本記事は2026年9月14日に、2026年8月28日の判決までの経緯を加え、報道や公表資料で確認できない記述を削除して書き直しました。
退職代行サービス「モームリ」を運営していた株式会社アルバトロスの元社長らが、利用者を弁護士に有償で紹介したとして弁護士法違反の罪に問われ、2026年8月28日に東京地方裁判所で有罪判決を受けました。
この記事では、報道と弁護士会の公表をもとに、家宅捜索から判決までの経緯と、何が違法とされたのかを整理します。これから退職代行を使う人が、依頼する前に確かめたいことも解説します。
結論:運営会社の元社長らに有罪判決(2026年8月28日)
2026年8月28日、東京地方裁判所は、退職代行「モームリ」を運営していた株式会社アルバトロスの元社長に懲役2年・執行猶予3年、執行役員だった元社長の妻に懲役1年6か月・執行猶予3年、法人としての同社に罰金200万円の判決を言い渡しました(J-CASTニュース、2026年9月3日)。
2人は、退職をめぐって法的な交渉が必要になった利用者を弁護士に有償で紹介したとして、弁護士法違反の罪に問われていました。起訴された紹介は、2023年6月から2025年2月ごろまでの計174人です(時事ドットコム、2026年2月24日)。
紹介を受けていた2つの弁護士法人とその弁護士も起訴されています。このうち1つの弁護士法人とその代表の弁護士には、2026年6月5日に有罪判決が言い渡されたと報じられています(日本経済新聞、2026年6月5日)。
家宅捜索から判決までの時系列
2025年10月の家宅捜索から、2026年8月の判決までの主な出来事は次のとおりです。
| 日付 | 出来事 | 出典 |
|---|---|---|
| 2025年10月22日 | 警視庁が、弁護士法違反の疑いで運営会社を家宅捜索 | ITmedia NEWS |
| 2025年10月24日 | 運営会社が声明を出し、顧問弁護士との契約の解除と、役員体制の見直しを表明。営業はすでに再開していると説明 | ITmedia NEWS |
| 2026年2月3日 | 警視庁保安課が、運営会社の社長と、従業員だった妻を、弁護士法違反の疑いで逮捕 | 時事ドットコム |
| 2026年2月5日 | 提携先の弁護士2人と事務員1人などが書類送検される見通しと報道。第一東京弁護士会と東京弁護士会が、所属する弁護士法人の書類送検の報道について公表 | 時事ドットコム、第一東京弁護士会、東京弁護士会 |
| 2026年2月24日 | 東京地方検察庁が、社長と執行役員、法人としての運営会社、提携先の弁護士2人と2つの弁護士法人を、弁護士法違反の罪で起訴 | 時事ドットコム |
| 2026年3月31日 | 運営会社が、新しい代表取締役の情報を公式サイトに掲載したと報道 | ITmedia NEWS |
| 2026年5月26日 | 東京地方裁判所の初公判で、元社長らが起訴内容を認める | 時事ドットコム |
| 2026年6月5日 | 検察側が元社長に懲役2年を求刑。同じ日、提携先の弁護士法人の1つとその代表の弁護士に有罪判決 | 弁護士ドットコムニュース、日本経済新聞 |
| 2026年8月28日 | 東京地方裁判所が、元社長らと法人に有罪判決 | J-CASTニュース |
何が違法とされたのか|弁護士法72条の「周旋」
弁護士法72条は、弁護士でない者が、報酬を得る目的で法律事件の代理や和解などの法律事務を扱うことや、その周旋(あっせん)を業として行うことを禁じています(e-Gov法令検索「弁護士法」)。モームリ事件で問われたのは、この「報酬を得る目的での周旋」です。
逮捕時の容疑では、団体交渉権のない公務員や、給料の未払いなど勤務先とトラブルを抱えていた利用者を弁護士に紹介し、1人あたり1万6,500円の紹介料を受け取っていたとされています(時事ドットコム、2026年2月3日)。
紹介料は「アフィリエイト広告」の業務委託費や、労働組合への賛助金の名目で支払われていたとされ、広告業務や労働組合の実態はなかったと報じられています(時事ドットコム、2026年2月5日)。初公判でも、紹介料が労働組合への賛助金などの名目で受け取られていたと指摘されました(時事ドットコム、2026年5月26日)。
退職の意思を伝えることと、交渉やあっせんの違い
