八王子市立高尾山学園は、不登校の子のための、公立の小・中一貫校です。国から「学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)」の指定を受けていて、授業時数を減らした特別な教育課程で学びます。
転入できるのは、八王子市内に住み、市立の小・中学校などに在籍している、小学4年生から中学3年生です。年間30日以上の欠席などが条件で、先に学園内の適応指導教室「やまゆり」に通います。
この記事では、転入の条件と流れ、授業の中身、卒業後の進路、知っておきたい注意点を、2026年10月4日に確認した八王子市と学園の公式情報で整理します。
高尾山学園とは|不登校の子のための公立の小・中一貫校

高尾山学園は、2004年(平成16年)4月に、構造改革特区の制度を使って開設された八王子市立の学校です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式な名前 | 八王子市立高尾山学園(小学部・中学部) |
| 位置づけ | 公立の小・中一貫校。学びの多様化学校(不登校特例校) |
| 開設 | 2004年(平成16年)4月 |
| 対象の学年 | 小学4年生から中学3年生 |
| 児童・生徒の数 | 92人(2026年4月1日現在。小学部17人、中学部75人) |
| 所在地 | 東京都八王子市館町1097-30 |
| 行き方 | JR高尾駅・京王高尾駅の南口から館ヶ丘団地行きのバスで10分、「穎明館高校前」下車すぐ |
学園は、対象を「病気や経済的な理由を除き、何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因や背景により、登校したくてもできない児童・生徒」と説明しています。
学校教育法にもとづく正式な学校です。フリースクールや教育支援センターとは違い、転入すると、在籍する学校そのものが高尾山学園になります。
学びの多様化学校の制度と、全国・東京都内の一覧は、学びの多様化学校(不登校特例校)とは?全国84校・東京14校の一覧と、入る条件にまとめています。
転入できる子|対象と条件

転入の対象になるのは、次の2つの条件を満たす子です。
- 八王子市内に住んでいて、八王子市立の小・中学校などに在籍している
- 年間30日以上の欠席がある、または保健室や相談室への登校、適応指導教室への通級をしていて、今もその状態が続いている
病気や経済的な理由で登校できていない場合は、対象から除かれます。
ほかの区市町村に住んでいる場合は、そのままでは転入できません。八王子市の公式ページ(2023年5月更新)は、八王子市に転居し、市の小・中学校に在籍したのちに、適応指導教室「やまゆり」を経て転学する、としています。くわしくは登校支援担当に確認してください。
八王子市教育委員会のパンフレット「おいでよ!高尾山学園」(2024年11月)は、不登校の改善ができそうなタイプと、むずかしいタイプも書いています。
学園で不登校の改善ができそうなタイプ:
- 本人に「学園に通いたい」という気持ちや目的があり、ある程度の集団なら大丈夫
- 「人とかかわりたい」「勉強してみたい」という思いがある
- ほかの子や教職員と話ができる
- 自分で、または保護者などの協力があれば通学できる
- 保護者も子どもや学校に協力できる
学園で不登校の改善がむずかしいタイプ:
- 本人に「学園に通いたい」という気持ちや意欲が出てこない
- ほかの児童・生徒の生活を阻害したり、友だち関係に支障をきたしたりする発言や行動をする
- 生活指導上に著しく課題がある(暴言暴力、染髪、ピアス、服装や生活の乱れなど)
- 通常の学校生活が困難なほどの心身の障害がある
パンフレットは、どちらのタイプでも、本人の「学園に通いたい」という気持ちを最初に挙げています。やまゆり教室の入級の条件にも、本人が転入学を希望していることが入っています。当サイトは、親が先に決めて連れていく形は合いにくいと読み取りました。
転入までの流れ|「やまゆり教室」から始まる

高尾山学園には、いきなり転入するのではありません。先に、学園の中にある適応指導教室「やまゆり」に通います。
- 電話で、見学・面談を申し込む(登校支援担当 042-663-3216)
- 合同見学会に参加する
- 見学会のあと家庭で相談し、転入を目指すと決めたら、もう一度登校支援担当に電話する
- 面談を受ける(登校支援担当のスタッフ、副校長、本人、保護者)
- やまゆり教室に体験で通い、正式に入級する。正式な入級には、在籍校と保護者が「入級支援シート」を作り、在籍校の校長が申請する
- 学園の児童・生徒との体験交流をする
- 転入学審査会を受ける
- 転入学の手続きをする
転入するかどうかは、本人と保護者が最終的に決めます(パンフレット)。
転入の機会は、8月と3月を除く毎月です。転入学審査会は年10回あります。
文部科学省の資料(2024年2月改定)は、定員は設けず、やまゆりへの通級体験を通して準備が整った子から毎月転入できるしくみ、と紹介しています。一方で、2025年度の学校経営報告書は、受け入れ人数が逼迫傾向にあるとしています。
やまゆり教室に通った日は、在籍校の校長の判断で、指導要録上の出席扱いになります(やまゆり教室のしおり)。
合同見学会の日程(2026年度の残り)
| 日程 |
|---|
| 2026年10月26日(月) |
| 2026年11月24日(火) |
| 2026年12月23日(水) |
| 2027年1月21日(木) |
| 2027年2月15日(月) |
| 2027年3月16日(火) |
申込みは、登校支援担当(電話 042-663-3216)です。学園は、年間を通して地域・一般への公開はしていない、としています。見学は合同見学会に申し込んでください。
日程は変わることがあります。申し込む前に、学園の公式サイトで確認してください。
学園の1日と授業|授業時数は約2割少ない

