特別支援学級に在籍していても、高校受験はできます。ただし東京都の都立高校入試では、全ての教科を特別の教育課程で学んでいる固定学級の生徒は、調査書の評定欄が斜線になります。都立高校の実施要綱にそう定められています。
評定のない調査書で、学力検査と調査書を中心に合否を決める一般入試に臨むのは簡単ではありません。一方で、調査書を使わない都立チャレンジスクール、通信制高校、都立特別支援学校高等部など、別の道もあります。この記事では、調査書の扱いの規定と、現実的な進路の選択肢を整理します。
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結論|受験はできるが、固定学級だと都立の評定欄は斜線になる

先に全体像を示します。
| 中学校での学び方 | 都立高校入試の調査書 |
|---|---|
| 通常の学級(特別支援教室・通級を利用) | 通常どおり評定が記入される |
| 特別支援学級(固定)で、全ての教科を特別の教育課程で学ぶ | 記入できない欄は斜線。資料の写しを添付 |
| 特別支援学級(固定)で、一部の教科を通常の教育課程で学ぶ | 在籍中学校に確認が必要 |
ポイントは、「特別支援学級にいるかどうか」ではなく「全ての教科を特別の教育課程で学んでいるかどうか」で扱いが決まることです。次のH2から、規定の中身を見ていきます。
なお、ここで扱うのは東京都の都立高校入試の規定です。ほかの道府県では扱いが異なるため、お住まいの地域の入試要綱を確認してください。
都立高校入試の調査書の扱い|要綱に書かれていること

東京都教育委員会の「東京都立高等学校入学者選抜実施要綱」(令和7年度)には、特別支援学級の生徒について次の規定があります。
① 成績一覧表について
中学校長は、第3学年の生徒全員の教科ごとの評価と評定を成績一覧表に記載します。ただし、全ての教科を特別の教育課程により実施している特別支援学級(固定)在籍者は、記載人員に含めないとされています。
② 調査書について
同じく、全ての教科を特別の教育課程により実施している特別支援学級(固定)在籍者(卒業者を含む)については、調査書の所定の欄のうち記入できる事項のみ記入し、記入できない欄は斜線を引くとされています。その場合は、不足する記録に関わる資料の写しを添付します。
③ 選考について
要綱には、所定の書類が一部整わない者については、参考にできる資料を活用して選考を行う、という規定もあります。つまり、評定がないことだけで自動的に不合格になるわけではありません。
ただ、都立高校の一般入試は学力検査の得点と調査書の評定をもとに合否を判定する仕組みです。評定が斜線になった調査書でこの枠組みに臨むのは、当サイトの見立てとして、現実には厳しい道だと考えてください。
また、東京都中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)については、中学校の特別支援学級に在籍している生徒は本人の希望により受験し、受験した場合は結果が点数化されると定められています。
「全ての教科を」がポイント|一部の教科を通常の課程で学ぶ場合

規定の対象は「全ての教科を特別の教育課程により実施している」特別支援学級(固定)の在籍者です。
特別支援学級に在籍していても、教科によっては通常の学級で一緒に学んだり、通常の教育課程に沿って学んだりしている場合があります。この場合に調査書の各教科がどう記載されるかは、在籍している中学校が実際の学習の状況をもとに判断することになります。
ここは家庭ごとに状況が違うため、次のことを中学校に早めに確認してください。
- 本人の教育課程は、全ての教科が特別の教育課程になっているか
- 調査書の評定は、どの教科に記入される見込みか
- 3年生の2学期までに学び方を変えた場合、記載はどう変わるか
特に中学1・2年生のうちに確認しておくと、進路の選択肢を狭めずに済みます。
特別支援教室・通級を使っている子は対象外

東京都の特別支援教室や、通級による指導を利用している生徒は、籍が通常の学級にあります。そのため、この規定の対象ではなく、調査書は通常の学級の生徒と同じように作成されます。
発達障害があっても知的な遅れがなく、通常の学級で特別支援教室を利用している場合は、都立高校の一般入試を通常どおり受けることになります。特別支援学級と特別支援教室の違いは、特別支援学級・通級・特別支援学校・特別支援教室の違いで整理しています。
欠席が多く評定が付けにくい場合の扱いは、不登校からの高校受験|内申点・欠席日数は本当に不利?で解説しています。
選択肢① 調査書を使わない都立チャレンジスクール