東京弁護士会は2025年10月22日の注意喚起で、弁護士などでない者が、法律的な問題について本人を代理して相手方と話をすることは非弁行為だと説明しています。あわせて、お金を受け取って、法律的な問題の処理を労働組合などの他者にあっせんすることも非弁行為だとしています(東京弁護士会「退職代行サービスと弁護士法違反に関する注意喚起」)。
残業代の有無や金額の算定も、法律的な問題にあたると東京弁護士会は説明しています。未払いの賃金や損害賠償などの争いがある場合は、はじめから弁護士に相談することが大切です。
利用者への影響と、これから退職代行を選ぶ人が確かめたいこと

運営会社は、元社長の逮捕後に営業時間を縮小し、新規の申し込みの受け付けを停止していたと報じられています。2026年3月には、新しい代表取締役の情報を公式サイトに掲載したと報じられました(ITmedia NEWS、2026年3月31日)。現在の受付状況は、運営会社の公式サイトで確認してください。
モームリを利用して、支払った料金や勤務先との手続きに不安がある人は、次の窓口で相談できます。
- 全国の弁護士会の法律相談センター(日本弁護士連合会):各地の弁護士会が運営する法律相談。相談料は地域や内容によって異なる
- 法テラス(日本司法支援センター):収入などの条件を満たすと、無料で法律相談を受けられる
これから退職代行を選ぶときに確かめたいこと
- 公式サイトの特定商取引法に基づく表記で、契約と支払いの相手が会社か、労働組合か、法律事務所か
- 利用規約で、業務の範囲が退職の意思の連絡に限られていないか。会社との交渉が必要な人は、労働組合か弁護士に依頼する
- 労働組合の場合は、労働委員会の資格審査を受けたことを公式サイトで確かめられるか
- 公務員の人や、未払いの賃金・損害賠償などの争いがある人は、はじめから弁護士に相談する
契約と支払いの相手が労働組合だと公式サイトで確認できた退職代行の比較は、次の記事で解説しています。
モームリ事件についてよくある質問
- Qモームリを利用した人も、罪に問われますか?
- A
起訴されたのは、運営会社と元社長ら、紹介を受けていた弁護士と弁護士法人です。支払った料金や、勤務先との手続きに不安がある場合は、弁護士会の法律相談センターや法テラスに相談してください。
- Qモームリは、今も利用できますか?
- A
現在の受付状況は、運営会社の公式サイトで確認してください。元社長の逮捕後は営業時間を縮小し、新規の申し込みの受け付けを停止していたと報じられ、2026年3月には新しい代表取締役の情報が公式サイトに掲載されたと報じられています。
- Q退職代行を使うこと自体は、違法ですか?
- A
退職の意思を伝えて辞めること自体は、法律で認められています。期間の定めのない雇用は、退職を申し入れた日から2週間がたつと終了します(民法627条1項)。問題になるのは、弁護士でない業者が法律的な問題について本人を代理して交渉したり、報酬を得て弁護士などにあっせんしたりする場合です。
- Q労働組合の退職代行なら、安全ですか?
- A
「労働組合」という名前だけでは判断できません。モームリ事件では、紹介料が労働組合への賛助金の名目で支払われていたとされています。契約と支払いの相手、労働委員会の資格審査の公表、利用規約の業務の範囲を、公式サイトで確かめてください。
まとめ:誰と契約し、誰が交渉するのかを確かめて選ぶ

モームリ事件では、弁護士でない運営会社が、報酬を得る目的で利用者を弁護士に紹介したことが弁護士法違反とされ、2026年8月28日に元社長らへ有罪判決が言い渡されました。
- 退職の意思を伝えるだけのサービスと、会社と交渉できる労働組合・弁護士を区別する
- 契約と支払いの相手、業務の範囲を、特定商取引法に基づく表記と利用規約で確かめる
- 未払いの賃金や損害賠償などの争いがある人、公務員の人は、弁護士に相談する
退職代行を使うことは、自分の心と体を守るための選択肢の1つです。依頼先を決める前に、料金と業務の範囲を確かめてください。
【免責事項】
※本記事は、2026年9月14日時点の報道と、弁護士会などの公表資料をもとに作成しています。提携先の弁護士らの一部については裁判が続いており、今後の判決などで状況が変わる可能性があります。
※当サイトは法的な助言を行うものではありません。個別のトラブルや法的な判断については、弁護士などの専門家に相談してください。
※当サイトの情報を利用したことで生じた損害について、運営者は責任を負いかねます。



