「特別支援学級はずるい」と言われたら|4つの誤解と、子どもへの説明のしかた【2026年9月時点】

公園のベンチで穏やかに話す日本人の祖父と小学生の後ろ姿 療育・制度

「特別支援学級はずるい」「楽をしている」と言われたとき、保護者が説明する義務はありません。この言葉のほとんどは、特別支援学級が法律に基づく学級で、決まった手続きを経て入るものだと知られていないことから生まれています。

この記事では、よく言われる4つの誤解と実際、言われたときの3つの対処、子ども本人やきょうだい・クラスの子への説明のしかたを整理します。

「ずるい」と言われる4つの誤解と、実際

誤解と実際を並べ、学び方の調整や困難を減らす支援を示す図
よくある誤解実際
① 勉強しなくていい、楽をしている障害に応じた特別な教育課程で、その子に必要な学習に取り組んでいる
② 先生を独り占めしている少人数なのは、国の基準で定められた学級の形だから
③ 親が希望すれば誰でも入れる障害の種類と程度が定められ、就学相談を経て教育委員会が決める
④ 特別扱いされて得をしている困難を取り除くための支援で、有利にするためのものではない

① 勉強しなくていい、楽をしている

特別支援学級は、学校教育法第81条に基づいて置かれる学級です。障害に応じた特別な教育課程があり、教科の学習に加えて、障害による困難を改善するための「自立活動」にも取り組みます。八王子市の案内では、知的障害の学級について、一対一や小集団の指導で基礎的な学力の充実を図り、生活に必要な言葉や数を具体的な体験を通して学ぶと説明されています。

学ぶ内容がほかの子と違うのは、楽をするためではなく、その子が実際に身につけられる形に合わせているからです。

② 先生を独り占めしている

特別支援学級は少人数で編制されます。国の標準では1学級あたりの人数が通常の学級より大幅に少なく設定されており、これは学級の制度そのものの形です。特定の子が先生を独占しているわけではありません。

③ 親が希望すれば誰でも入れる

特別支援学級の対象は、障害の種類と程度で定められています。入級するには市区町村の教育委員会が行う就学相談を受け、検査や行動観察、医師の所見などをもとに判断されます。保護者の希望だけで入れる学級ではありません。

④ 特別扱いされて得をしている

障害のある子への支援は、スタートラインをそろえるためのものです。障害者差別解消法は、公立学校には以前から、私立学校などの事業者には2024年4月から、「合理的配慮」の提供を義務づけています。支援を受けることは、得をすることではなく、困難を取り除くことです。

入級の基準や手続きの詳細は特別支援学級に入る基準は?にまとめています。

なぜ誤解が生まれるのか|見えている部分だけで判断されやすい

見える部分と見えない背景の情報差から理解へ進む図

「ずるい」と言う人の多くは、悪意からではなく、見えている部分だけで判断しています。

  • 少人数でゆったり過ごしているように見える
  • 通常の学級と違う課題に取り組んでいる
  • 行事や一部の授業だけ一緒に参加している

一方で、その子が学校生活でどんな困難を抱えているか、どんな手続きを経て入級したかは、外からは見えません。見えていない部分があることを知らないまま、見えた部分だけを比べているのが「ずるい」の正体です。

特に子ども同士では、「自分は我慢しているのに、あの子は違うことをしている」という素朴な不公平感から出ることがよくあります。これは相手の子の理解が浅いというより、年齢相応の反応です。責める必要はありません。

言われたときの対処|3つの選択肢

説明しない・短く伝える・学校に相談するという3つの対応の図

言われたときの対応は、相手との関係と、言葉の重さによって選んでください。

選択肢向いている場面
① 説明しない関係の浅い相手、一度きりの発言
② 短く事実だけ伝える今後も付き合いが続く相手
③ 学校に相談する子どもが直接言われている、繰り返されている

① 説明しない

保護者に、周囲の誤解を解いて回る義務はありません。関係の浅い相手の一度きりの発言なら、聞き流すのも立派な選択です。

② 短く事実だけ伝える

今後も付き合いが続く相手には、長い説明より短い一言のほうが伝わります。

  • 「就学相談を受けて、教育委員会が決めた学級なんです」
  • 「その子に合った勉強のしかたをしている学級なんですよ」

子どもの障害名や困りごとの中身まで話す必要はありません。話すかどうかは、保護者と本人が決めてよいことです。

③ 学校に相談する

子どもが直接「ずるい」と言われている、からかいが繰り返されている、あるいは人格を否定するような言葉を向けられている場合は、担任や特別支援教育コーディネーターに相談してください。これは説明で解決する問題ではなく、学校として対応すべき問題です。

子ども本人に「ずるいって言われた」と言われたら

気持ちと場面を確認し、悪くないと伝えて一緒に考える流れの図

子ども本人が傷ついて帰ってきたときは、説明より先に、気持ちを受け止めることから始めてください。

  1. 「そう言われて、嫌だったね」と気持ちを言葉にする
  2. 誰に、どんな場面で言われたのかを落ち着いて聞く
  3. 「あなたが悪いわけじゃない」と伝える
  4. 必要なら、なぜその学級で学んでいるのかを本人に分かる言葉で話す

