「通信制高校に入試はあるのか」「落ちることはあるのか」——答えは、入試(選考)はあります。ただし全日制とは中身がまったく違います。
学力試験で輪切りにする仕組みではないため、通信制高校に偏差値は存在しません。代わりに見られるのは「これから学び続けられそうか」という一点です。この記事では、選考の実際・面接で聞かれること・落ちるケースまで具体的に整理します。
まず結論|偏差値はない。選考の中心は書類と面接

通信制高校の選考は、次の組み合わせが一般的です。
| 選考方法 | 内容 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 書類審査 | 願書・調査書・志望理由書など | ほぼ全校で実施 |
| 面接 | 本人(+保護者同伴の場合あり) | 中心。多くの学校で実施 |
| 作文・小論文 | 400〜800字程度のテーマ作文 | 実施する学校が多い |
| 学力試験 | 国語・数学・英語などの基礎的な内容 | 公立を中心に一部の学校で実施 |

偏差値ランキングを探しても見つからないのは、そもそも存在しないからです。「偏差値70の通信制」といった情報も原理的にありません(ただし、大学進学実績が高い学校・コースはあります。それは進学実績の読み方の話です)。
学力試験を課す学校でも、中学の基礎レベルの確認が目的で、選抜のための難問は出ません。
私立と公立で違う|ここが最大の分岐

私立通信制
- 書類+面接(+作文)が中心。学力試験は課さない学校が多数
- 出願時期が長い——4月入学のほか、転入・編入を随時または年数回受け付ける学校が多い
- 不合格は多くないものの、ゼロではありません(後述)
公立通信制
- 学力試験を課す学校がある(国数英などの基礎的内容)
- 出願時期が限定的——年1〜2回に絞られることが多く、募集人員に定員がある
- 学費が安いぶん倍率が上がることがある
- 居住地・勤務地の要件がある場合があります
「公立か私立か」で準備が変わるので、志望校が決まったら必ずその学校の募集要項を見るのが出発点です。公立の詳細は各都道府県の教育委員会サイトで公開されています。
面接で聞かれること|定番5つと答え方

聞かれる内容は驚くほど共通しています。「学力」ではなく「続けられるか」を確認する質問が中心です。
- 志望動機——「なぜこの学校を選んだか」
- 中学(前の高校)での様子——欠席が多い場合はその理由
- 入学後どう学びたいか——学習の進め方のイメージ
- 卒業後の希望——具体的でなくてよい
- 健康状態・生活リズム——通学コースの場合は特に
答え方のコツ
取り繕う必要はありません。 面接官は不登校・中退の経験がある生徒を日常的に見ているため、事情を隠すほうが不自然です。
効くのは就職面接と同じ構造で、「事実 → 今の状態 → これから」の順に短く話すことです。
- ✕「特にありません」「わかりません」だけで終わる
- ○「中学の後半は行けない日が多かったです。今は生活リズムが戻ってきたので、自分のペースで進められる通信制で卒業を目指したいです」
完璧な回答より、自分の言葉で答えようとしているかが見られます。
保護者が同席する場合
保護者同伴の面接では、家庭が学習を支える体制にあるかが確認されます。「本人任せにせず、レポートの進捗は一緒に確認します」といった具体性があれば十分です。
落ちるケースはあるのか

「通信制は誰でも入れる」と言われがちですが、実際には不合格になることがあります。主なケースは次の4つです。
- 定員超過——公立や人気校で募集人員に達した場合
- 面接の欠席・無断キャンセル——選考を受けていない扱いになります
- 本人に通学・学習の意思が確認できない——「親に言われて来ただけ」が明確な場合。学校側も卒業できない入学をさせたくないためです
- 学校の受け入れ体制と合わない——医療的ケアやサポートの必要度が、その学校の体制では対応できないと判断された場合
N高のように、コースによって選考が実質的に競争になる例もあります(通学コースは定員があり、筆記・面接があります。詳細はN高の入試の記事)。
逆に言えば、期日を守り、面接に出て、自分の言葉で意思を伝えれば、通常は通ります。
服装・持ち物などの実務

検索が多い細かい点をまとめます。
- 服装——中学の制服が無難ですが、私服可の学校も多い(募集要項に明記されています)。私服の場合は「きれいめ」で十分。派手な装飾は避ける
- 髪色・ピアス——校則が緩い学校が多いとはいえ、面接は面接です。当日は控えめにしておくほうが安全です(入学後の自由度とは別問題)
- 作文対策——テーマは「志望動機」「高校生活で頑張りたいこと」など定番です。時間を計って一度書いてみるだけで大きく違います
- 持ち物——受験票・筆記用具・時計。募集要項の指定を必ず確認
出願のスケジュール感

- 4月入学(新入学)——中3の秋から冬に出願というのが一般的な流れ
- 転入——在籍したまま移るため、随時受け付ける学校が多い(転入・編入の記事参照)
- 編入——退学後に入り直すルート。受け入れ時期が限られる場合があります
公立は年1〜2回に限定されることが多いため、公立志望なら早めに教育委員会の情報を確認してください。
よくある質問

Q. 内申点は関係ありますか?
全日制のように点数で輪切りにする使い方はしません。調査書は提出しますが、欠席日数が多くても不合格の直接理由にはなりにくいのが実態です(高校受験と内申の関係も参照)。
Q. 中学の勉強がほとんど分かりません。入れますか?
入れます。学力試験がない学校を選べば学力は選考対象になりませんし、試験がある場合も基礎の確認が目的です。入学後の学び直しについては勉強の遅れの記事へ。
Q. 面接に落ちたらどうなりますか?
他校に出願できます。私立は出願機会が多く、時期をずらして再挑戦できる学校もあります。1校に絞らず、2校程度は候補を持っておくと安心です。
Q. 親が同席しないとダメですか?
学校によります。保護者同伴を求める学校、本人のみの学校、どちらもあります。募集要項に明記されているので確認してください。
Q. 入試に落ちる確率はどのくらいですか?
公表されている統一の数値はありません。私立で書類・面接中心の学校では不合格は多くない一方、公立や定員のある通学コースでは倍率が生じます。学校ごとに差が大きいため、志望校の募集要項と説明会で直接確認するのが確実です。
まとめ:通信制に偏差値はない。見られるのは「続ける意思」

- 入試はあるが、中心は書類・面接・作文。偏差値は存在しない
- 私立=面接中心で出願機会が多い/公立=学力試験と定員があり時期が限定的
- 面接は「学力」ではなく続けられるかを見る。事実を隠さず、自分の言葉で話せば十分
- 落ちるのは定員超過・面接欠席・意思が確認できない・体制が合わないの4ケース
- 服装は制服か私服可(要項に従う)。作文は一度書いてみるだけで差がつく
学校選びの段階からやり直したい方は、通信制高校の選び方7ステップをどうぞ。
※本記事は2026年8月時点の一般的な情報提供です。選考方法・出願時期・定員は学校ごとに大きく異なり、年度によって変更されます。出願前に必ず各校の募集要項でご確認ください。記事内にはプロモーションが含まれます。
主な出典:学校教育法施行規則/各都道府県教育委員会および各通信制高校の募集要項
