締切の直前まで動けない。メールの細かい部分を見落として何度も指摘される。思ったことをそのまま口にして後悔する。そういう困りごとが「性格」なのか「特性」なのか、自分ではなかなか判断がつきません。
このページのチェックは点数で判定しません。仕事と生活の場面を題材にした50の質問から、困りごとが「不注意」「多動・落ち着きのなさ」「衝動性」「段取り・時間」「感情・対人」のどこに集まっているかを整理し、領域ごとの対処を示します。所要時間は約5分、登録は不要です。
大人のADHDの困りごとを、5つの領域に分けて見ます
仕事と生活の場面を題材にした50の質問に答えると、困りごとが「不注意」「多動・落ち着きのなさ」「衝動性」「段取り・時間」「感情・対人」のどこに集まっているかが見えます。最後に、受診したときに医師が必ず確認する2つのことも整理します。所要時間は約5分、登録は不要です。
この半年くらいの自分に、どのくらい当てはまりますか
困りごとの分布
領域ごとの、仕事と生活での対処
受診前に整理しておく2つのこと
次に見るもの
このチェックの考え方|「診断テスト」ではなく、困りごとの分布を見るもの

このチェックは、ADHDかどうかを判定するものではありません。 当てはまる数で結果を決めず、困りごとが5つの領域のどこに集まっているかだけを示します。
理由は2つあります。1つは、ADHDの診断が「当てはまる項目の数」だけで決まるものではないからです。診断では、症状が12歳より前からあったか、家庭と職場など2つ以上の場面で出ているか、6か月以上続いているか、生活や仕事にどの程度の支障があるかを、医師が生育歴と現在の状況の両方から確認します(春日メンタルクリニック「大人のADHDの3つの特徴とは?」2026年7月)。もう1つは、「50問」という形式のADHD尺度が標準化されたものとして存在しないからです。検索で出てくる「ADHD診断テスト50問」は、いずれもサイトごとの独自の質問です。このページも同じで、当サイト独自の整理として作っています。
医療で実際に使われている尺度と、このチェックの位置づけを整理すると次のようになります。
| 尺度 | 項目数 | 誰が使うか | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| ASRS-v1.1(WHO) | 18問(パートA 6問・パートB 12問) | 本人が記入。スクリーニング用 | 不注意・多動性の症状の頻度。診断ではない |
| CAARS日本語版 | 66項目・4件法 | 医療機関。18歳以上 | 不注意/記憶、多動/落ち着きのなさ、衝動性/情緒不安定、自己概念の4下位尺度 |
| DSM-5の診断基準 | 不注意9項目・多動性/衝動性9項目 | 医師が診察で確認 | 17歳以上は各群5項目以上、12歳前の発症、2場面以上、6か月以上 |
| このチェック | 50問・4件法 | 本人が記入。整理用 | 5領域の分布。判定はしない |
ASRSはWHOと研究者グループが作った公認のスクリーニング尺度で、当サイトでも「ADHDテスト簡易診断アプリ(ASRS-v1.1)」として公開しています(出典: 大人の発達障害ナビ「成人期のADHDのチェック(ASRS v.1.1)」)。CAARSは医療機関で使う有料の検査で、金子書房が日本語版を出版しています(CAARS日本語版)。このチェックはそのどちらでもなく、18問では拾いきれない「段取り」「感情」の困りごとまで含めて、受診前や職場での調整前に自分の状態を言葉にするためのものです。
大人のADHDとは|3つの中核症状と、診断で確認される4つの条件

ADHD(注意欠如多動症)は、不注意、多動性、衝動性を中核とする神経発達症です。子どもの疾患と考えられてきましたが、子どもの長期追跡と成人の疫学調査によって、幼少期に始まり成人期まで続く慢性の状態として捉え直されました。2013年のDSM-5で初めて成人期のADHDが定義され、大人では症状が「じっとしていられない」から「頭の中が落ち着かない」「段取りが立たない」へと形を変えることも明示されています(齊藤卓弥「DSM-5と成人期ADHDの適正診断について」精神神経学雑誌 2015年)。
どれくらいいるのかについては、WHOの推定で成人の3.4%(同論文)、日本では厚生労働科学研究による調査で成人期ADHDの有病率2.09%という数字があります(厚生労働科学研究「成人期注意欠陥・多動性障害の疫学、診断、治療法に関する研究」2010年)。50人に1人前後という規模で、珍しいものではありません。
診断で確認される条件を整理すると次のとおりです。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 症状の数 | 不注意9項目、多動性・衝動性9項目のうち、17歳以上ではそれぞれ5項目以上 |
| 発症時期 | 症状のいくつかが12歳より前から存在していた |
| 場面の広がり | 家庭・職場・友人関係など、2つ以上の場面で出ている |
| 期間と支障 | 6か月以上続き、社会生活や仕事に明らかな支障がある |
大人の診断で最も見落とされやすいのは「12歳より前から」の条件です。 大人になってから急に出てきた不注意や落ち着きのなさは、睡眠不足、うつや不安、過労、環境の変化が背景にあることが多く、ADHDとは別の対処が必要になります。このチェックの最後に「12歳より前からあったか」と「2つ以上の場面で出ているか」を聞くのは、そのためです。
5つの領域の意味|不注意・多動・衝動は診断基準、段取りと感情は「大人の困りごと」

