自立活動とは?6区分27項目と具体例、家庭でできること【2026年10月時点】

明るい小さな部屋で、無地の色カードや木のブロックを並べる私服の日本人の小学生と、隣で穏やかに見守る先生 療育・制度

自立活動は、障害による学習上・生活上の困難を、子ども自身が改善・克服できるようにするための指導です。特別支援学校の学習指導要領に定められていて、内容は「6区分27項目」に整理されています。

特別支援学級では、この自立活動を教育課程に取り入れます。通級による指導や、東京都の特別支援教室でも、自立活動の内容を参考にして指導します。

この記事では、自立活動の目標、6区分27項目の一覧、国の解説に載っている具体例、特別支援学級・通級での位置づけ、個別の指導計画の作り方、家庭でできることを、2026年10月14日に確認した文部科学省と東京都の資料で整理します。

自立活動とは|目標と、どこで行われるか

特別支援学校、取り入れる特別支援学級、参考にする通級による指導を、同じ大きさの札で整理した図解

自立活動の目標は、特別支援学校小学部・中学部学習指導要領(2017年告示)の第7章に、次のように書かれています。

個々の児童又は生徒が自立を目指し,障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するために必要な知識,技能,態度及び習慣を養い,もって心身の調和的発達の基盤を培う。

自立活動は、特別支援学校だけのものではありません。小学校・中学校の学習指導要領は、次のように定めています。

学びの場学習指導要領での扱い
特別支援学校教育課程の領域の一つとして、自立活動を行う
特別支援学級特別の教育課程をつくるとき、自立活動を「取り入れること」
通級による指導特別の教育課程をつくるとき、自立活動の内容を「参考とし」、具体的な目標や内容を定める

特別支援学級では取り入れ、通級では参考にする、と言葉が使い分けられています。特別支援学級の授業の中身は、中学校の特別支援学級はどんなところ?でも紹介しています。

6区分27項目の一覧

健康の保持、心理的な安定、人間関係の形成、環境の把握、身体の動き、コミュニケーションを、中立的なモチーフの同じ大きさの札で並べた図解

自立活動の内容は、6つの区分と27の項目に整理されています(特別支援学校小学部・中学部学習指導要領 第7章 第2)。

区分項目
1 健康の保持(5項目)(1) 生活のリズムや生活習慣の形成に関すること。
(2) 病気の状態の理解と生活管理に関すること。
(3) 身体各部の状態の理解と養護に関すること。
(4) 障害の特性の理解と生活環境の調整に関すること。
(5) 健康状態の維持・改善に関すること。
2 心理的な安定(3項目)(1) 情緒の安定に関すること。
(2) 状況の理解と変化への対応に関すること。
(3) 障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服する意欲に関すること。
3 人間関係の形成(4項目)(1) 他者とのかかわりの基礎に関すること。
(2) 他者の意図や感情の理解に関すること。
(3) 自己の理解と行動の調整に関すること。
(4) 集団への参加の基礎に関すること。
4 環境の把握(5項目)(1) 保有する感覚の活用に関すること。
(2) 感覚や認知の特性についての理解と対応に関すること。
(3) 感覚の補助及び代行手段の活用に関すること。
(4) 感覚を総合的に活用した周囲の状況についての把握と状況に応じた行動に関すること。
(5) 認知や行動の手掛かりとなる概念の形成に関すること。
5 身体の動き(5項目)(1) 姿勢と運動・動作の基本的技能に関すること。
(2) 姿勢保持と運動・動作の補助的手段の活用に関すること。
(3) 日常生活に必要な基本動作に関すること。
(4) 身体の移動能力に関すること。
(5) 作業に必要な動作と円滑な遂行に関すること。
6 コミュニケーション(5項目)(1) コミュニケーションの基礎的能力に関すること。
(2) 言語の受容と表出に関すること。
(3) 言語の形成と活用に関すること。
(4) コミュニケーション手段の選択と活用に関すること。
(5) 状況に応じたコミュニケーションに関すること。

27項目を全部指導するわけではない

国語や算数の内容は、すべての子に指導するものです。これに対して自立活動の内容は、子ども一人一人の状態に応じて、必要な項目を選んで取り扱うものだ、と文部科学省の解説(特別支援学校学習指導要領解説 自立活動編、2018年3月)は説明しています。

解説は、6つの区分は指導内容のまとまりではない、とも書いています。必要な項目を区分をまたいで選び、組み合わせて、具体的な指導内容をつくります。

26項目から27項目へ|項目数の移り変わり

養護・訓練から自立活動への改称、人間関係の形成の新設、障害の特性の理解と生活環境の調整の新設を、年号なしで並べた図解

自立活動の項目数は、学習指導要領の改訂のたびに見直されてきました。

告示区分と項目数主な変更
1999年(平成11年)5区分22項目「養護・訓練」から「自立活動」に名前を改める
2009年(平成21年)6区分26項目「人間関係の形成」の区分を新設。「感覚や認知の特性への対応」の項目を新設
2017年(平成29年)6区分27項目健康の保持に「障害の特性の理解と生活環境の調整に関すること」を新設。環境の把握の2項目の表現を改める

