本記事は2026年10月21日に、ADHD・ASD別の退職理由と「辞める前に確かめたい5つのこと」を中心に内容を見直し、よくある質問を追加して更新しました。
「新しい仕事を始めても、数ヶ月で辛くなって辞めてしまう」
「人間関係やミスが原因で、居心地が悪くなり退職を繰り返している」
もしあなたが今、このような悩みを抱えているなら、それはあなたの「意志が弱い」からでも「甘え」でもありません。発達障害(ADHDやASD)の特性と、職場環境の「ミスマッチ」が起きている可能性があります。
この記事では、なぜ仕事が長続きしないのかという根本的な原因を解き明かし、「ADHD・ASD別の退職理由と、辞める前に確かめたいこと」を解説します。自分を責めるのをやめ、あなたに合った働き方を探す第一歩を踏み出しましょう。
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辞めずに今の仕事を続ける工夫や、強みを活かせる適職は「発達障害で仕事が続かない原因と対策|ADHD・ASDの工夫と適職」で詳しく解説しています。
発達障害の人が「仕事をすぐ辞めてしまう」3つの根本原因

仕事が続かない理由は、単一ではありません。脳の特性、環境、そして心理的な要因が複雑に絡み合っています。まずは「なぜ辛くなるのか」を客観的に理解することが、解決への第一歩です。
1. 特性と業務内容のミスマッチ(能力の凹凸)
発達障害には得意なことと苦手なことの差(凹凸)が大きいという特徴があります。
- ADHD(注意欠如・多動症)傾向:
- 興味のあることには高い集中力を発揮するが、事務作業やルーチンワークでケアレスミスを連発してしまう。
- マルチタスク(電話対応しながら入力作業など)でパニックになりやすい。
- ASD(自閉スペクトラム症)傾向:
- マニュアル通りに進めるのは得意だが、臨機応変な対応や「暗黙の了解」を求められるとフリーズしてしまう。
- 急な予定変更に強いストレスを感じる。
自分の「苦手」な領域がメインの業務についてしまうと、どれだけ努力しても成果が出にくく、自信を喪失して早期離職につながります。
2. 人間関係とコミュニケーションの疲弊
退職のきっかけとして多いのが人間関係です。
- 「空気が読めない」と言われる:
悪気はないのに発言で相手を怒らせてしまい、職場に居づらくなる。 - 聴覚過敏・感覚過敏:
オフィスの雑音、話し声、電話の音が苦痛で、業務に集中できず疲労困憊する。 - 報連相の難しさ:
「適当にやっておいて」という曖昧な指示が理解できず、質問もできずに抱え込んでしまう。
3. 二次障害によるメンタルダウン
「ミスをする」→「怒られる」→「自信を失う」というサイクルを繰り返すと、自己肯定感が極端に低下します。その結果、うつ病や適応障害などの「二次障害」を発症し、働きたくても働けない状態に追い込まれてしまうケースが少なくありません。
「辞めること」は、あなたの心身を守るための防衛反応だったのかもしれません。まずは「今までよく耐えてきた」と自分を認めてあげましょう。
ADHD・ASD別の「すぐ辞めてしまう」退職理由

ADHDでは「ミスや忘れ物が続いて居づらくなる」、ASDでは「人間関係や急な変更で疲れ切ってしまう」ことが、退職のきっかけになりやすい傾向があります。以下の表で、典型的な「辞めたくなるパターン」を確認しましょう。
| 特性タイプ | よくある仕事の悩み(退職トリガー) | 向いている環境のヒント |
|---|---|---|
| ADHD(不注意優勢) | ・書類の記入漏れ、入力ミスが多い ・期限や約束を忘れて信用を失う ・整理整頓ができず書類を紛失する | ・チェック体制が二重にある環境 ・体を動かす業務 ・短期間で成果が見える仕事 |
| ADHD(多動・衝動) | ・会議中にじっとしていられない ・思いつきで発言しトラブルになる ・飽きっぽく、単純作業に耐えられない | ・営業や企画など変化のある仕事 ・裁量権が大きい職場 ・アイデアを活かせるクリエイティブ職 |
| ASD(受動型・孤立型) | ・雑談や飲み会が苦痛 ・「あれ」「これ」の指示が通じない ・同時に複数の指示を受けると混乱する | ・マニュアルが完備されている ・静かな環境での専門職 ・プログラミングや校正など |
| ASD(積極奇異型) | ・自分の話ばかりして煙たがられる ・相手の都合を考えずに質問攻めにする ・こだわりが強く、融通がきかない | ・専門知識を活かせる研究職 ・一人で完結する業務範囲がある仕事 ・ルールの厳格な品質管理 |
※特性はグラデーションであり、両方の特性を併せ持つ方も多くいます。
辞める前に確かめたい5つのこと