このチェックの5領域は、性質の違う2つのグループに分かれます。
| 領域 | 診断基準との関係 | 大人ではどう出るか |
|---|---|---|
| 不注意 | DSM-5の中核症状 | 見落とし、忘れ物、上の空、作業の中断 |
| 多動・落ち着きのなさ | DSM-5の中核症状 | 頭の中が騒がしい、会議で座っていられない、話しすぎ |
| 衝動性 | DSM-5の中核症状 | 先走った返答、言いすぎ、衝動買い、突然の退職 |
| 段取り・時間 | 診断基準には直接含まれない | 見積もりの甘さ、先延ばし、遅刻、片づかない机 |
| 感情・対人・自己評価 | 診断基準には直接含まれない | イライラ、批判への過敏さ、やる気の波、自己否定 |
最初の3つは診断基準そのものです。あとの2つは、診断基準には直接書かれていませんが、大人の当事者が実際に困っていることの中心にある領域です。段取りや時間の管理は「実行機能」と呼ばれる、計画・開始・持続・切り替えの働きに関わり、CAARSでも情緒不安定や自己概念が下位尺度に含まれています。
この2つを分けて表示する理由は、「段取り」や「感情」だけが高くて、不注意・多動・衝動が低い出方は、ADHD以外の要因でも起こるからです。過労や睡眠不足、うつや不安、職場環境の負荷でも、先延ばしやイライラは増えます。結果画面ではこの形が出たときに注意書きを表示するようにしています。
仕事で出やすい場面|領域ごとの出方

子ども向けの解説は「授業中に立ち歩く」「忘れ物が多い」で止まりますが、大人の困りごとは仕事の場面で出ます。どの場面がどの領域に対応するかを整理しておくと、対処が選びやすくなります。
| 仕事の場面 | 起きていること | 主に関わる領域 |
|---|---|---|
| メール・書類のチェック | 細かい部分を見落とす。誤字や数字の間違いを指摘される | 不注意 |
| 会議 | 話を聞いているうちに別のことを考える。座っているのがつらい | 不注意・多動 |
| 口頭の指示 | 「わかりました」と答えたのに内容を覚えていない | 不注意 |
| 報告書・経費精算 | 始めるまでに強い抵抗があり、締切直前に一気にやる | 段取り |
| 複数案件の同時進行 | どれから手をつけるか決められず、全部が遅れる | 段取り |
| 出社・約束の時間 | 出発がいつもぎりぎりで、遅刻が続く | 段取り |
| 発言・返信 | 質問の途中で答える、感情のままメールを送る | 衝動性 |
| 引き受けごと | 考える前に「はい」と言い、抱えきれなくなる | 衝動性 |
| 注意・指摘を受けたとき | 実際より強く傷つき、数日引きずる | 感情 |
| 自分の評価 | 「なぜ自分だけできないのか」と考え続ける | 感情 |
共通するのは、能力や知識の問題ではなく「わかっているのにできない」という出方です。 やり方を知らないのではなく、注意を向け続ける、始める、待つ、という工程そのものに負担がかかっています。この点が、経験不足や意欲の問題との違いを見るときの手がかりになります。
結果の見方|5つの領域と、それぞれの対処

