間欠性爆発性障害(間欠爆発症・IED)は、きっかけに不釣り合いな怒りの爆発を、衝動的に繰り返す状態です。診断は医師が行うもので、チェックリストに答えるだけでは判定できません。このページのセルフチェックは、20の質問から怒りの爆発が「どこで・どんな形で」起きているかを4つの領域で整理するためのものです。
あわせて、診断基準にある頻度の数字(3か月間で平均して週2回、または12か月間で3回)と見比べられるように、頻度をたずねる質問を2つ用意しました。所要時間は約3分、登録は不要です。結果は、受診や相談のときに見せられるメモとしてコピーできます。
※このセルフチェックは医学的な診断ではありません。設問は当サイトが独自に整理したもので、標準化された心理検査ではなく、点数で重さを判定することもしません。
間欠性爆発性障害セルフチェック(20問と頻度の質問2問・約3分)
この3か月の自分を振り返って、当てはまる度合いを4段階で選んでください。ご家族のことを思い浮かべて答えても構いません。回答は送信されず、端末の外へは出ません。
怒りの爆発は、どこで起きていますか
20の質問と、頻度をたずねる2つの質問に答えると、怒りの爆発がどこで・どんな形で起きているかが4つの領域で見えます。所要時間は約3分、登録は不要です。
この3か月を振り返って選んでください
怒りの爆発が起きている場所
受診・相談のときに見せられるメモ
下の文章は、今回の回答をまとめたものです。コピーして保存しておくと、医療機関や相談窓口で状況を説明しやすくなります。
結果の見方|4つの領域が示すこと

結果は、合計点ではなく領域ごとの当てはまり方で見ます。どの領域が高いかによって、先に読むとよい記事や、受診のときに伝えるとよい内容が変わるからです。
| 領域 | 見ていること | 高かったときに考えること |
|---|---|---|
| 爆発の出方 | 怒鳴る、強い言葉で責める、物に当たる、手が出るなど、怒りがどんな形で外に出ているか | 自分と周りの安全を先に確保する。怒りが高まったらその場を離れる、と落ち着いているときに決めておく |
| きっかけと衝動性 | きっかけに比べて反応が大きいか、考える前に爆発しているか、短時間でおさまるか | 間欠性爆発性障害の中心になる特徴と重なる。ADHDの衝動性や、ASDのこだわり・感覚の負担が関わることもある |
| あとの影響 | 後悔や自己嫌悪、家族・職場との関係、お金や立場への影響 | 回数が少なくても、生活に支障が出ていれば相談や受診の理由になる |
| 引き金の条件 | 寝不足・空腹、音や人混み、予定の変更、あいまいな指示、家族の前でだけ、など爆発しやすい条件 | 条件が分かっていれば減らせる。睡眠と食事を整える、予定や指示の伝え方を周りと相談する |
4つの領域のどれも高くなくても、怒りのことで困っているなら相談して構いません。このチェックは、困りごとを言葉にするための道具で、相談してよいかどうかを決めるものではないからです。
受診を考える目安|診断基準にある頻度の数字

