支援、不正請求による指定取消などの行政処分の事例がみられる、としています。自治体が事業所に行う運営指導も、十分には行われていません。国の資料(運営指導・監査の強化案、2025年1月)によると、2023年度(令和5年度)の実施率は、障害福祉サービス全体の全国平均で16.5%でした。国の指針は、おおむね3年に1回の実施を求めています。
この強化案の資料は、放課後等デイサービスについて、2023年の運営指導の実施率を18%、行政処分の件数を27件(うち営利法人22件)としています(速報値)。このうち指定取消だけの件数は、当サイトが確認した資料ではわかりませんでした。
国は2025年度から、放課後等デイサービスなど事業所が急増している5つのサービスについて、運営指導を3年に1回以上の頻度で行うよう、自治体に通知しています。
当サイトは、不正請求と指導の不足は事業者と行政の側の課題であり、決まりに沿って利用している家庭の落ち度ではないと考えます。
「ずるい」と言われたときの3つの対処

ここからは、当サイトの考えです。
- 言い返さなくてよい:制度の説明をして相手を納得させる義務は、利用する家庭にはありません。距離を置くことも選択肢です
- 聞かれたら、事実だけ伝える:「市の決定を受けて使っている」「日数は市が決めている」「費用の1割を払っている」の3つで足ります
- 一人で抱えない:受給者証の相談をした窓口や、相談支援専門員、事業所の職員に話すことができます
きょうだいや親族から言われたときの向き合い方は、「不登校はずるい」と言われたらと「特別支援学級はずるい」と言われたらでも扱っています。親の疲れについては、不登校の子の親のメンタルと仕事をご覧ください。
八王子市で使うには

八王子市の窓口は、福祉部 障害者福祉課(援護担当)です(八王子市の公式ページ・2026年10月4日確認)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請に必要なもの | 申請書、サービス等利用計画案、療育が必要と確認できる書類 |
| 確認できる書類 | 各種の手帳、医師の診断書または知能発達検査の結果、特別支援学校などへの就学決定の通知、のいずれか |
| 申請の前にすること | 利用を予定する事業所に連絡・相談する |
| 聞き取り | 就学児サポート調査票による調査がある |
| 受給者証が出るまで | 申請から2週間程度 |
| 更新 | 毎年、更新の手続きが必要 |
| 問い合わせ | 障害者福祉課(援護担当)電話 042-620-7367 |
手帳がなくても、診断書か検査の結果があれば申請できます。ほかの市区町村も、窓口は市区町村の障害福祉の担当課です。必要な書類は自治体で違うので、申請の前に確認してください。
よくある質問

- Q放課後等デイサービスは、誰でも使えますか?
- A
使えません。対象は学校に就学している障害児で、市町村の支給決定が必要です。診断名や手帳は必須ではありませんが、支援の必要性を市町村が判断します。
- Q利用料は、いくらですか?
- A
費用の1割までです。月額の上限は、生活保護の世帯と市町村民税が非課税の世帯が0円、収入がおおむね890万円以下の課税世帯が4,600円、それ以外が37,200円です。
- Q毎日使えますか?
- A
月に使える日数は、市町村が決めます。国は、原則として各月の日数から8日を引いた日数を上限とするよう示しています。市町村が必要と判断した場合は、これを超えて利用できます。
- Q親が働いていなくても使えますか?
- A
使えます。法律の定義に、保護者の就労の要件はありません。主な目的が家族の就労支援や休息である場合は、日中一時支援などを活用することとされています。
- Q学童保育と一緒に使えますか?
- A
国の事務処理要領は、障害のある子が放課後児童クラブなどを併せて利用する機会が確保されるよう、市町村に配慮と環境の整備に努めることを求めています。受け入れの体制は、クラブや自治体に確認してください。
- Q不登校の子も使えますか?
- A
学校に在籍していれば、対象になりえます。国のガイドラインは、放課後等デイサービスだけで支えるのではなく学校などと連携すること、安易に不登校の状態が続くことのないよう留意すること、としています。
まとめ

- 放課後等デイサービスの対象は、学校に就学している障害児です。市町村の支給決定を受けないと使えません
- 月の日数は市町村が決めます。国は、各月の日数から8日を引いた日数を原則の上限としています
- 利用者の負担は費用の1割までで、月額の上限は0円・4,600円・37,200円です。残りは公費です
- 預かりのニーズに応えることは家族支援に含まれます。預かりが主な目的なら、日中一時支援などを使うこととされています
- 費用は増え続けており、不正請求による行政処分の事例もあります。国は運営指導を強める方針です
※本記事は2026年10月4日時点の法令と、国・自治体の公開資料にもとづく一般的な情報提供です。対象になるかどうかや支給される日数は、市区町村の判断によります。利用を考えるときは、お住まいの市区町村の窓口でご確認ください。
主な出典(いずれも2026年10月4日確認):児童福祉法(e-Gov法令検索)/こども家庭庁「利用者負担の仕組み」(障害児の利用者負担)/こども家庭庁「障害児通所給付費に係る通所給付決定事務等について」(事務処理要領・令和8年3月版)/こども家庭庁「放課後等デイサービスガイドライン」(令和6年7月)/こども家庭庁「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容(障害児関係)」/こども家庭庁「こども施策及び障害児支援施策の最近の動向について」(令和6年12月25日)/厚生労働省「令和6年社会福祉施設等調査」/厚生労働省・こども家庭庁「障害福祉分野における運営指導・監査の強化(案)について」(令和7年1月)/厚生労働省・こども家庭庁「障害福祉分野における運営指導・監査の強化について(概要)」(令和8年6月)/厚生労働省・こども家庭庁の資料(障害福祉サービスの質の確保・令和8年6月)/厚生労働省「障害者の利用者負担」/こども家庭庁「放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況」(令和7年5月1日現在)/こども家庭庁「放課後児童健全育成事業について(放課後児童クラブ)」/八王子市「児童通所支援サービスの手続きの流れ」