チェックの結果は「集まっている」「やや集まっている」「少なめ」の3段階で表示されます。ここでは各領域の意味と、仕事と生活での対処をまとめます。対処の共通原則は、意志の力に頼らず、道具と手順に置き換えることです。
「不注意」が高めだった場合
注意を向け続けること、必要な情報を保持することに負担があります。指示は口頭で受けず、チャットやメールで文字に残してもらうこと、作業を始める前に「終わったら何をするか」を1行書いておくこと、鍵や財布の置き場所を1か所に固定することが基本です。ケアレスミスの具体的な対処は「発達障害で「仕事が覚えられない・ミスばかり」なのはなぜ?」で20の方法をまとめています。
「多動・落ち着きのなさ」が高めだった場合
大人の多動は、動き回るより「頭の中が騒がしい」「休んでも休まらない」という形で出ます。長い会議ではメモ係を引き受けて手を動かす理由を作る、寝る前に頭の中の予定を紙に書き出す、話しすぎが心配な場面では「相手が話し終えてから3秒数える」を決めておく、といった対処が現実的です。集中が過剰に続く「過集中」も同じ領域の裏返しで、「ADHDの過集中が止まらない」で扱っています。
「衝動性」が高めだった場合
考える前に動く、言う、買う、という出方です。返信や購入は「一晩置く」を原則にする、引き受けごとは「確認して明日返事します」という定型文を用意する、衝動買いは支払い方法を上限つきのものに限定する、というように、判断の前に物理的な「間」を置く仕組みが効きます。お金の管理は「発達障害とお金の管理|「使いすぎ」を防ぐ自動化テクニック」に詳しくまとめています。
「段取り・時間」が高めだった場合
始める、順番を決める、時間を見積もるという工程に負担があります。大きな仕事は「最初の5分でやること」だけを決める、所要時間は感覚ではなく過去の記録から見積もる、締切は「上司に途中経過を見せる日」を作って人との約束に変える、が基本です。遅刻は「ADHDで遅刻してしまうのはなぜ?」、片づけは「ADHDで片付けられないのはなぜ?」で場面別に扱っています。先延ばしそのものの仕組みと、「始める」を仕組みにする7つの対策は「ADHDの先延ばし癖はなぜ起きる?「ADHDじゃない先延ばし」との違いと対策」で扱っています。
「感情・対人・自己評価」が高めだった場合
イライラの立ち上がり、批判への過敏さ、やる気の波、自己否定が中心です。イライラが立ち上がった瞬間は返事をせず席を離れるという「10分の間」を先に決めておく、失敗のあとは事実だけを書いて人格評価の言葉を書かない、疲れがたまると感情が出やすいので睡眠と休憩を体調の問題として先に整える、という順番です。この領域が長く続いている場合、うつや不安が重なっている可能性があり、「発達障害の二次障害」も確認してください。
全領域が低めなのに、困っている場合
当てはまる数が少なくても、仕事や生活に支障が出ているなら、その感覚のほうを優先してください。困りごとが特定の場面だけに出ている場合は、その場面の負荷(仕事量、相性、環境)が原因のこともあります。自分の傾向が「グレーゾーン」に近いと感じるなら、「大人の発達障害グレーゾーンをセルフチェック」で生活場面ごとの分布を見ることもできます。
「ADHDじゃない」可能性|似た出方をする4つの状態

不注意や先延ばし、イライラは、ADHD以外の理由でも起こります。特に「段取り」「感情」だけが高い場合は、次の4つを先に確認するほうが早いことがあります。
| 状態 | ADHDとの違い | 見分けの手がかり |
|---|---|---|
| 睡眠不足・過労 | 休息で回復する。子どもの頃にはなかった | 長期休暇や環境が変わると困りごとが減る |
| うつ・不安 | 気分の落ち込みや不安が先にあり、集中はその結果 | 以前はできていたことが、ある時期からできなくなった |
| ASD(自閉スペクトラム症) | こだわりや対人のずれが中心。段取りの困りごとは重なる | 「暗黙のルールがわからない」「予定変更で強く動揺する」が目立つ |
| 職場環境の負荷 | 特定の職場・上司の下でだけ出る | 転職や異動で困りごとが消えた経験がある |
ADHDとASDは併存することも多く、どちらか一方に決める必要はありません。ASDの傾向も気になる場合は、「AQテスト簡易診断アプリ|50問でわかるASD傾向」もあわせて使えます。感覚の敏感さや疲れやすさが中心なら、「HSPと発達障害グレーゾーンの違い」も参考になります。
受診を考えたら|何科に行き、何を聞かれ、費用はどれくらいか