受診を考える目安になるのは、爆発の頻度と、生活への支障です。アメリカ精神医学会の診断基準DSM-5は、間欠性爆発性障害の爆発の頻度を次のように定めています。
| 爆発の種類 | 診断基準にある頻度 |
|---|---|
| 言葉での攻撃(かんしゃく、激しい非難、口論)や、物・人への攻撃のうち、壊したりけがをさせたりしないもの | 3か月間で平均して週2回 |
| 物を壊す、人や動物にけがをさせる爆発 | 12か月間で3回 |
ただし、この頻度に当たるだけでは診断になりません。DSM-5は、ほかに次の点を求めています。
- 爆発の強さが、きっかけとなった出来事と比べてひどく釣り合わないこと
- 前もって計画したものではなく、お金や立場などを得るための行動でもないこと
- 本人に明らかな苦痛があるか、仕事や対人関係に支障が出ているか、経済的・司法的な結果につながっていること
- 6歳以上であること
- うつ病、双極性障害、パーソナリティ障害などのほかの精神疾患、頭部外傷や認知症などの体の病気、薬やアルコールの影響では説明できないこと
最後の「ほかの病気では説明できないこと」を確かめられるのは医師だけです。セルフチェックで頻度の目安に当たった場合も、当たらなかった場合も、怒りの爆発で生活に支障が出ているなら、精神科または心療内科に相談してください。診断基準の全体と治療については、間欠性爆発性障害(IED)とは?診断基準・原因と治療・家族の対応で解説しています。
受診のときに伝えるとよいこと
受診のときは、爆発の頻度、きっかけ、続く時間、直後の気持ち、10代の頃からあったか、飲酒との関係を整理して伝えると、診察が進みやすくなります。セルフチェックの結果メモをコピーして、「いつごろから」「いちばん困っていること」を書き足して持っていくと、短い診察時間でも状況が伝わりやすくなります。
怒りの爆発と、ADHD・ASD・そのほかの状態との関係

怒りの爆発は、間欠性爆発性障害だけで起きるものではありません。DSM-5も、ほかの病気で説明できる場合はそちらを優先するとしています。一方で、ADHDやASDのある人でも、爆発がその障害で通常みられる程度を超えていて治療が必要な場合は、間欠性爆発性障害を追加で診断できるとしています。
| 背景 | 怒りの出方の特徴 | くわしい記事 |
|---|---|---|
| ADHD | 衝動的にカッとなる。忘れ物や遅刻、不注意などの困りごとが子どもの頃から並行してある | ADHDの大人男性がキレる本当の原因 |
| ASD | 予定の変更、音や光などの感覚の負担、あいまいな指示への強い動揺として出る | 大人のアスペルガー(ASD)が怒りやすいのはなぜ? |
| 家族の前でだけ | 外では抑えられるのに、家で爆発する。疲労や過剰適応の反動、関係のこじれが背景にあることも多い | 家族にだけキレる大人は病気? |
| 思い通りにならないとき | 自分のやり方や予定を崩されたときに爆発する | 自分の思い通りにならないと怒る大人は病気? |
大人になってから急に怒りっぽくなった場合は、うつ病や双極性障害、睡眠不足、飲酒の影響、脳の病気などを先に確かめる必要があります。セルフチェックの「引き金の条件」が高かった人は、ADHDテスト(ASRS)やAQテストで、発達特性の傾向もあわせて整理しておくと、受診のときの材料になります。
今日からできること|爆発の前・最中・あと

怒りの爆発への対処は、前・最中・あとの3つの場面に分けると取り組みやすくなります。ここに挙げるのは、治療の土台として広く勧められている生活の調整で、受診の代わりになるものではありません。
| 場面 | できること |
|---|---|
| 前(ふだん) | 睡眠不足、空腹、飲酒、過労は爆発しやすさを高める。まずここを整える。爆発した日時・きっかけ・その前の体調を記録して、自分の引き金と前ぶれ(動悸、体のこわばりなど)をつかむ |
| 最中(高まってきたとき) | 説明や説得を続けず、その場を離れて時間をおく。「席を外す」という合図を、落ち着いているときに家族や同僚と決めておく |
| あと(おさまってから) | 自分を責め続けるより、記録に戻る。繰り返しているなら、記録を持って精神科・心療内科に相談する。治療では、怒りの記録やリラクセーション、考え方のくせの見直しを行う認知行動療法と、必要に応じた薬物療法が用いられる |
感情のコントロール全般については、「感情のコントロールができない」大人の発達障害でも扱っています。
家族や相手を傷つけてしまいそうなときの相談先

