特別支援学級・通級による指導・特別支援学校の違いは、どこに籍を置き、どれだけの時間を別に学ぶかです。特別支援学級は小中学校の中の少人数学級に籍を置き、通級は通常の学級に籍を置いたまま一部の時間だけ別の指導を受け、特別支援学校は学校そのものが障害のある子のための学校です。
東京都ではこれに加えて、通常の学級に在籍しながら自分の学校で指導を受ける「特別支援教室」という都独自の仕組みがあります。この記事では国の制度を軸に4つを比べ、東京都・八王子市の場合を分けて整理します。
違いは「籍」と「別に学ぶ時間の量」

4つの学びの場は、障害の重さの順に並んでいるわけではありません。まず押さえるべきは、子どもの籍がどこにあるかです。
- 通常の学級に籍がある——通級による指導、東京都の特別支援教室
- 特別支援学級に籍がある——小中学校の中にある少人数の学級
- 特別支援学校に籍がある——障害のある子のための独立した学校
籍の場所が変わると、毎日過ごす教室、学ぶ内容(教育課程)、そして中学卒業後の進路の組み立て方まで変わります。「支援を受けるかどうか」ではなく「どの形で受けるか」を選ぶ話だと考えると、判断しやすくなります。
4つの学びの場の比較表

| 特別支援学級 | 通級による指導 | 特別支援学校 | 特別支援教室(東京都) | |
|---|---|---|---|---|
| 籍 | 特別支援学級 | 通常の学級 | 特別支援学校 | 通常の学級 |
| 主に過ごす場所 | 少人数の学級 | 通常の学級 | 特別支援学校 | 通常の学級 |
| 別に学ぶ時間 | ほぼ毎日 | 一部の時間 | 学校生活すべて | 一部の時間 |
| 知的障害 | 対象になる | 対象外 | 対象になる | 対象外 |
| 主な設置先 | 小学校・中学校 | 小・中・高校 | 独立した学校 | 都内の公立小中学校 |
いちばん大きな分かれ目は、知的障害が通級の対象に含まれないことです。知的障害がある場合は、通級ではなく特別支援学級または特別支援学校が選択肢になります。
特別支援学級|小中学校の中の少人数学級に籍を置く

特別支援学級は、小学校・中学校の中に置かれる少人数の学級です。子どもはこの学級に籍を置き、障害に応じた特別な教育課程で学びます。
文部科学省の通知(平成25年10月、25文科初第756号)では、特別支援学級の対象として知的障害、肢体不自由、病弱・身体虚弱、弱視、難聴、言語障害、自閉症・情緒障害が挙げられています。発達障害に関係が深い2種類の対象は次のとおりです。
| 学級の種類 | 通知に示された程度 |
|---|---|
| 知的障害 | 知的発達の遅滞があり、他人との意思疎通に軽度の困難があり日常生活を営むのに一部援助が必要で、社会生活への適応が困難である程度のもの |
| 自閉症・情緒障害 | 自閉症又はそれに類するもので、他人との意思疎通及び対人関係の形成が困難である程度のもの/主として心理的な要因による選択性かん黙等があるもので、社会生活への適応が困難である程度のもの |
特別支援学級に在籍していても、教科や行事によっては通常の学級の子と一緒に学ぶこと(交流及び共同学習)があります。どの時間を一緒に過ごすかは学校ごとの運用によるため、見学のときに確認してください。
中学校の特別支援学級で実際にどんな授業や自立活動を受けるのかは、中学校の特別支援学級はどんなところ?で解説しています。
通級による指導|通常の学級に籍を置き、一部だけ別に学ぶ

通級による指導は、通常の学級に籍を置いたまま、障害による学習や生活の困難を改善するための指導を一部の時間だけ受ける仕組みです。授業のほとんどは通常の学級で受けます。
同じ通知では、通級の対象として言語障害、自閉症、情緒障害、弱視、難聴、学習障害、注意欠陥多動性障害、肢体不自由、病弱・身体虚弱が挙げられています。
- 自閉症・情緒障害——通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とする程度のもの
- 学習障害——全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示すもの
- 注意欠陥多動性障害——年齢又は発達に不釣り合いな注意力、又は衝動性・多動性が認められ、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすもの
ADHDや学習障害は、特別支援学級の対象としては挙げられておらず、通級の対象に入っています。「ADHDだから特別支援学級」とはならない点に注意してください。
通級は小中学校に加え、平成30年度(2018年度)から高校でも制度化されています。
通級の対象になる障害や判断のしかたは通級の対象になる子は?判定基準と申し込みの流れ、勧められて迷っている場合は通級を勧められたら?デメリット・効果・やめどきをご覧ください。
特別支援学校|障害のある子のための独立した学校

