結論から言うと、A型・B型事業所でもプログラミングはできます。プログラミングやWebデザインを作業内容とするIT特化型のA型・B型事業所は全国に増えており、在宅対応の事業所もあります。ただし数はまだ少なく、「収入」「体調」「目指す出口」のどれを優先するかで、A型・B型・就労移行支援のどれを選ぶべきかが変わります。
この記事では、A型・B型それぞれでプログラミングに関わる場合の実態(賃金・工賃の目安を含む)、就労移行支援との違い、自分に合う選び方、IT系事業所の探し方まで、2026年8月時点の情報で解説します。
まず結論:3つの選択肢はこう違う

| 項目 | 就労継続支援A型 | 就労継続支援B型 | 就労移行支援 |
|---|---|---|---|
| 位置づけ | 雇用契約を結んで働く | 雇用契約なしで作業する | 一般就労を目指して訓練する |
| 収入 | 賃金(最低賃金以上)。平均月86,752円(令和5年度・厚労省) | 工賃。平均月23,053円(令和5年度・厚労省) | 原則なし(訓練のため) |
| プログラミングとの関わり | 仕事として受託開発・Web制作などを行う | 自分のペースで制作・学習に取り組む | IT就職のためのスキル訓練 |
| 向いている人 | 一定時間働ける体調があり、収入を得ながらITに関わりたい人 | 体調優先でマイペースに始めたい人 | 一般企業のIT職を目指したい人 |
| 期間 | 制限なし | 制限なし | 原則2年以内 |
大きな分かれ目は、「今のIT作業で収入を得る」(A型・B型)のか、「訓練して一般企業のIT職に就く」(就労移行支援)のかです。
A型事業所×プログラミング|「仕事」としてITに関わる

就労継続支援A型は事業所と雇用契約を結ぶため、最低賃金が適用されます。令和5年度の平均賃金は月額86,752円(厚生労働省公表)です。
IT特化型のA型事業所では、Webサイト制作・アプリ開発・デザイン・データ入力などを実際の受託業務としてこなします。事業所によってはPHPやPythonでの開発、Gitを使ったチーム開発を行うところもあり、「働きながらスキルが身につく」のが最大の魅力です。
注意点は2つあります。
- 未経験でいきなり開発案件は難しい場合がある:多くの事業所は基礎学習から始めますが、求人には経験・スキルを求めるものもあります。見学時に「未経験からどう進むか」を確認してください
- 雇用契約ゆえの責任もある:契約である以上、勤怠や業務品質は求められます。体調が不安定な時期の方は、B型から始める選択肢も検討を
B型事業所×プログラミング|体調優先でITに触れる

就労継続支援B型は雇用契約を結ばず、体調に合わせたペースで作業に取り組めます(週1日・短時間からOKの事業所が多数)。その分収入は工賃で、令和5年度の平均は月額23,053円(厚生労働省公表)と、生活費を賄う水準ではありません。
IT系のB型事業所では、プログラミング学習・Web制作・動画編集などに取り組めます。「ブランクがあって、まずPC作業のリズムを取り戻したい」段階の方に向いた選択肢です。東京の動画編集系B型は、こちらで詳しく紹介しています。
「一般企業のIT職」が目標なら就労移行支援

A型・B型は「福祉の枠内で働く・作業する」場所です。最終目標が一般企業のITエンジニア・IT事務なら、訓練に特化した就労移行支援(特にIT特化型)が近道になります。
- 期間は原則2年以内。多くの方が自己負担なしで、プログラミングやデータ分析の訓練から就職活動・定着支援まで受けられます
- 例えば先端IT特化型のNeuro Diveは、IT職種への就職率76%(2025年9月時点・自社調べ)を公表しています
IT特化型の就労移行支援の比較はこちらにまとめています。
なお、B型→A型→一般就労のように段階を踏むルートも、B型から就労移行支援に切り替えるルートもあります。今の選択が最終決定ではありません。
自分に合う選び方|3つの質問で判断

- 週20時間以上、安定して活動できる体調か?
- まだ難しい → B型から。IT系B型でリズムを作る
- できる → 次へ
- 今すぐ収入が必要か?
- 必要 → A型(雇用契約・最低賃金)でIT業務に関わりながら力をつける
- 訓練期間を確保できる → 次へ
- 目標は一般企業のIT職か?
- はい → 就労移行支援(IT特化型)で訓練→就職が最短
- 福祉の枠内で長く働きたい → A型でOK
IT系のA型・B型事業所の探し方

IT特化型のA型・B型はまだ全体の一部で、地域によっては選択肢がないのが実情です。次の順で探すのが効率的です。
- WAM NETの障害福祉サービス等情報検索(公式):公的データベースでお住まいの地域の事業所を一覧
- LITALICO仕事ナビ等の検索サイト:「プログラミング」「在宅」等の条件で絞り込み
- 求人サイト:A型は雇用契約のため、Indeed等に求人として掲載されることも多い(「就労継続支援A型 プログラマー」等で検索)
- 市区町村の障害福祉窓口・相談支援事業所:地域のIT系事業所の情報を持っていることがある
見学時のチェックポイントは、①作業内容が実案件か学習だけか ②未経験からのステップ ③在宅対応の有無 ④(A型なら)賃金と労働時間の4つです。
よくある質問(FAQ)

- Q未経験でもA型事業所でプログラミングの仕事はできますか?
- A
基礎学習から始められる事業所なら可能です。ただし事業所により求めるレベルが異なるため、見学で「未経験者がどんな作業から始めるか」を必ず確認してください。未経験から一般企業のIT職を目指すなら、訓練特化の就労移行支援も比較検討を。
- QA型事業所をクビになることはありますか?
- A
雇用契約なので、契約更新されない・解雇となる可能性は制度上あります。ただし体調への配慮を前提とした雇用であり、通常の企業より柔軟です。不安な場合は契約条件を確認し、体調が不安定ならB型から始めるのが安全です。
- Q在宅でできるIT系のA型・B型はありますか?
- A
あります。在宅対応のIT系事業所は増えていますが、在宅利用には市町村の判断など要件があります。詳しくは在宅利用の解説記事をご覧ください。
- QB型からステップアップできますか?
- A
できます。B型→A型→一般就労、またはB型→就労移行支援→一般就労というルートが一般的です。利用中の事業所や相談支援専門員に相談してください。
- Q工賃・賃金はどのくらいですか?
- A
全国平均で、A型の賃金は月額86,752円、B型の工賃は月額23,053円です(いずれも令和5年度・厚生労働省公表)。IT系の事業所や作業内容によって差があります。
まとめ:目的で選べば、プログラミングへの入口は3つある

- A型=雇用契約でIT業務。収入(平均月8.7万円)を得ながらスキルを積む
- B型=体調優先でIT作業に触れる(工賃平均月2.3万円)。リハビリ期の入口に
- 就労移行支援=一般企業のIT職を目指す訓練。IT特化型なら専門スキルまで
- どのルートも後から変更可能。まずはWAM NETと検索サイトで地域の選択肢を洗い出し、2〜3か所見学するところから始めてください
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別のサービス利用に関する助言に代わるものではありません。制度・数値は2026年8月時点の公表情報に基づきます。最新情報は厚生労働省・お住まいの市区町村の障害福祉窓口でご確認ください。
参考文献・出典
- 厚生労働省「就労継続支援A型・B型に係る工賃(賃金)の実績」(令和5年度)
- 厚生労働省「障害福祉サービスについて」
- 独立行政法人福祉医療機構「障害福祉サービス等情報検索(WAM NET)」
記事監修: 平川病院 産業医・発達障害専門医



