「不登校はずるい」と言われたら|きょうだい・周囲・自分自身への向き合い方【2026年8月時点】

家族それぞれに必要な時間を考える日本人の親子 不登校の基礎

「学校に行かなくていいなんてずるい」——この言葉は、大きく3つの場面から出てきます。きょうだいから/周囲の大人から/そして本人や親自身の心の中から

それぞれ必要な対応がまったく違います。特にきょうだいの「ずるい」は、制度や事情を説明しても解決しません。この記事では、場面ごとに整理します。

① きょうだいの「ずるい」|これは訴えであって、批判ではない

不登校をずるいと感じやすい3つの場面を整理した図解

いちばん多く、いちばん誤解されやすいのがこれです。

言葉の裏にあるもの

きょうだいが「ずるい」と言うとき、本当に言いたいのはたいてい次のどれかです。

  • 「私にも目を向けて」——親の関心が不登校の子に集中している現実を、正確に感じ取っている
  • 「私はがんばって行っているのに」——実は本人も学校がしんどく、ぎりぎりで通っている場合がある
  • 「この家の空気が苦しい」——家庭の緊張状態そのものへの反応

つまりこれは不登校の子への批判ではなく、自分の状況についての訴えです。だから「あの子は体調が悪いの」「事情があるの」と説明しても、届きません。求めているのは説明ではないからです。

やってはいけない対応

  • 「お姉ちゃんなんだから我慢して」——訴えを封じるだけで、不公平感が固定されます
  • 「あの子は苦しいんだから」——「じゃあ私の苦しさは?」となり、逆効果です
  • きょうだいを味方につけようとする——「一緒に支えてあげて」は、子どもには重すぎる役割です

効くのは「時間の確保」

説明よりも、その子だけの時間を短くていいので定期的に作ることです。

  • 週に1回、15分でいい。その子とだけ話す・出かける時間を予定として入れる
  • 「あなたが学校でがんばっているのを知っている」と、成果ではなく事実として認める言葉をかける
  • 「ずるい」と言えたこと自体を否定しない——「そう思ったんだね」でいったん受ける

不公平感は「説明されて納得する」ものではなく、「自分も大事にされている実感」でしか埋まりません。時間は短くていいので、続くことのほうが大事です。

② 周囲の大人の「ずるい」|説明する義務はない

周囲の言葉との境界線と対応方法を示す図解

親戚・近所・保護者仲間から言われるケースです。多くは悪意ではなく、不登校の実態を知らないことから出ています。

「家でゲームばかりで楽しそう」に見えても、実際には自己否定・将来不安・生活リズムの乱れを抱えていることがほとんどです(不登校の原因の記事参照)。

対応は放課後等デイの「ずるい」と同じ構造で、①流す ②一言だけ返すの二択で十分です。

  • 「行けないだけで、休んでいるわけじゃないんです」
  • 「本人がいちばん焦っていますよ」

長く説明するほど、こちらが言い訳している構図になります。相手を教育する義務は保護者にはありません。関係を続ける必要のない相手なら、距離を取る判断も正解です。

制度上も、不登校は「怠け」ではなく支援の対象として位置づけられており(文部科学省の通知でも、登校という結果のみを目標にしない方針が示されています)、引け目を感じる筋合いはありません

③ 本人の「みんなはずるい」/親の「うちだけずるいのでは」

本人と親の不公平感を事実と気持ちに分けて整理する図解

いちばん見落とされるのが、この内向きの「ずるい」です。

本人が感じる場合

不登校の子自身が、「普通に通えるみんながずるい」「自分だけできない」と感じることがあります。これは他者への攻撃ではなく、自己否定の裏返しです。

このとき「みんなも大変なんだよ」と一般化するのは逆効果です。「そう感じるくらいしんどいんだね」と、感情の存在だけを認めるほうが届きます。動き出しの段階については再登校のきっかけの記事で扱っています。

親が感じる場合

「支援を受けてばかりで申し訳ない」「働いている他の親に比べて」——この罪悪感は、支援から遠ざかる方向に働くので危険です。

相談窓口も、フリースクールも、出席扱いの制度も、使われることを前提に作られています。使わずに家庭だけで抱え込んで消耗することは、子どもにとっても良い結果になりません。

「ずるい」が出やすい家庭状況のチェック

家庭内の時間・役割・説明・休息を見直すチェック図解

きょうだい間の不公平感が強まりやすいのは、次のような状態のときです。当てはまるなら、家庭の運用を調整する余地があります。

  1. 家庭の会話が不登校の話題に偏っている——食卓の話題が毎日それになっていないか
  2. 家のルールが片方だけ緩い——ゲーム時間・起床時間などが目に見えて違う(体調上の理由があっても、説明なしだと不公平に映ります)
  3. きょうだいの予定が後回しになっている——習い事・行事が「今それどころじゃない」で削られていないか
  4. 親が疲れ切っている——余裕がないと、手のかからない子ほど放置されます(親のメンタルの記事へ)

特にルールの差は、意図的に説明しておくと不公平感が下がります。「今は体調に合わせているけど、ずっとこのままじゃない」と伝えておくだけでも違います。

よくある質問

不登校と不公平感に関するよくある質問

Q. きょうだいに、不登校の事情をどこまで説明すべきですか?

年齢に応じて、事実だけを短く伝えれば十分です(「今は学校に行くのがしんどい時期で、家で休んでいる」など)。診断名や詳細な事情を共有する必要はありません。説明の量より、その子自身への関心の量が効きます。

Q. きょうだいまで学校に行きたくないと言い出しました。

珍しいことではありません。「ずるい」の延長ではなく、その子自身のSOSである可能性を先に考えてください。まず本人の話を聞き、必要なら相談窓口へ。「1人目で手一杯だから」と後回しにしないことが大事です。

Q. 祖父母に「甘やかしている」と言われます。

世代によって不登校の理解は大きく異なります。説得は難しいので、会う頻度や話題を調整するほうが現実的です。どうしても必要なら、文部科学省の方針(登校という結果のみを目標にしない)を根拠として一言だけ伝える手もあります。

Q. 本人に「ずるいと言われた」と伝えるべきですか?

基本的に伝える必要はありません。本人の自己否定を強めるだけになりがちです。ただし本人が直接言われた場合は、隠さず「それは相手が知らないだけ」と明確に否定してあげてください。

まとめ:3つの「ずるい」は、それぞれ別の対応がいる

必要に応じて時間を配分し穏やかに過ごす日本人家族
  • きょうだいの「ずるい」=訴え。説明ではなく、その子だけの短い時間を定期的に確保する
  • 周囲の大人の「ずるい」=情報のなさ。説明する義務はない。流すか一言で十分
  • 本人・親の内向きの「ずるい」=自己否定。感情を認める/制度は使う前提で作られていると知る
  • 家庭内のルールの差は言葉にして説明しておくと、不公平感が下がる

同じ構造の話を制度側から整理した記事もあります。周囲から支援の使い方を非難された場合は放課後等デイは「ずるい」?の記事もどうぞ。


※本記事は2026年8月時点の一般的な情報提供であり、個別の診断・助言に代わるものではありません。お子さんの状況によって適切な対応は異なります。必要に応じて専門機関にご相談ください。記事内にはプロモーションが含まれます。

主な出典文部科学省 不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)

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