物を壊した、人にけがをさせた、またはそうなりそうだと感じるときは、対処法を試すより先に、外の窓口につながってください。本人からも、家族からも相談できます。
| 窓口 | 連絡先 | 内容 |
|---|---|---|
| こころの健康相談統一ダイヤル | 0570-064-556 | 電話をかけた地域の、都道府県・政令指定都市が行う公的な相談窓口につながる(通話料がかかります。受付時間は地域により異なります) |
| よりそいホットライン | 0120-279-338 | 24時間対応・無料。暮らしや心の悩みを幅広く相談できる |
| DV相談ナビ | #8008 | 配偶者やパートナーからの暴力に悩んでいる人向け。最寄りの配偶者暴力相談支援センターにつながる |
| 警察 | 110 | 身の危険があるときは、ためらわずに通報する |
ご家族の側が消耗している場合は、カサンドラ症候群セルフチェックで、ご自身の負担がどこにかかっているかも整理してみてください。家族の対応のしかたは、間欠性爆発性障害の解説記事の「家族の対応」にまとめています。
間欠性爆発性障害のセルフチェックに関するよくある質問

- Qこのセルフチェックで、間欠性爆発性障害かどうか分かりますか?
- A
分かりません。間欠性爆発性障害は、医師が爆発の頻度と期間、きっかけとの釣り合い、生活への支障、ほかの病気で説明できないことを確かめて診断します。このチェックは、怒りの爆発がどこでどんな形で起きているかを整理し、受診や相談のときの材料にするためのものです。
- Q何個当てはまったら受診したほうがいいですか?
- A
当てはまる数で決まる基準はありません。目安になるのは頻度と生活への支障です。言葉での爆発が3か月間で平均して週2回ほどある、物を壊す・けがをさせる爆発が12か月間に3回ある、または回数が少なくても仕事や家族関係に支障が出ている場合は、精神科・心療内科への相談を考えてください。
- Q間欠性爆発性障害は何科を受診すればいいですか?
- A
精神科または心療内科です。怒りの爆発を理由にした受診は珍しくありません。爆発の頻度、きっかけ、続く時間、直後の気持ちを整理して伝えると、診察が進みやすくなります。
- Q怒りっぽい性格や、キレやすい性格との違いは何ですか?
- A
間欠性爆発性障害では、爆発がきっかけに比べてひどく不釣り合いで、計画的ではなく衝動的に起き、頻度が診断基準で決められています。爆発のあとに本人が強い後悔や苦痛を感じていることも多く、性格ではなく治療の対象になる状態として扱われます。
- Q家族のことを思い浮かべて答えてもいいですか?
- A
構いません。ただし「考えるより先に出ている」「あとで強く後悔している」など、本人にしか分からない項目があるため、結果は目安にとどまります。家族に受診を勧めるときは、爆発の最中ではなく、落ち着いているときに記録をもとに話してください。
- Qアンガーマネジメント診断とは何が違いますか?
- A
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会の「アンガーマネジメント診断」は、簡単な質問への回答から、怒りの特徴や課題を6つのタイプ(動物のキャラクター)で示すものです。このページのセルフチェックは、間欠性爆発性障害の診断基準にある頻度の数字と見比べながら、受診や相談を考える材料を整理することを目的にしています。
まとめ|怒りの爆発は「性格」で終わらせず、頻度と場面を記録して相談する

間欠性爆発性障害のセルフチェックで分かるのは、怒りの爆発がどこで・どんな形で起きているかです。診断はできませんが、頻度と場面を言葉にできれば、受診や相談はずっと進めやすくなります。
言葉での爆発が週2回ほど続いている、物を壊す・けがをさせる爆発が年に3回ある、あるいは回数にかかわらず仕事や家族関係に支障が出ているなら、結果のメモを持って精神科・心療内科に相談してください。人を傷つけてしまいそうなときは、この記事の相談先にすぐ連絡してください。
このチェックは当サイトが独自に整理したもので、標準化された心理検査ではありません。医学的な診断や、特定の疾患の有無を判定するものではありません。本記事は情報提供を目的としており、医師による診断に代わるものではありません。症状が続く場合は医療機関をご受診ください。
記事内の情報は2026年9月時点のものです。診断基準の出典: 『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)。相談窓口の出典: 厚生労働省「電話相談窓口」、内閣府男女共同参画局「DV相談ナビ」。
記事監修: 平川病院 産業医・発達障害専門医