登校は9時から9時30分です。パンフレットは、この時間に登校できなくても大丈夫で、自分のペースで登校する、としています。
| 時間 | 内容 |
|---|---|
| 9:00〜9:30 | 登校 |
| 9:30〜9:40 | 朝読書 |
| 9:55〜 | 授業(1時間は45分) |
| 昼 | 給食かお弁当 |
| 火・木の午後 | 講座学習(小・中合同で、講座を選んで学ぶ) |
パンフレット(2024年11月)によると、授業は週あたり19時間(道徳や学活を含む)で、そこに講座学習の4時間が加わります。
1年間の授業時数は、2026年度の計画で、小学4〜6年生が754時間、中学1・2年生が748時間、中学3年生が745時間です。文部科学省の資料は、通常の教育課程に比べて約2割の削減、としています。
中学2・3年生は、2つのコースから選べます。
- ベーシックコース:英語・数学・国語は、できるかぎり一人ひとりに応じた指導をする
- チャレンジコース:英語・数学・国語は、一斉授業で学年相応の内容を学ぶ
授業について、パンフレットは次の注意を書いています。
「本校の授業は基礎・基本重視であり、地域の小・中学校と比べると授業時数が少ないです。お子さんの進路希望によっては家庭学習や塾などでのサポートが必要になります。」
家庭での学習の進め方は不登校の勉強の遅れはどう取り戻す?、塾や家庭教師の選び方は不登校の子の塾・家庭教師で扱っています。
支える体制|教室以外の居場所と、大人の数

学園には、教室のほかに、プレイルーム・保健室・相談室という居場所があります。
パンフレットは、学園の過ごしやすさの1つに「大人がたくさんいる」ことを挙げています。学校の基本情報に載っている主な職種は、次のとおりです(2026年4月1日現在・抜粋)。
| 職種 | 人数 |
|---|---|
| 教員(小学部3人、中学部10人) | 13人 |
| 養護教諭(小学部1人、中学部1人) | 2人 |
| 都のスクールカウンセラー(小学部1人、中学部1人。週1日) | 2人 |
| 心理相談員(市教育委員会の登校支援室の職員) | 4人 |
| 指導補助員 | 9人 |
| プレイルーム担当 | 4人 |
| スクールソーシャルワーカー(市教育委員会の登校支援室の職員。市内の学校全体を担当) | 15人 |
登校支援室は、市の教育委員会が学園の中に置いている部署です。スクールソーシャルワーカーは、市内の学校からの依頼で派遣される職です(パンフレット)。
特別支援教室「きよたき教室」も、小学部・中学部にあります。
一方で、学園は次のように明記しています。
「本校は特別支援学校ではないので療育に関しては対応ができません。」
発達の特性への支援を中心に考える場合は、療育や放課後等デイサービスも選択肢になります。不登校と発達障害・HSCで整理しています。
卒業後の進路|通信制高校と定時制の都立高校が中心

パンフレット(2024年11月発行)は、過去5年間の卒業生の進路を、次のように載せています。どの年度の5年間かは、書かれていません。
| 進路 | 割合 |
|---|---|
| 通信制の私立高校 | 53% |
| 定時制の都立高校 | 25% |
| 全日制の私立高校 | 7% |
| 全日制の都立高校 | 7% |
| 高等専修学校 | 3% |
| その他(特別支援学校など) | 5% |
定時制の都立高校の進学先には、八王子拓真高校、世田谷泉高校、稔ヶ丘高校、六本木高校などが挙がっています。
学園の2026年度の計画は、卒業生の進路決定率90%、年間の平均出席率70%を目標にしています。
通信制高校のしくみは通信制高校とは?、内申や欠席日数の扱いは不登校からの高校受験で扱っています。
給食・通学・服装

- 給食:2024年9月から無償です。2026年度も無償化が続いています。申込制で、お弁当を持ってくることもできます。やまゆり教室に正式に入級した子も、給食を食べられます
- 通学:公共交通機関や車での送迎などで通います。自転車通学は認められていません。やまゆり教室に通う間も、電車・バスの通学定期券を買えます。在籍校が発行する通学証明書などが必要です(やまゆり教室のしおり)
- 服装:決められた標準服はありません(推奨服はあります)。髪の脱色・染色やピアスなどは禁止です
公立の小・中学校なので、授業料はかかりません(教育基本法第5条)。給食以外の費用(教材費など)について、公式ページには記載が見つかりませんでした(2026年10月4日に確認)。見学や面談のときに確認してください。
知っておきたい注意点|公式が書いていること