都立チャレンジスクールは、定時制課程・単位制・総合学科の都立高校です。「東京都立高等学校チャレンジスクール入学者選抜実施要綱」(令和7年度)では、選抜について次のように定められています。
| 項目 | 要綱の定め |
|---|---|
| 調査書 | 提出を必要としない |
| 提出書類 | 自己PRカードに代えて、学校所定の志願申告書 |
| 検査 | 面接及び作文 |
調査書を使わないため、評定の有無が合否に直接影響しない枠組みです。八王子市の近くでは、八王子拓真高校にチャレンジ枠が設けられています。
ただし、チャレンジスクールは主に小中学校で不登校を経験した生徒などを想定した学校で、高校で学ぶ内容は高校の教育課程です。入学後に学習についていけるかは、学校説明会や個別相談で具体的に確認してください。
選択肢② 通信制高校

通信制高校は、多くの学校で選考の中心が書類と面接です。調査書を提出する学校でも、評定の点数で合否を決める仕組みではないことがほとんどです。
特別支援学級の出身者にとっては、次の点が学校選びの軸になります。
- 学習の進め方——レポートとスクーリングを自分のペースで進められるか
- 支援の体制——発達特性への配慮を具体的に説明できる学校か
- 通学の頻度——週1日から毎日まで、段階的に増やせるか
高校でも平成30年度(2018年度)から通級による指導が制度化されており、通級を実施している高校もあります。通信制高校の選考は通信制高校に入試はある?、発達特性がある場合の学校の見分け方は発達障害に対応する通信制高校の選び方で解説しています。
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通信制高校は、支援の説明の具体さで比べるのが確実です——発達特性への配慮の内容や通学の頻度は、学校ごとに大きく違います。数校まとめて資料を取り寄せれば、同じ項目で並べて比べられます。
中学生・高校生・保護者の方向け。地域や希望条件から探せます
選択肢③ 都立特別支援学校高等部

知的障害がある場合は、都立特別支援学校の高等部も選択肢になります。高等部には普通科のほか、職業教育を主とする専門学科として就業技術科と職能開発科があります。
就業技術科の入学者選考(東京都教育委員会の実施要項、令和6年度入学者向け)では、主に次のことが定められています。
| 項目 | 要項の定め |
|---|---|
| 応募資格 | 知的障害がある者で、将来、企業への就職を目指す者など |
| 事前の手続き | 志願する学校で個別説明を受けることが必要 |
| 障害の程度の証明 | 愛の手帳(療育手帳)の写し。提出できない場合は医師診察記録 |
| 選考方法 | 調査書、適性検査、面接を総合した成績 |
| 併願 | 就業技術科と職能開発科の両方には出願できない |
就業技術科を志願する場合も、通学区域の知的障害特別支援学校高等部普通科の入学相談に関する事前相談を受けることが原則とされています。普通科は「入学相談」という形で進学先が決まり、手続きは別の実施要項に定められています。
いずれも年度ごとに要項が改定されるため、中学2年生のうちに最新の要項と学校説明会の日程を確認しておくのが安全です。
選択肢④ 私立高校

私立高校の入試は学校ごとに方式が違います。推薦や書類選考、面接を中心にする学校もあり、特別支援学級からの受け入れについても個別に相談を受け付けている学校があります。
私立高校を検討する場合は、次のことを入試相談の場で直接確認してください。
- 特別支援学級に在籍していることを伝えたうえで、出願できるか
- 調査書の評定がない場合、どの資料で選考するか
- 入学後、どんな配慮や支援を受けられるか
私立高校にも、2024年4月から障害者差別解消法にもとづく合理的配慮の提供が義務づけられています。
中学の支援級の卒業生が、全国と東京都で実際にどこへ進んでいるかは、特別支援学級の「その後」は?中学卒業後の進学・就職を公的データで確認で文部科学省と東京都教育委員会の統計から整理しています。
中学進学の前に決めておきたいこと