4の説明は、子どもの年齢と理解に合わせて調整します。低学年なら「〇〇が得意になるように、ぴったりの勉強をしているクラスだよ」、高学年以上なら「人によって勉強しやすいやり方が違って、あなたにはこのクラスのやり方が合っているんだよ」といった伝え方が考えられます。

「恥ずかしいことではない」と大人が本気で思っていることが、言葉以上に子どもに伝わります。

きょうだい・クラスの子への説明|めがねのたとえ

めがね・補助輪・スロープが同じ目的への支援であることを示す図

きょうだいやクラスの子から「なんであの子だけ違うの?」と聞かれたときは、身近なたとえが役に立ちます。

  • めがね——「目が見えにくい人がめがねをかけるのは、ずるくないよね。見えるようにするための道具だから」
  • 自転車の補助輪——「乗れるようになるまで補助輪をつけるのと同じで、できるようになるための手助けなんだよ」
  • 階段とスロープ——「車いすの人はスロープを使うよね。同じ場所に行くための、別の道なんだよ」

伝えたいのは、「みんな同じ」が公平なのではなく、「みんなが同じようにできる」ようにするのが公平だということです。

きょうだいの場合は、たとえの説明に加えて、その子自身の気持ちにも目を向けてください。「自分ばかり我慢している」と感じているサインのこともあります。きょうだいの「ずるい」への向き合い方は「不登校はずるい」と言われたらでも扱っています。

保護者自身が「恥ずかしい」と感じてしまうとき

周囲の目より安心して学べる今に合う場所を考える図

周囲に「ずるい」と言われる前に、保護者自身が「特別支援学級に入れるのは恥ずかしい」「世間からどう見られるか」と感じてしまうこともあります。そう感じること自体は自然なことで、自分を責める必要はありません。

ただ、判断の軸は子どもが毎日安心して学べるかどうかに置いてください。通常の学級で困難を抱え続けることが、子どもの自己肯定感を下げてしまう場合もあります。

また、特別支援学級は一度入ったら出られない場所ではありません。文部科学省は、子どもの状態の変化に応じて学びの場を柔軟に変更できるようにすることを求めています。「今のこの子に合う場所」を選ぶという考え方でかまいません。

中学以降の進路が不安な場合は、制度上の影響も含めて特別支援学級から高校受験はできる?で確認しておくと、見通しが立ちやすくなります。同じ「ずるい」という偏見への向き合い方は、放課後等デイは「ずるい」のかでも整理しています。

療育の全体像は療育とは?内容・効果の考え方・いつから始めるかで整理しています。

よくある質問

制度・説明・相談・きょうだい・学びの場の疑問を整理する図
Q
特別支援学級は本当にずるくないのですか?
A

ずるくありません。特別支援学級は学校教育法第81条に基づく学級で、障害の種類と程度が定められ、就学相談を経て教育委員会が決定します。その子に必要な学習を行うための学級であり、得をするための仕組みではありません。

Q
「ずるい」と言ってくる相手に、子どもの障害を説明するべきですか?
A

説明する義務はありません。障害名や困りごとの中身を話すかどうかは、保護者と本人が決めてよいことです。付き合いが続く相手には、「就学相談を経て決まった学級」と事実だけ伝える方法もあります。

Q
子どもがクラスで「ずるい」とからかわれています。どうすればいいですか?
A

担任や特別支援教育コーディネーターに相談してください。からかいが繰り返されている場合や、人格を否定する言葉を向けられている場合は、学校として対応すべき問題です。

Q
きょうだいに「ずるい」と言われたときはどう説明すればいいですか?
A

めがねや補助輪のような身近なたとえで、「できるようにするための手助け」だと伝える方法があります。あわせて、きょうだい自身が我慢を重ねていないか、その気持ちにも目を向けてください。

Q
特別支援学級に入れることを恥ずかしいと感じてしまいます。
A

そう感じるのは自然なことです。判断の軸は、子どもが安心して学べるかどうかに置いてください。学びの場はあとから変更することもできるため、「今のこの子に合う場所」を選ぶ考え方でかまいません。

まとめ:制度を知らない人の言葉に、説明する義務はない

明るい公園で自然に一緒に遊ぶ日本人の小学生たち
  • 「ずるい」の多くは、特別支援学級の仕組みが知られていないことから生まれる
  • 特別支援学級は法律に基づく学級で、就学相談を経て教育委員会が決める
  • 言われたときは「説明しない」「短く事実だけ伝える」「学校に相談する」から選ぶ
  • 子ども本人が傷ついたときは、説明より先に気持ちを受け止める
  • きょうだいやクラスの子には、めがねや補助輪のたとえが伝わりやすい
  • 保護者自身の「恥ずかしい」も自然な感情。判断の軸は子どもが安心して学べるか

特別支援学級を含む学びの場の違いは、特別支援学級・通級・特別支援学校・特別支援教室の違いで整理しています。

※本記事は2026年9月時点の公開情報に基づく一般的な情報提供であり、個別の相談や判断に代わるものではありません。特別支援学級の運用や指導内容は自治体や学校によって異なります。子どもがいじめやからかいを受けている場合は、担任や学校の相談窓口、自治体の教育相談窓口にご相談ください。

主な出典:学校教育法 第81条/障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(令和6年4月1日改正法施行)/文部科学省「障害のある児童生徒等に対する早期からの一貫した支援について(通知)」(平成25年10月4日 25文科初第756号)/八王子市「障害のあるお子さんの学級・教室・学校について」

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