2017年に加わった項目は、自分の障害の特性を理解し、自分から周りの環境に働きかけて、過ごしやすい環境を整える力をつけるためのものだ、と解説は説明しています。

インターネットや一部の公的な資料には、「6区分26項目」と書かれたものが今も残っています。現在の学習指導要領は27項目です。

具体例|国の解説に載っている指導の例

整理・整頓、落ち着ける場所へ移る、予定を前もって伝える、読みやすい書体と行間を、棚や椅子、空欄の予定表などで表した図解

文部科学省の解説には、障害の種類ごとに、どんな困難があり、どんな指導が考えられるかの例が載っています。発達障害や知的障害、選択性かん黙(情緒障害)に関係する例を一部紹介します。

子どもの状態(解説の記述)解説が示す指導の例解説で載っている区分
ADHDのある子が、気が散りやすく、整理・整頓の習慣が身に付いていない困難の要因を明らかにしたうえで、無理のない課題から取り組む健康の保持
LD・ADHDなどのある子が、自分の得手不得手を客観的に捉えにくく、自分を否定的に見てしまう自分の特性に気付き、自分を認め、必要な支援を求められるようにする健康の保持
ADHDのある子が、注意されたときに興奮を静められなくなる落ち着ける場所に移る、いったんその場を離れて深呼吸する、などの方法を教え、実際にできるようにする心理的な安定
選択性かん黙のある子が、特定の場所や状況で話せない本人は話したくても話せないと理解し、選択肢の提示や筆談など、さまざまな方法を認める心理的な安定
自閉症のある子が、急な予定の変更に混乱する予定や予想される状況を前もって伝えたり、事前に体験する機会をつくったりする心理的な安定
ADHDのある子が、同じ失敗を繰り返しやすい自分の行動とできごとの関係を図にして理解する、実現できる目当ての立て方や点検表を使う人間関係の形成
LDのある子が、「め」と「ぬ」を読み間違えるなど、文字の判別が難しい読み取りやすい書体を確かめる、文字の間や行の間を広げる環境の把握
ADHDのある子が、手足を協調させて動かすことや、細かい動きが難しい簡単な動きから段階的に進める。手指の巧緻性を高めるには、興味のあることを生かして道具で手指を動かす体験を重ねる(例:エプロンのひも結びを、一つずつの動作からつなげていく)身体の動き
知的障害のある子が、細かい手先を使った作業や、その持続が難しい手遊び、ビーズを仕分ける活動、ひもにビーズを通す活動など。単なる訓練にならないよう、興味のもてる内容にする身体の動き
LDのある子が、読み書きの困難で文章の理解や表現に時間がかかるコンピュータの読み上げ機能や、図で関係を示す方法を使うコミュニケーション

解説は、心理的な要因で不登校の状態が続き、運動量が極端に少なくなる場合があることにも触れています。障害そのものではなく、こうした二次的な要因で体力が落ちることもあるため、適度な運動や、食生活と健康の学習を取り入れることが考えられる、としています。

解説は、これらの例がその障害の子に限られるものではなく、ほかの項目とも関連するとしています。同じ診断名でも、必要な指導は子どもによって違います。解説は、障害名だけに頼って特定の指導内容に偏らないよう、子どもの全体像を捉えることを求めています。できないことだけでなく、できることにも目を向けることが望ましい、としています。

特別支援学級・通級・特別支援教室での自立活動

特別支援学級、通級による指導、自分の学校で学ぶ特別支援教室を、同じ大きさの異なる学習スペースで並べた図解

自立活動の進め方は、学びの場によって違います。

学びの場自立活動の扱い時間
特別支援学級特別の教育課程に、自立活動を取り入れる小・中学校の学習指導要領に、時数の定めはない
通級による指導自立活動の内容を参考に、具体的な目標や内容を定める年間35〜280単位時間が標準。LD・ADHDは年間10〜280単位時間
東京都の特別支援教室6区分27項目から必要な項目を選び、一人一人に個別指導計画をつくる通級と同じ

通級の時間の標準は、国の告示(平成5年文部省告示第7号。2016年改正)が定めています。東京都の特別支援教室の運営ガイドライン(2021年3月)も、同じ時間を示しています。

