「就労移行支援に通い始めたけど、毎日行くのが辛い…」
「プログラムが合わなくて、辞めたいとさえ感じている…」
就職という目標に向かって一歩を踏み出したはずなのに、なぜか心が晴れない。そんな風に悩んでいませんか?
まず、一番にお伝えしたいのは、「就労移行支援を辞めたい、行きたくない」と感じることは、決して甘えやわがままではないということです。むしろ、それはあなたの心が「今の環境は合わないかもしれない」と教えてくれている、大切なサインなのです。
この記事では、あなたが一人で悩みを抱え込まず、自分に合った次の一歩を踏み出すために、具体的な対処法や相談先、そして未来のための選択肢を網羅的に解説します。
この記事を読み終える頃には、漠然とした不安が晴れ、具体的な次のアクションプランが見えているはずです。
記事を読むのが面倒な方のために、AIキャスターによる「ポッドキャスト」を作りました。
読み間違いがありますが、ご容赦ください。
▼就労移行支援「辞めたい」は甘えじゃない!期間リセットされない?辞める前に知るべき対処法と次の選択肢
まずは知ってほしい。就労移行支援を「辞めたい」と感じる主な7つの理由
あなたが感じている「辞めたい」「行きたくない」という気持ち。その背景には、必ず何らかの理由があるはずです。多くの人が同じような悩みを抱えています。まずはご自身の状況と照らし合わせながら、気持ちを整理してみましょう。

理由1:人間関係のストレス(職員・他の利用者)
事業所は多くの人が集まる場所です。相性の合わない職員がいたり、他の利用者とのコミュニケーションがうまくいかなかったりすると、大きなストレスになります。「あの人に会うのが嫌だ」という気持ちが、通所そのものを億劫にさせてしまうことは少なくありません。
理由2:プログラム内容が合わない(簡単すぎる・難しすぎる)
「パソコンのスキルアップを期待していたのに、簡単な作業ばかり…」
「専門的すぎて、プログラムについていけない…」
自分のレベルや目指す方向性とプログラム内容が一致していないと、モチベーションの維持は困難です。貴重な時間が無駄になっているように感じてしまうかもしれません。
理由3:事業所の雰囲気やルールが窮屈
事業所にはそれぞれ独自の雰囲気やルールがあります。それが自分に合わないと、居心地の悪さを感じてしまいます。例えば、厳しすぎるルールや、逆に自由すぎる雰囲気が、かえってストレスの原因になることもあります。
理由4:このまま続けても就職できるか不安
通い続けているにもかかわらず、成長を実感できなかったり、具体的な就職活動のサポートがなかったりすると、「本当にここで就職できるのだろうか?」という不安が募ります。ゴールが見えないまま走り続けるのは、誰にとっても辛いことです。
理由5:体調や精神面が不安定で通うのが辛い
障害の特性や病状により、毎日決まった時間に通所すること自体が大きな負担になる場合があります。特に、環境の変化で体調を崩しやすい方にとって、新しい環境である事業所は心身ともにエネルギーを消耗する場所になり得ます。
理由6:金銭的な問題
就労移行支援の利用料は、前年度の所得に応じて決まります。多くの方は無料で利用できますが、一部自己負担が発生する場合もあります。また、交通費や昼食代など、通所にかかる費用が家計を圧迫し、利用継続が困難になるケースもあります。
理由7:他にやりたいことを見つけた
就労移行支援を利用する中で、就職とは別の道、例えば進学や資格取得など、新たな目標が見つかることもあります。その場合、現在の利用を続けることに疑問を感じるのは自然なことです。
辞める決断の前に!今すぐできる5つの対処法
「もう限界だから、明日から行くのをやめよう…」
そう決断する前に、一度立ち止まって試してほしいことがあります。衝動的に辞めてしまうと、後で「こうすれば良かった」と後悔するかもしれません。まずは状況を改善するためのアクションを起こしてみましょう。