特別支援学校は、視覚障害・聴覚障害・知的障害・肢体不自由・病弱(身体虚弱を含む)の子のための学校です。対象となる障害の程度は、学校教育法施行令第22条の3に定められています。
幼稚部・小学部・中学部・高等部があり、子ども1人あたりの教員数が多く、障害に応じた設備や教材がそろっています。通学区域が広いため、スクールバスを運行している学校も多くあります。
特別支援学校に籍を置く子が、住んでいる地域の小中学校の子と交流する仕組みもあります。東京都ではこれを「副籍」と呼んでいます。
東京都の「特別支援教室」|自分の学校で受ける通級(都独自)

特別支援教室は東京都独自の仕組みで、ほかの道府県にはこの名前の制度はありません。都外の方は、ここは読み飛ばしてかまいません。
東京都では、発達障害や情緒障害のある子が通常の学級に在籍しながら、自分の学校の中で特別な指導を受けられるようにしています。教員が拠点校から各学校を巡回して指導する形なので、子どもが別の学校へ通う必要がありません。
八王子市の案内では、対象は次のように説明されています。
- 通常の学級に在籍する子のうち、知的な遅れを伴わない発達障害(自閉スペクトラム症、注意欠陥多動性障害、学習障害)、または情緒障害がある子
- 在籍学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とする程度
- 指導は週1回程度、個別指導計画に基づく自立活動の指導
国の制度でいえば「通級による指導」を、在籍校で受けられる形にしたものと考えると分かりやすいです。
東京都では、弱視・難聴・言語障害が固定の学級ではなく通級指導学級として置かれています。特別支援学級の7つの種類と都の区分は、特別支援学級の種類は7つ|知的と情緒の違い・東京都と八王子市の実際で整理しています。
八王子市の場合|情緒障害の固定学級はない

八王子市の公式ページ(2026年1月22日更新)で確認できる、市内の設置状況です。
| 学びの場 | 八王子市の設置状況(2026年4月〜) |
|---|---|
| 特別支援学級(知的障害・固定制) | 小学校28校・中学校20校 |
| 特別支援教室 | 全小中学校に設置(拠点校は小学校26校・中学校10校) |
| 通級指導学級 | 難聴(小学校1校・中学校1校)、言語障害(小学校4校) |
ここで最も重要なのは、八王子市には自閉症・情緒障害の固定学級がないことです。市のページは「令和7年の時点で」未設置と案内しています。ほかの自治体で「情緒の固定学級」に在籍していて八王子市に転入する、知的障害のない自閉スペクトラム症や場面緘黙の子については、原則として通常の学級に在籍して特別支援教室を利用する形で就学相談を始める、と書かれています。
2027年4月には、城山小学校と横川中学校に知的障害の特別支援学級が新設される予定です。
八王子市在住の子が選べる都立特別支援学校(小学部・中学部)は、知的障害が八王子特別支援学校・八王子西特別支援学校・多摩桜の丘学園、肢体不自由が八王子東特別支援学校・多摩桜の丘学園、視覚障害が八王子盲学校、聴覚障害が立川学園です。
知的障害があるかどうかで選択肢が分かれる

4つの学びの場から候補を絞るとき、最初の分かれ道は知的障害の有無です。
| 子どもの状態 | 候補になる学びの場 |
|---|---|
| 知的障害がある | 特別支援学級(知的)、特別支援学校 |
| 知的障害はなく、自閉症・情緒障害がある | 自閉症・情緒障害の特別支援学級、通級(東京都は特別支援教室) |
| ADHD・学習障害がある | 通級(東京都は特別支援教室) |
| 診断はないが困りごとがある | 通常の学級での支援から相談 |
ただしこれは制度上の整理です。実際にどこが合うかは、障害の状態だけでなく、必要な支援の内容、本人と保護者の希望、地域の設置状況をあわせて判断されます。八王子市のように自閉症・情緒障害の固定学級がない自治体では、表の2行目の選択肢が変わります。
入級の判断基準やIQの扱いは特別支援学級に入る基準は?で詳しく扱っています。
どう決まる?|就学相談と、あとから変えられること