市と学園の公式の資料は、弱い面も書いています。転入を考える前に、次の5つを知っておいてください。
- 授業時数が少ない:文部科学省の資料によると通常より約2割少なく、パンフレットは、進路によっては家庭学習や塾のサポートが必要としています
- 療育には対応できない:特別支援学校ではないため、と学園が明記しています
- 自由さが合わない子もいる:パンフレットは、お子さんによっては自由さが逆効果になったり、混乱の原因につながったりすることもある、としています
- 100人程度の集団である:特別な配慮はあっても集団生活です。お互いの違いや事情を尊重することが大切、とされています
- 受け入れに余裕が少なくなっている:2025年度の学校経営報告書は、転入する子が増え、受け入れ人数は物理的に逼迫傾向にある、としています
パンフレットは保護者に向けて、転入することがゴールではなく、転入してからが本当のスタート、とも書いています。
当サイトは、合同見学会に本人と一緒に参加し、本人が「通ってみたい」と思えるかどうかを最初に確かめるのがよいと考えます。パンフレットがタイプの最初に本人の気持ちを挙げ、やまゆり教室の入級の条件にも本人の希望が入っているためです。
高尾山学園以外の、八王子市の支援

高尾山学園が合わない場合や、在籍校に戻ることを目指す場合は、ほかの窓口があります(八王子市の公式ページ)。
| 窓口 | 内容 | 電話 |
|---|---|---|
| 適応指導教室「ぎんなん」(散田町) | 在籍校への復帰を目指す | 042-664-5124 |
| 適応指導教室「松の実」(鹿島) | 在籍校への復帰を目指す | 042-676-7445 |
| 心理教育相談(教育センター) | 子どもの心理や教育の相談 | 042-664-6949 |
| こども電話相談 | 子ども専用の相談電話 | 042-664-3665 |
八王子市は、市内の小・中学生の保護者に向けた講演会「保護者サロン」も開いています(2026年度は4回の予定)。
相談先の全体は不登校の相談先一覧、民間の居場所はフリースクールとは?にまとめています。
よくある質問

- Q高尾山学園には、誰が入れますか?
- A
八王子市内に住み、八王子市立の小・中学校などに在籍している、小学4年生から中学3年生です。年間30日以上の欠席があるか、保健室・相談室への登校や適応指導教室への通級が続いていることが条件です。
- Q八王子市の外に住んでいても、入れますか?
- A
そのままでは入れません。八王子市の公式ページ(2023年5月更新)は、市に転居して市立の小・中学校に在籍したのちに、適応指導教室「やまゆり」を経て転学する、としています。
- Qいつ転入できますか?
- A
転入の機会は、8月と3月を除く毎月です。先にやまゆり教室に通い、転入学審査会を受けます。
- Q見学はできますか?
- A
合同見学会に申し込むと見学できます。学園は、地域・一般への公開はしていません。申込みは登校支援担当(042-663-3216)です。
- Q高校受験で不利になりますか?
- A
確認した公式の資料には、受験で有利・不利になるという記述はありませんでした。授業時数が少ないため、パンフレットは、進路希望によっては家庭学習や塾などのサポートが必要、としています。パンフレット(2024年11月)に載っている過去5年間の卒業生では、通信制の私立高校と定時制の都立高校が合わせて78%で、全日制の高校にも進んでいます(都立7%、私立7%)。内申や欠席日数の扱いは、不登校からの高校受験で整理しています。
- Q費用はかかりますか?
- A
公立の小・中学校なので、授業料はかかりません。給食は、2026年度も無償です。
まとめ

- 高尾山学園は、不登校の子のための、八王子市立の小・中一貫校です。対象は小学4年生から中学3年生です
- 転入できるのは、八王子市内に住み、市立の小・中学校などに在籍していて、年間30日以上の欠席などがある子です
- 先に適応指導教室「やまゆり」に通います。転入の機会は、8月と3月を除く毎月です
- 授業時数は通常より約2割少なく(文部科学省の資料)、進路によっては家庭での学習や塾のサポートが必要とされています
- パンフレット(2024年11月)に載っている過去5年間の卒業生では、通信制の私立高校と定時制の都立高校が、合わせて78%でした
中学卒業後の進路の全体は、不登校の中学卒業後の進路にまとめています。
※本記事は2026年10月4日時点の、八王子市・八王子市立高尾山学園・文部科学省の公開情報にもとづく一般的な情報提供です。転入の条件、見学会の日程、授業の内容は変わることがあります。転入を考えるときは、必ず登校支援担当(042-663-3216)と公式サイトでご確認ください。当サイトは、高尾山学園および八王子市教育委員会とは関係のない、民間のサイトです。
主な出典(いずれも2026年10月4日確認):八王子市立高尾山学園 公式サイト(学校の基本情報、転入学について、学校のミッション、給食、アクセス)/八王子市「高尾山学園」/八王子市教育委員会「おいでよ!高尾山学園」(パンフレット・令和6年11月)/八王子市「適応指導教室」/八王子市「やまゆり教室のしおり」/高尾山学園「令和8年度 教育課程」「令和8年度 学校経営計画」「令和7年度 学校経営報告書」/文部科学省「学びの多様化学校の設置に向けて【手引き】」(令和6年2月改定)


