「文章を読むとすぐ疲れる」「電話を受けながらメモが取れない」「お釣りの計算がいつも不安」——それは怠けでも不器用でもなく、学習障害(LD)の特性が関係しているかもしれません。このページでは、大人の学習障害の傾向を「読む・書く・計算」の3つの領域に分けて、24問でセルフチェックできます。登録不要・無料です。
※このセルフチェックは医学的な診断ではありません。結果は「困りごとの傾向」を整理するためのもので、学習障害かどうかを判定するものではありません。診断は医療機関でのみ行われます。
大人の学習障害セルフチェック(24問・3分)
読む・書く・計算の3領域について、8問ずつお答えください。「子どもの頃から続いていること」を基準に、直感で選んでください。最近の疲れやストレスで一時的に起きていることは含めません。
大人の学習障害(LD)セルフチェック
「子どもの頃から続いていること」を基準に、直感でお答えください。所要時間は約3分です。
完全無料・登録不要。回答はこの画面内で処理され、送信・保存されません。
チェック結果
領域ごとの「困りごとの傾向」です。点数そのものより、どの領域が高いかを見てください。
このセルフチェックは困りごとの傾向を整理するためのもので、医学的な診断ではありません。点数が高くても学習障害であるとは限らず、低くても困りごとが軽いとは限りません。気になる場合は医療機関や発達障害者支援センターにご相談ください。
このチェックの考え方|なぜ「診断テスト」と呼ばないのか

先に、このページの立場をはっきりさせておきます。大人の学習障害を数問の質問で判定できるテストは、日本には存在しません。
ASDにはAQ(自閉スペクトラム指数)、ADHDにはASRSという、研究で検証された自記式の質問紙があります。一方、学習障害の評価は、知能検査と読み書き・計算の検査を組み合わせて専門家が総合的に行うもので、成人向けに標準化されたスクリーニングは限られています。
そのため、このページは点数で「学習障害の可能性◯%」と出すことはしません。代わりに、どの領域で・どんな困りごとが・どの程度あるかを整理し、相談や配慮の申し出に使える形にすることを目的にしています。
学習障害(LD)とは
学習障害は、全般的な知的発達に遅れはないのに、「読む」「書く」「計算する」などの特定の能力の習得と使用に著しい困難がある状態を指します。現在の診断基準(DSM-5)では限局性学習症(SLD)と呼ばれ、次の3つに分けられます。
| 領域 | 呼び方 | 主な困りごと |
|---|---|---|
| 読む | 読字障害(ディスレクシア) | 読むのが遅い、読み飛ばす、文字を一つずつ拾って読む、読んでも内容が残らない |
| 書く | 書字表出障害(ディスグラフィア) | 字形が整わない、漢字が書けない、聞きながら書けない、書き写しで誤る |
| 計算 | 算数障害(ディスカリキュリア) | 暗算が苦手、桁を取り違える、見積もりが外れる、時間の逆算が難しい |
3つは重なって現れることも、1つだけ強く出ることもあります。このセルフチェックが領域ごとに結果を出すのはそのためです。
結果の見方|3つの領域と「傾向」の意味