「もう辞めたい」と感じたら、退職を決める前に、休む・相談する・環境を変えてもらう余地がないかを確かめてください。同じ理由で退職を繰り返さないための確認です。
1. まず休む(有給休暇・休職)
疲れ切った状態では、辞めるかどうかを冷静に判断できません。有給休暇を使う、主治医と相談して休職するなど、まず休むことを優先してください。休職の制度は会社の就業規則によって異なります。休職中に給与が出ない場合は、条件を満たせば、健康保険の傷病手当金を受け取れることがあります。
2. 主治医や家族に相談する
一人で決めると、「辞める」以外の選択肢が見えにくくなります。通院している人は主治医に、通院していない人は家族や信頼できる人に、いまの状態を話してください。眠れない、食欲がないといった不調が続く場合は、精神科や心療内科の受診も考えてください。
3. 配置転換や合理的配慮を頼む
つまずきの原因が業務内容や職場環境にあるなら、部署や担当業務を変えてもらうだけで続けられることもあります。職場での合理的配慮は、障害者雇用促進法で事業主に義務づけられています。
頼むときは、「苦手なこと」と「こうしてもらえれば働ける」をセットで伝えます。たとえば「口頭の指示だと聞き漏らしてしまうので、メールやチャットで指示をいただけると助かります」のように伝えると、相手も対応を考えやすくなります。自分の特性と必要な配慮をまとめた「取扱説明書」を作っておくと、面談で話しやすくなります。
4. 支援機関に間に入ってもらう
自分だけで会社と話すのが難しい場合は、支援機関に間に入ってもらう方法があります。
- 障害者就業・生活支援センター(なかぽつ):仕事と生活の両面から相談でき、職場との調整にも関わってくれます
- 地域障害者職業センター:ジョブコーチ(職場適応援助者)による職場での支援を受けられる場合があります
- 就労定着支援:就労移行支援などを利用して就職した人が、職場に定着するための支援を受けられるサービスです
5. 辞めるなら、次の動き方を決めてから
それでも辞めると決めた場合は、勢いで退職せず、次の動き方を決めてから進めると、同じことを繰り返しにくくなります。
- すぐに転職したい:障害者向けの転職エージェントに相談する(障害者雇用の転職エージェント比較|おすすめ12選)
- 準備してから働きたい:就労移行支援で、自分に合う仕事や働き方を整理してから就職する
- 退職のお金が心配:雇用保険の基本手当(失業手当)について、ハローワークで確認する(発達障害の転職 完全ガイドでも解説しています)
- 自分から退職を言い出せない:退職代行を使う方法もあります
辞めずに今の仕事を続けるための工夫(タスク管理・コミュニケーション)や、強みを活かせる仕事は「発達障害で仕事が続かない原因と対策」で解説しています。
▼一人での就職活動や職場定着に限界を感じたら、専門家のサポートを受けてみませんか? 就労移行支援なら、自己分析から就職後の定着支援までトータルでサポートしてくれます。
よくある質問(FAQ)

- Q発達障害の診断を受けていなくても支援は受けられますか?
- A
相談できる窓口はあります。発達障害者支援センターには、診断や手帳がなくても相談できます。就労移行支援は、手帳がなくても医師の診断書などをもとに市区町村が認めれば利用できる場合があります。まずはお住まいの自治体の障害福祉担当窓口に相談してみてください。
- Q仕事を辞めすぎて履歴書がボロボロです。再就職できますか?
- A
障害者雇用や理解のある企業の場合、退職理由が「障害特性によるミスマッチ」であり、「現在は対策を講じている」ことが説明できれば、回数の多さが必ずしもマイナスになるとは限りません。支援機関と一緒に、納得感のある伝え方を準備しましょう。
- Q向いている仕事がわかりません。
- A
「好き」よりも「苦痛でない」ことを基準に探してみましょう。
「ずっと座っていても平気」「人と話さなくても平気」「単純作業でも平気」など、自分がストレスなく続けられる要素(苦痛でないこと)を書き出すのがコツです。
- Q仕事をすぐ辞めてしまうのは病気ですか?
- A
仕事をすぐ辞めてしまうこと自体は、病気ではありません。ただ、同じ理由で退職を繰り返して困っている場合や、気分の落ち込み・不眠などが続いている場合は、精神科や心療内科で相談してみてください。発達障害かどうかの診断は、医師が行います。
- QASDやADHDの人は、短期で離職しやすいのですか?
- A
特性と職場が合わないと、早く辞めることにつながりやすくなります。一方で、ハローワークの紹介で就職した障害者を追った調査では、発達障害のある人の就職1年後の職場定着率は71.5%でした(高齢・障害・求職者雇用支援機構、2017年公表)。
転職を考え始めたときの、向いている仕事・支援機関・進め方の全体像は「発達障害の転職 完全ガイド|向いてる仕事・支援機関・進め方」で整理しています。
まとめ:あなたは「ダメな人間」ではありません

仕事が続かない、すぐ辞めてしまうという経験は、確かに辛いものです。しかし、それはあなたが「能力がない」からではなく、「今の場所が、あなたの咲ける場所ではなかった」だけなのです。
- 自分の特性を深く知る。
- 自分を守るためのツールや配慮を活用する。
- 就労移行支援などの「プロ」を頼る。
この3つを軸に、焦らず、あなたらしく働ける環境を探していきましょう。まずは、支援機関の無料相談や見学会に行ってみるという「小さな一歩」から始めてみませんか?
【情報の取り扱いに関するご注意】
この記事で紹介した相談窓口や公的制度に関する情報は、2026年10月時点のものです。ご利用の際は、お住まいの自治体や各機関の公式サイトにて最新の情報をご確認ください。また、この記事は情報提供を目的としており、医学的な診断や治療に代わるものではありません。心身の不調を感じる場合は、速やかに専門の医療機関にご相談ください。
記事監修: 平川病院 産業医・発達障害専門医