通級は「勉強の遅れを取り戻す場」ではない

通級による指導は、障害による学習上・生活上の困難の改善・克服を目的とする指導です。特に必要があるときは、教科の内容を取り扱いながら行うこともできます。

文部科学省は2016年の通知で、通級による指導が、単に教科の学習の遅れを取り戻すための指導と解釈されないよう、規定を改めたと説明しています。東京都のガイドラインも、個別的な学習支援や、精神疾患・家庭環境など他の要因だけで一斉指導が難しい子への指導は、特別支援教室ではなく通常の教育課程の中で工夫するのが適切だ、としています。

東京都の特別支援教室の対象は、知的障害がなく、発達障害などがあり、通常の学級での学習におおむね参加できる子です。

八王子市の場合

八王子市では、全ての小・中学校に特別支援教室があり、個別指導計画にもとづいて「自立活動の指導」を行っています(市のホームページ、2026年4月からの設置状況)。拠点校の巡回指導教員が、子どもの在籍校を回って指導します。特別支援教室と通級の違いは、特別支援学級・通級・特別支援学校・特別支援教室の違いにまとめています。

自立活動の時間だけが指導ではない

教室での授業、校庭での活動、給食の配膳を同じ大きさで並べ、学校の教育活動全体を通じた指導を表したイラスト

学習指導要領は、自立活動の指導を「自立活動の時間はもとより,学校の教育活動全体を通じて適切に行う」としています。

解説は、自立活動の時間における指導は、学校の教育活動全体を通じて行う指導の一部だ、と説明しています。国語や算数、特別活動などの授業の中でも、自立活動のねらいを意識した指導が行われます。

特別支援学校での自立活動の時間に充てる授業時数について、国は一律の標準を示していません。ただし解説は、標準を示さないことは時間を確保しなくてよいという意味ではない、としています。

個別の指導計画の作り方|国の統一様式はない

実態把握から課題整理、目標設定、項目選択、指導内容決定までを、番号なしの札と細い線で並べた図解

自立活動の指導は、子ども一人一人の個別の指導計画にもとづいて行います(学習指導要領 第7章 第3)。

解説は、個別の指導計画の手順や様式は、それぞれの学校が考えるべきものだ、としています。解説の流れ図も「例」として示されたものです。「自立活動 指導案」などで検索して見つかる書式の多くは、学校や自治体などが独自につくったものです。

解説は、手順の一例として次の流れを示しています。

  1. 子どもの実態(障害の状態、発達や経験の程度、生育歴など)を把握する
  2. 実態にもとづいて、指導すべき課題を抽出し、課題どうしの関連を整理する
  3. 子どもに合った指導目標を設定する
  4. 27項目の中から、目標の達成に必要な項目を選ぶ
  5. 選んだ項目を関連付けて、具体的な指導内容を設定する

解説の流れ図では、集めた情報を、6つの区分に即して整理する、学習上・生活上の困難の視点から整理する、数年後の姿の観点から整理する、という3つの段階で整理してから課題を選びます。指導目標は、長期的な目標と、当面の短期的な目標の両方を定めます。

学習指導要領は、指導内容を決めるときに考えることとして、子どもが興味をもって取り組めること、自分で選び自分で決める機会を設けること、学ぶ意味を将来の自立や社会参加と結び付けて理解できること、などを挙げています。

家庭でできること|解説が家庭との連携について書いていること

朝の家庭の食卓と、学校で保護者と先生が話す場面を同じ大きさで並べ、学校と家庭で同じ目標を共有することを表したイラスト

自立活動は学校で行う指導ですが、国の解説は、家庭との連携を何度も求めています。

場面解説の記述(要約)家庭でできること(当サイトの提案)
実態を把握するとき保護者から生育歴や家庭生活の状況を聞くことは「欠くことができない」家での様子、得意なこと、困っていることを学校に伝える
生活のリズム重い障害が重複している子の例として、家庭と連携して、朝決まった時刻に起きられるようにする起きる時刻や食事の時刻を、学校と相談してそろえる
清潔・身だしなみ家庭などとの密接な連携の下に、日常的に心がけられるようにする学校で練習していることを、家でも同じやり方で続ける
評価のとき保護者に評価を説明し、学習で身に付けたことを家庭生活でも発揮できるよう協力を求める学校で身に付けたことを、家で使える場面をつくる

当サイトとしては、家庭で新しい訓練を始めるより、まず学校の個別の指導計画で、何を目標にしているかを担任や特別支援教室の先生に聞いてみることをおすすめします。目標が分かれば、家での声かけや環境づくりを学校とそろえやすくなります。