各領域は0〜24点で表示されます。点数そのものより、どの領域が高いかを見てください。
| 表示 | 点数 | 読み取り方 |
|---|---|---|
| 低め | 0〜7 | その領域の困りごとは少ない。別の要因(疲労・環境・他の特性)を考える |
| 気になる | 8〜15 | 日常で引っかかっている場面がある。工夫や配慮で楽になる可能性が高い |
| 高め | 16〜24 | 継続的な困りごとがある。相談先に相談する価値がある |
「読む」が高めだった場合
文字から情報を取り込む工程に負担がかかっている可能性があります。読めないのではなく、読めるけれど人の何倍も疲れるという形で現れることが多く、大人になるまで気づかれにくい領域です。音声読み上げや、フォント・行間の調整で負担が大きく変わることがあります。
「書く」が高めだった場合
頭の中の内容を文字に変換する工程、または手で文字を形にする工程に負担があります。「聞きながら書く」(電話のメモ・会議の議事録)が特に難しい人が多く、職場では最も表面化しやすい領域です。キーボード入力や音声入力への置き換えで、困りごとの大半が消えることもあります。
「計算」が高めだった場合
数の感覚や、桁・順序の処理に負担があります。お釣り・割り勘・経費精算といった日常の場面で失敗が重なり、自信を失いやすい領域です。電卓・表計算の使用を「当たり前の道具」として認めてもらうことが対処の中心になります。計算の困りごとを数処理・数概念・計算・数的推論の4領域に分けて見る算数障害(ディスカリキュリア)大人のセルフチェック20問も用意しています。
全領域が低めなのに、困っている場合
学習障害以外の要因を考えてください。注意の持続や段取りの困りごとはADHD、対人面の困りごとはASDの特性として現れることがあります。また、睡眠不足・うつ状態・過労でも読み書きの効率は大きく落ちます。「以前はできていたのに最近できなくなった」場合は、特性ではなく体調の問題として医療機関に相談してください。
なぜ大人の学習障害は見過ごされやすいのか

知的な遅れがないため、「本人の努力不足」と誤解されたまま大人になる——これが最大の理由です。加えて、次の事情が重なります。
- 日本語は、かな文字の読み書きでは困難が表面化しにくい。ディスレクシアの出現率は、ひらがなで0.2%、カタカナで1.4%、漢字で6.9%と報告されており(NPO法人ディスレクシア協会名古屋)、漢字が増える学年以降に初めてつまずく人が多い
- 学生時代は暗記や努力で補えていた困りごとが、仕事の量とスピードが上がったときに限界を迎える
- ADHDやASDと併存することが多く、そちらの診断だけで説明されてしまう
- 「字が汚い」「計算が遅い」は性格や不器用さとして扱われ、特性として検討されない
大人になってから気づく人が多いのは、本人の問題ではなく、気づく機会がなかったからです。
気になる結果が出たら|相談先と検査の流れ

セルフチェックの結果だけで判断せず、気になる領域があれば相談してください。 相談したからといって、診断を受けなければならないわけではありません。
| 相談先 | できること |
|---|---|
| 発達障害者支援センター | 都道府県・政令市に設置。診断がなくても、大人の困りごとの相談ができる |
| 精神科・心療内科(発達障害を診ている医療機関) | 診断・検査。「学習障害の可能性を相談したい」と予約時に伝える |
| 障害者就業・生活支援センター | 仕事に関する困りごとの相談。診断の有無を問わず相談できる場合がある |
| 職場の産業医・人事 | 配慮の相談(診断名を開示せず、困りごとと必要な調整だけ伝えることもできる) |
検査の流れ
医療機関では、生育歴の聞き取りに加えて、知能検査(WAISなど)と、読み書き・計算の実際の検査を組み合わせて総合的に判断します。子どもの頃の通知表や作文が残っていれば、持参すると判断の材料になります。
検査費用や期間は医療機関によって異なるため、予約時に確認してください。
なお、診断を受けるかどうかは本人が決めることです。診断の利点と注意点は、ADHDの診断は受けない方がいい?で整理した内容が学習障害でも当てはまります。
仕事での配慮と工夫|読む・書く・計算の領域別

診断の有無にかかわらず、今日から試せる工夫と、職場に相談できる調整があります。
| 領域 | 自分でできる工夫 | 職場に相談できる調整 |
|---|---|---|
| 読む | 音声読み上げ機能を使う/フォントを大きくし行間を広げる/読む範囲を先に絞る | 資料の事前共有/口頭での補足説明/読む時間の確保 |
| 書く | キーボード・音声入力に切り替える/定型文を用意する/録音してあとで書く | 手書き書類のPC入力への置き換え/メモ役の分担/議事録テンプレート |
| 計算 | 電卓・表計算を常に使う/検算の手順を固定する/桁区切りを必ず入れる | ダブルチェック体制/数字を扱う業務の配分見直し |
雇用の分野では、障害者雇用促進法により2016年4月から、事業主による合理的配慮の提供が義務とされています。求め方や伝え方は職場で合理的配慮を求める方法で解説しています。
配慮を求めるときは「学習障害なので」と診断名から入るより、「電話を受けながらのメモが難しいので、通話後に入力する形にしたい」のように、困っている場面と具体的な調整をセットで伝えるほうが通りやすくなります。
仕事そのものを見直したい場合は、就労移行支援の仕組み・料金・期間もご覧ください。特性に合った仕事の見つけ方は発達障害の転職完全ガイドにまとめています。
大人の学習障害に関するよくある質問