大人のADHDは、精神科または心療内科で、発達障害を診ている医療機関を受診します。初診では生育歴と現在の困りごとを聞かれ、必要に応じてASRSなどの質問紙、知能検査、CAARSのような評価尺度が使われます。受診時に役立つのは、子どもの頃の通知表や連絡帳、家族の記憶、そして仕事での具体的なエピソードです。 このチェックの結果画面を印刷して持っていくだけでも、話が早くなります。
診断の流れは「大人のADHDの診断ガイド|病院での検査の流れ・費用・診断後まで」、検査の費用と保険適用の分かれ目は「大人の発達障害の検査費用と何科に行くか」で詳しく扱っています。受診そのものに迷いがある場合は、「発達障害の診断、大人になってから受けるべきか?」と「ADHDの診断は受けない方がいい?メリット・デメリット」を先に読んでください。
診断がつかなくても使える支援|職場の配慮と就労支援

診断の有無にかかわらず、職場で頼める調整はあります。指示の文書化、中間締切の設定、静かな席への配置、会議のメモ役といったものは、合理的配慮として相談できる範囲です。伝え方は「集中できないので配慮してください」ではなく、「口頭の指示だと抜けるので、チャットで送ってもらえればミスなくできます」のように、困りごとと代替手段をセットで示すのがコツです。具体例とテンプレートは「発達障害の合理的配慮とは?職場で頼める具体例と伝え方」にあります。
診断がつかない、または手帳がない場合でも、医師の意見書があれば就労移行支援を利用できることがあります。仕事の困りごとが中心で、今の職場で続けるのが難しいと感じているなら、「就労移行支援は手帳なし・グレーゾーンでも利用できる」と「ADHDに向いてる仕事が見つからない理由と打開策」を参考にしてください。
大人のADHDセルフチェックに関するよくある質問
- Q50問のうち何個当てはまればADHDですか?
- A
このチェックに「何個以上」という基準はありません。ADHDの診断は当てはまる数だけでなく、12歳より前からの持続、2つ以上の場面での出現、6か月以上の継続、生活や仕事への支障を医師が総合的に判断して行います。ここでは困りごとの分布を見るだけで、判定はしません。
- QASRSの18問と、この50問はどちらを使えばいいですか?
- A
目的が違います。ASRSはWHO公認のスクリーニング尺度で、受診の目安をつけるのに向いています。この50問は診断基準にない「段取り」「感情」まで含めて困りごとを整理するもので、受診前の材料づくりや職場での調整に向いています。両方やっても構いません。
- Q女性のADHDは出方が違うと聞きました
- A
女性は多動が目立ちにくく、不注意や段取り、感情の波が中心に出ることが多いと言われています。そのため子どもの頃に気づかれず、大人になって仕事や家事の負担が増えてから困りごとが表に出ることがあります。詳しくは「大人のADHD女性の特徴チェックリスト」で扱っています。
- Q大人になってからADHDになることはありますか?
- A
ありません。ADHDは12歳より前から症状があることが診断の条件で、大人になって新たに生じるものではありません。「以前はできていたのに最近できなくなった」場合は、睡眠不足、うつや不安、過労、環境の変化が背景にあることが多く、まずそちらを確認してください。
- Q結果を職場に見せてもいいですか?
- A
このチェックは診断ではないので、結果そのものが配慮の根拠になるわけではありません。ただし「どの場面で何に困っているか」を言葉にした材料としては使えます。職場に伝えるときは結果の数字ではなく、困りごとと代替手段をセットで示してください。
- Q診断を受けるとデメリットはありますか?
- A
診断が保険や就職に直接影響することは原則ありません。一方で、診断名を受け止める心理的な負担や、家族への説明の難しさを感じる人はいます。診断のメリットとデメリットを整理してから決めたい場合は、「ADHDの診断は受けない方がいい?」を参考にしてください。
まとめ|「何個当てはまるか」ではなく、「どこに集まっているか」を見る

大人のADHDは、不注意・多動性・衝動性を中核とする神経発達症で、大人では「頭の中が落ち着かない」「段取りが立たない」「感情の波が激しい」という形で出ます。「50問の診断テスト」と呼べる標準化された尺度は存在せず、このページのチェックも点数で判定しません。困りごとが5つの領域のどこに集まっているかを見て、領域ごとに道具と手順で補うことが対処の中心です。
「わかっているのにできない」が長く続いているなら、それは怠けでも努力不足でもありません。 12歳より前からあったか、2つ以上の場面で出ているかを整理して受診すれば、診断や配慮、支援につながる道はあります。診断がつかなくても、職場の調整や就労支援は使えます。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・助言に代わるものではありません。制度の対象範囲や費用は、自治体や医療機関、個別の事情によって異なります。
記事監修: 平川病院 産業医・発達障害専門医