対処法1:まずは「休む」。心と体を最優先に
心身が疲弊している状態で、冷静な判断はできません。「行きたくない」と強く感じるときは、無理せず休みましょう。多くの事業所では、体調不良などを理由とした欠席が認められています。まずはゆっくり休み、エネルギーを回復させることが最優先です。
対処法2:スタッフに正直な気持ちを相談する
あなたが抱えている悩みや不満を、事業所のスタッフに話してみましょう。「こんなことを言ったらどう思われるだろう…」と不安に思うかもしれませんが、スタッフはあなたの状況を理解し、サポートするのが仕事です。正直に話すことで、解決の糸口が見つかるかもしれません。
対処法3:利用日数や時間を調整してもらう
「毎日通うのは辛いけど、週2~3日なら…」という場合、利用日数の調整が可能か相談してみましょう。多くの事業所では、利用日数や時間の調整に関する相談に柔軟に応じてくれます。最終的にはお住まいの市区町村の判断となりますが、まずは事業所に希望を伝えてみることが重要です。
対処法4:担当プログラムの変更を申し出る
プログラム内容が合わない場合は、変更が可能か聞いてみましょう。事業所によっては複数のプログラムが用意されており、あなたの希望やスキルに合ったものに変更できる可能性があります。
対処法5:相談支援専門員など第三者に相談する
事業所のスタッフには直接言いにくいこともあるでしょう。そんな時は、あなたのサービス利用計画を作成した「相談支援専門員」に連絡してみてください。彼らは中立的な立場で、あなたと事業所の間に入って調整してくれます。どこに連絡すれば良いか分からない場合は、お住まいの市区町村の障害福祉担当課に問い合わせてみましょう。
【相談相手別】辞めたい気持ちの上手な伝え方とポイント
相談する決心がついたら、次は「どう伝えるか」が重要です。相手別に、伝える際のポイントをまとめました。

事業所のスタッフに伝える場合
一番身近な相談相手ですが、感情的になるとうまく伝わらない可能性があります。
- ポイント1:事前に話したいことをメモにまとめる
「何が」「なぜ」辛いのか、どうしてほしいのかを簡潔に書き出しておくと、冷静に話せます。 - ポイント2:「辞めたい」と結論から言うのではなく、「相談がある」と切り出す
まずは相談という形で、困っている事実を客観的に伝えましょう。「〇〇という理由で、通い続けるのが難しいと感じています」といった形が理想です。 - ポイント3:個別面談の時間を設定してもらう
他の利用者がいる場所ではなく、落ち着いて話せる環境を確保してもらいましょう。
相談支援専門員に伝える場合
中立的な立場なので、事業所には言いにくい本音も伝えやすい相手です。
- ポイント1:事業所で起きていることを具体的に話す
「スタッフの〇〇さんの言葉に傷ついた」「プログラム内容が求めているものと違う」など、具体的な事実を伝えましょう。 - ポイント2:自分の希望を明確に伝える
「環境を改善してほしいのか」「事業所を変更したいのか」など、あなたの希望を伝えることで、専門員も動きやすくなります。
家族や主治医に伝える場合
あなたのことをよく知る味方です。客観的な意見をもらったり、協力を求めたりしましょう。
- ポイント1:現状を客観的に説明する
感情的に「辛い」とだけ伝えるのではなく、何に困っているのかを具体的に説明し、理解を求めましょう。 - ポイント2:相談の場に同席してもらう
一人で話すのが不安な場合は、事業所や相談支援専門員との面談に、家族や主治-医に同席してもらうのも有効です。
それでも辞めたいあなたへ。メリット・デメリットと注意点のすべて
様々な対処法を試しても状況が改善せず、辞める決意が固まった場合。その選択があなたにとって最善であることも、もちろんあります。ただし、辞めることによる影響を事前にしっかり理解しておくことが大切です。