- Q学習障害は大人になってから発症しますか?
- A
学習障害は生まれつきの特性で、大人になってから発症するものではありません。 ただし、大人になって初めて気づくことは珍しくありません。学生時代は努力や暗記で補えていた困りごとが、仕事の量とスピードが上がったときに表面化するためです。「以前はできていたのに急にできなくなった」場合は、特性ではなく体調の変化を疑ってください。
- Qこのセルフチェックで学習障害かどうか分かりますか?
- A
分かりません。 このチェックは困りごとの傾向を領域ごとに整理するもので、診断ではありません。大人の学習障害を数問で判定できる標準化されたテストは、日本には存在しません。気になる領域があれば、発達障害者支援センターや医療機関に相談してください。
- Q学習障害の大人は、どんな仕事で困りますか?
- A
書類を読む・議事録やメモを書く・数字を扱う場面で困りごとが出やすくなります。 具体的には、マニュアルの読解に時間がかかる、電話を受けながらメモが取れない、経費精算で桁を間違える、などです。一方で、口頭でのやりとりや、視覚的・実技的な仕事では困りごとが出にくいことも多く、領域によって得意不得意がはっきり分かれます。
- Q学習障害の検査はどこで受けられますか?
- A
発達障害を診ている精神科・心療内科で相談できます。 予約時に「大人の学習障害の可能性を相談したい」と伝えてください。医療機関では、生育歴の聞き取り、知能検査(WAISなど)、読み書き・計算の検査を組み合わせて総合的に判断します。まず相談だけしたい場合は、発達障害者支援センターが窓口になります。
- Q学習障害があると障害者手帳は取れますか?
- A
学習障害の診断だけで自動的に手帳が交付されるわけではありません。 精神障害者保健福祉手帳は、日常生活や社会生活への支障の程度で判定されます。学習障害の場合、単独で交付されるかどうかは個別の判断になります。詳しくは障害者手帳(精神)で受けられるサービスをご覧ください。
- Q学習障害は治りますか?
- A
「治す」対象ではなく、負担を減らす方法を身につけていくものです。 学習障害は脳の情報処理の特性によるもので、病気のように治療で消えるものではありません。一方で、音声読み上げ・音声入力・電卓といった道具や、職場での配慮によって、困りごとの多くは大幅に減らせます。
- QADHDやASDと学習障害は、同時にあることがありますか?
- A
あります。 学習障害はADHDやASDと併存することが多く、そちらの診断だけで説明されてしまい、学習障害の部分が見過ごされることがあります。注意の持続や段取りの困りごとが強い場合は、ADHDテスト(ASRS)やAQテストもあわせて試してみてください。
まとめ|「怠け」ではなく「領域の特性」として整理する

- 大人の学習障害は、知的な遅れがないために努力不足と誤解されたまま気づかれにくい
- このセルフチェックは診断ではなく、読む・書く・計算のどこで困っているかを整理する道具
- 気になる領域があれば、発達障害者支援センターや医療機関に相談する。診断を受けるかどうかは本人が決める
- 道具(音声読み上げ・音声入力・電卓)と職場の配慮で、困りごとの多くは減らせる
長年「自分が悪い」と思ってきた困りごとに名前と輪郭がつくと、対処のしようが出てきます。結果は、自分を責める材料ではなく、周囲に説明するための材料として使ってください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療・助言に代わるものではありません。セルフチェックの結果は医学的な診断ではなく、学習障害の有無を判定するものではありません。学習障害の診断は医療機関でのみ行われます。記載した制度・窓口の内容は2026年9月時点の情報です。
記事監修: 平川病院 産業医・発達障害専門医