家庭でできる療育の考え方は、家庭でできる療育のはじめ方でも紹介しています。

療育の全体像は療育とは?内容・効果の考え方・いつから始めるかで整理しています。

よくある質問

自立活動の意味、開始時期、実施、時間、遊び、家庭について六つの質問を並べた図解
Q
自立活動とは何ですか?
A

障害による学習上・生活上の困難を、子ども自身が改善・克服できるようにするための指導です。特別支援学校の学習指導要領に定められ、特別支援学級や通級でも行われます。

Q
自立活動の6区分27項目は、いつからですか?
A

2017年告示の特別支援学校小学部・中学部学習指導要領からです。全面実施は、小学部が2020年度、中学部が2021年度です。それより前の2009年告示では、6区分26項目でした。

Q
自立活動の5区分(5項目)とは何ですか?
A

以前の学習指導要領(1999年告示)の区分で、健康の保持、心理的な安定、環境の把握、身体の動き、コミュニケーションの5つでした。項目数は22でした。2009年告示で「人間関係の形成」が加わり、現在の6区分になっています。

Q
特別支援学級では、自立活動を必ず行うのですか?
A

特別の教育課程を編成する特別支援学級では、取り入れることになっています。小学校・中学校の学習指導要領は、特別支援学級で実施する特別の教育課程について、自立活動を「取り入れること」と定めています。

Q
自立活動は週に何時間ですか?
A

特別支援学級について、小・中学校の学習指導要領に時数の定めはありません。特別支援学校でも国は一律の標準を示しておらず、子どもの状態に応じて学校が定めます。通級による指導は、年間35〜280単位時間が標準です(LD・ADHDは年間10〜280単位時間)。東京都の特別支援教室の運営ガイドラインは、特別支援教室の時間を週1〜8単位時間程度(LD・ADHDは月1〜週8単位時間程度)としています。

Q
特別支援学級の個別の指導計画は、作らなければいけませんか?
A

作ります。小学校・中学校の学習指導要領は、特別支援学級の子と通級による指導を受ける子について、個別の教育支援計画と個別の指導計画を「作成し,効果的に活用するものとする」と定めています。

Q
自立活動の指導案や個別の指導計画に、決まった書き方はありますか?
A

文部科学省の解説は、個別の指導計画の手順や様式は、それぞれの学校が考えるべきものだとしています。解説の流れ図は「例」として示されています。

Q
自立活動の具体例になるゲームや遊びはありますか?
A

国の解説が示しているのは、項目ごとの困難と指導の考え方の例です。たとえば、知的障害のある子の手先の作業について、手遊びやビーズの仕分け、ひもにビーズを通す活動が挙げられています。どの活動を使うかは、個別の指導計画で決めた目標に合わせて、学校が工夫して選びます。

Q
手先の巧緻性を高める自立活動には、どんなものがありますか?
A

解説は「身体の動き」の区分で、エプロンのひも結びを一つずつの動作から身に付けてつなげていく例(ADHDのある子)や、手遊び・ビーズを使う活動(知的障害のある子)を挙げています。興味や関心を生かし、単なる訓練にならないようにすることが大切だとしています。

Q
家庭では何をすればよいですか?
A

まず、家での様子を学校に伝え、学校の個別の指導計画の目標を聞くことです。国の解説は、学校で身に付けたことを家庭生活でも発揮できるよう、保護者に協力を求めるとしています。

まとめ

朝の明るいキッチンで、私服の日本人の父親と小学生の娘が並んで落ち着いて朝食を準備する横顔
  • 自立活動は、障害による学習上・生活上の困難を子ども自身が改善・克服するための指導です
  • 内容は6区分27項目で、子どもに必要な項目を選んで指導します。2017年の告示で26項目から27項目になりました
  • 特別支援学級は自立活動を取り入れ、通級や東京都の特別支援教室は自立活動の内容を参考に指導します
  • 個別の指導計画の手順や様式は、それぞれの学校が考えるものとされています
  • 家庭では、家での様子を学校に伝え、学校の目標を聞いて、身に付けたことを家でも生かせるようにすることが大切です

※本記事は2026年10月14日時点の、文部科学省・東京都・八王子市の公開情報にもとづく一般的な情報提供です。お子さんの指導内容は、在籍する学校や特別支援教室の先生にご確認ください。

主な出典(いずれも2026年10月14日確認):文部科学省「特別支援学校小学部・中学部学習指導要領」(平成29年4月告示)/文部科学省「特別支援学校学習指導要領解説 自立活動編(幼稚部・小学部・中学部)」(平成30年3月)/文部科学省「特別支援学校小学部・中学部学習指導要領」新旧対照表(平成21年3月告示)/文部科学省「小学校学習指導要領」「中学校学習指導要領」(平成29年告示)/文部科学省「学校教育法施行規則の一部を改正する省令等の公布について(通知)」(平成28年12月、28文科初第1038号)/平成5年文部省告示第7号(平成28年文部科学省告示第176号による改正)/東京都教育委員会「特別支援教室の運営ガイドライン」(令和3年3月)/八王子市「障害のあるお子さんの学級・教室・学校について」

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