就労移行支援を辞めるメリット
- ストレスからの解放
合わない環境から離れることで、心身の負担が大きく軽減されます。 - 新しい環境で再スタートできる
自分に合った事業所や他のサービスを探し、気持ちを新たに再出発できます。 - 自分を見つめ直す時間ができる
一度立ち止まることで、自分が本当にやりたいことや、自分に必要なサポートは何かを冷静に考える時間が持てます。
就労移行支援を辞めるデメリットと注意点
- 【最重要】利用期間はリセットされない
就労移行支援の標準利用期間は原則2年間です。途中で辞めても、利用した期間は消費されてしまいます。 例えば、半年利用して辞めた場合、残りの利用可能期間は1年半となります。ただし、自治体の審査を経て、特に必要性が認められた場合には最大1年間の更新が可能な場合があります。 この点は必ず覚えておいてください。 - ブランク期間が生まれる可能性
次の活動が決まるまでの間、経歴上のブランク期間ができてしまう可能性があります。 - 生活リズムが崩れやすい
通所という日課がなくなることで、昼夜逆転など生活リズムが乱れやすくなることがあります。 - 再利用したい場合の手続き
再び就労移行支援を利用したい場合は、改めて市区町村への申請手続きが必要になります。
(表)メリット・デメリット早わかり比較
項目 | メリット | デメリット・注意点 |
---|---|---|
精神面 | ストレスから解放され、心身が楽になる | 一時的に孤立感や焦りを感じる可能性がある |
時間 | 自分を見つめ直す時間ができる | 次のステップが決まるまでブランク期間ができる |
生活 | 自分のペースで過ごせる | 生活リズムが崩れやすくなる |
制度 | – | 利用期間は消費され、リセットされない(※延長の可能性あり) |
辞めるだけが道じゃない!あなたの未来を守る4つの選択肢
就労移行支援を辞めた後、道が閉ざされるわけでは決してありません。あなたにはたくさんの選択肢があります。ここでは代表的な4つの道をご紹介します。

選択肢1:他の就労移行支援事業所に変更する
「就労移行支援」という仕組み自体は自分に合っているけれど、今の事業所が合わない、というケースは非常に多いです。その場合は、事業所の変更を検討しましょう。
- 事業所選びのポイント:
- プログラム内容: あなたが学びたいスキルを専門的に扱っているか。
- 雰囲気: 見学や体験利用で、スタッフや利用者の雰囲気が自分に合うか確認する。
- 就職実績: あなたが希望する職種への就職実績があるか。
- 通いやすさ: 無理なく通える場所にあるか。
選択肢2:就労継続支援(A型・B型)を利用する
すぐに一般就労を目指すのではなく、働きながら訓練したい、もう少しゆっくりしたペースで働きたい、という方には就労継続支援が向いています。
- A型: 事業所と雇用契約を結び、給料(最低賃金以上)をもらいながら働きます。
- B型: 雇用契約は結ばず、作業内容に応じた「工賃」をもらいながら、比較的自由なペースで働きます。
選択肢3:地域活動支援センターなどで心身を整える
「今は就職のことより、まず心と体を休めたい」という場合は、地域活動支援センターなどの利用がおすすめです。創作活動やレクリエーションなどを通じて、安心して過ごせる居場所を見つけ、生活リズムを整えることから始められます。
選択肢4:ハローワークの障害者専門窓口を活用する
ある程度のスキルが身についており、すぐにでも就職活動を始めたいという方は、ハローワークの障害者専門窓口(専門援助部門)に相談してみましょう。専門の相談員が、あなたの障害特性や希望に合った求人を紹介してくれます。
よくある質問(Q&A)
最後に、多くの方が疑問に思う点についてお答えします。
- Q辞めたら違約金は発生しますか?
- A
いいえ、就労移行支援は福祉サービスですので、途中で辞めても違約金やペナルティは一切発生しません。
- Q一度辞めても、また同じ事業所に戻れますか?
- A
事業所の定員に空きがあり、事業所側が受け入れを認めれば可能です。ただし、一度辞めた経緯があるため、まずは事業所に相談してみる必要があります。
- Q親に反対されています。どうすればいいですか?
- A
ご家族はあなたの将来を心配するあまり、反対しているのかもしれません。まずはあなたがなぜ辞めたいのか、そして辞めた後にどうしたいのかという具体的なプランを冷静に話してみましょう。それでも理解を得るのが難しい場合は、相談支援専門員や主治医など、第三者から家族に説明してもらうのも一つの方法です。
まとめ:あなたの「辞めたい」は、未来への大切な一歩
「就労移行支援を辞めたい」という気持ちは、決してネガティブなものではありません。それは、あなたが真剣に自分の将来と向き合っている証拠であり、より自分に合った環境を見つけるための、前向きで大切な一歩です。
一番大切なのは、一人で抱え込まないこと。この記事で紹介したように、あなたにはたくさんの相談相手と、たくさんの選択肢があります。
まずはゆっくり休んで、エネルギーを充電してください。そして、冷静になったら、信頼できる誰かにその気持ちを話してみてください。あなたのペースで、あなたらしい道を見つけられるよう、心から応援しています。
【免責事項】
この記事は2025年8月時点の情報に基づいています。最新の情報は厚生労働省やお住まいの市区町村の公式サイトでご確認ください。