特別支援学級から高校へ進む道で最も後悔が多いのは、中学3年生になってから調査書の扱いを知るパターンです。高校受験の選択肢は、中学校でどの学び方を選ぶかにつながっています。
小学校6年生の段階、または中学1年生のうちに、次のことを考えておくと見通しが立ちます。
- 中学校での学びの場(特別支援学級・通常の学級+特別支援教室)
- その学び方で、都立高校入試の調査書がどうなるか
- 高校で目指したいこと(高校卒業資格、就職、進学)
- それに合う進路の候補(全日制・チャレンジスクール・通信制・特別支援学校高等部)
学びの場は、あとから変えることもできます。文部科学省は、子どもの状態の変化に応じて学びの場を柔軟に変更できるようにすることを求めています。ただし変更には就学相談が必要で、時間もかかります。中学進学時の学びの場も、市区町村の就学相談で決まります。入級の基準や就学相談の流れは特別支援学級に入る基準は?にまとめています。
療育の全体像は療育とは?内容・効果の考え方・いつから始めるかで整理しています。
中学校の特別支援学級での授業・自立活動・通知表の扱いは、中学校の特別支援学級はどんなところ?授業・自立活動・交流学級と3年間の見通しにまとめています。
よくある質問

- Q特別支援学級に在籍していると高校受験はできませんか?
- A
受験はできます。ただし東京都の都立高校入試では、全ての教科を特別の教育課程で学んでいる特別支援学級(固定)の生徒は、調査書の記入できない欄に斜線が引かれます。学力検査と調査書を中心とする一般入試は厳しくなるため、調査書を使わない選抜も含めて検討してください。
- Q特別支援教室を利用していても内申点は付きますか?
- A
付きます。特別支援教室や通級を利用している生徒は通常の学級に籍があるため、調査書は通常どおり作成されます。
- Q調査書を使わない都立高校はありますか?
- A
都立チャレンジスクールは、令和7年度の実施要綱で調査書の提出を必要としないと定められており、面接と作文で選抜します。八王子市の近くでは八王子拓真高校にチャレンジ枠があります。
- Q知的障害がある場合、どんな高校がありますか?
- A
都立特別支援学校の高等部があり、普通科のほか、企業への就職を目指す就業技術科や職能開発科があります。就業技術科は志願校での個別説明を受けることが出願の条件で、調査書・適性検査・面接で選考されます。
- Qほかの道府県でも調査書の扱いは同じですか?
- A
同じとは限りません。この記事で紹介した規定は東京都の都立高校入試の実施要綱によるものです。お住まいの地域の教育委員会が公表している入試要綱を確認してください。
まとめ:中学の学び方と高校の選択肢は、つながっている

- 特別支援学級からでも高校受験はできる
- 都立入試では、全教科を特別の教育課程で学ぶ固定学級の生徒は調査書の評定欄が斜線になる
- 一部の教科を通常の課程で学ぶ場合の記載は、在籍中学校に早めに確認する
- 特別支援教室・通級の利用者は通常の学級の籍なので、調査書は通常どおり
- 調査書を使わない都立チャレンジスクール(八王子拓真高校にチャレンジ枠あり)、通信制高校、都立特別支援学校高等部という選択肢がある
- 後悔を避けるには、中学進学の前後で高校までの見通しを立てておく
次の一歩は、在籍している(または進学予定の)中学校に、本人の教育課程と調査書の記載の見込みを確認することです。周囲の声が気になる場合は「特別支援学級はずるい」と言われたらも参考にしてください。
※本記事は2026年9月時点の公開情報に基づく一般的な情報提供であり、個別の進路判断に代わるものではありません。調査書の扱いは東京都立高等学校入学者選抜実施要綱(令和7年度)、チャレンジスクールの選抜は同チャレンジスクール入学者選抜実施要綱(令和7年度)、特別支援学校高等部の選考は令和6年度入学者向けの実施要項に基づいており、いずれも年度ごとに改定されます。東京都以外では扱いが異なります。受験年度の最新の要綱と、在籍中学校・志望校に必ずご確認ください。記事内にはプロモーションが含まれます。
主な出典:東京都教育委員会「東京都立高等学校入学者選抜実施要綱」(令和7年度)/東京都教育委員会「東京都立高等学校チャレンジスクール入学者選抜実施要綱」(令和7年度)/東京都教育委員会「東京都立知的障害特別支援学校高等部就業技術科及び職能開発科入学者選考実施要項」(令和6年度入学者)/文部科学省「障害のある子供の教育支援の手引」(令和3年6月)