どの学びの場にするかは、市区町村の教育委員会が行う就学相談を経て決まります。八王子市でも、特別支援学級・特別支援教室・通級指導学級・都立特別支援学校のいずれで支援を受ける場合も、市の就学相談を受ける必要があると案内されています。
文部科学省の手引(令和3年6月)では、就学先について、本人と保護者の意見を最大限尊重し、教育委員会・学校と合意形成を図ったうえで、最終的に市区町村教育委員会が決定することが適当とされています。
もうひとつ知っておきたいのは、一度決めた学びの場は固定ではないことです。同じ手引は、子どもの障害の状態や教育的ニーズは変化しうるため、就学後も教育相談を続け、学校や学びの場を柔軟に変更できるようにしていくことが適当だとしています。
療育の全体像は療育とは?内容・効果の考え方・いつから始めるかで整理しています。
よくある質問

- Q特別支援学級と通級の一番の違いは何ですか?
- A
籍の場所です。特別支援学級は少人数の学級に籍を置いてほぼ毎日そこで学び、通級は通常の学級に籍を置いたまま一部の時間だけ別の指導を受けます。また知的障害は特別支援学級の対象ですが、通級の対象ではありません。
- Q特別支援教室と通級指導教室は同じですか?
- A
役割は近いものの、特別支援教室は東京都独自の仕組みです。発達障害や情緒障害のある子が、別の学校へ通わず自分の学校の中で指導を受けられる点が特徴です。
- QADHDの子は特別支援学級に入れますか?
- A
文部科学省の通知では、ADHDは特別支援学級の対象として挙げられておらず、通級による指導の対象に入っています。自閉症や知的障害をあわせ持つ場合は、特別支援学級が候補になることがあります。
- Q八王子市に自閉症・情緒障害の特別支援学級はありますか?
- A
八王子市の公式案内では、自閉症・情緒障害特別支援学級(固定制)は令和7年の時点で未設置とされています。特別支援教室は市内の全ての小・中学校にあり、知的な遅れを伴わない発達障害などで、一部特別な指導が必要な子が対象です。
- Q一度特別支援学級に入ったら、通常の学級に戻れませんか?
- A
戻ることは可能です。文部科学省の手引は、子どもの状態の変化に応じて学びの場を柔軟に変更できるようにすることが適当としています。変更には改めて教育委員会との相談が必要です。
まとめ:まず籍の場所で整理し、地元の設置状況を確認する

- 違いの軸は「籍がどこにあるか」と「別に学ぶ時間の量」
- 知的障害は通級の対象外。知的障害があれば特別支援学級か特別支援学校
- ADHD・学習障害は、国の制度上は通級の対象
- 特別支援教室は東京都独自。自分の学校で通級の指導を受けられる
- 八王子市には自閉症・情緒障害の固定学級がなく、特別支援教室が中心になる
- 就学先は就学相談を経て決まり、あとから変更することもできる
次の一歩は、住んでいる自治体の就学相談の窓口と申請時期を確認することです。八王子市の場合は教育センターの就学相談(042-664-7524)が窓口です。周囲から「ずるい」と言われて悩んでいる場合は「特別支援学級はずるい」と言われたら、中学卒業後が気になる場合は特別支援学級から高校受験はできる?も参考にしてください。
※本記事は2026年9月時点の公開情報に基づく一般的な情報提供であり、個別の就学先の判断に代わるものではありません。学びの場の対象や手続きは、法令の改正や自治体の方針により変わることがあります。八王子市の設置状況は2026年1月22日更新の市公式ページに基づいており、年度ごとに変わります。東京都の特別支援教室は都独自の制度で、他の道府県では仕組みが異なります。実際の判断は必ずお住まいの自治体の就学相談でご確認ください。
主な出典:文部科学省「障害のある児童生徒等に対する早期からの一貫した支援について(通知)」(平成25年10月4日 25文科初第756号)/文部科学省「障害のある子供の教育支援の手引」(令和3年6月)/八王子市「障害のあるお子さんの学級・教室・学校について」


