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自立訓練(機能訓練)とは?内容・対象者・料金から事業所の選び方まで徹底解説

福祉の制度

「病院は退院したけれど、これからの生活が不安…」
「病気や障害と付き合いながら、身体の機能をできるだけ維持・向上させたい」
「いつかは社会復帰したいけど、その前に自信をつけたい」

このような悩みを抱えていませんか?

もしあなたが、障害や病気が原因で身体機能や生活能力に課題を感じているなら、「自立訓練(機能訓練)」という福祉サービスが、その悩みを解決し、あなたらしい生活を取り戻すための大きな力になるかもしれません。

この記事では、障害福祉の専門家が「自立訓練(機能訓練)」について、以下の点をどこよりも分かりやすく解説します。

  • どんなサービス? 他のサービスとの違いは?
  • 誰が使えるの? 具体的な対象者は?
  • 何をするの? 訓練プログラムの具体例
  • 費用はいくら? 料金と利用期間
  • どうやって使うの? 利用開始までの流れ
  • どう選べばいい? 後悔しない事業所の選び方

この記事を読めば、あなたが前に進むための具体的なステップが見えてくるはずです。ぜひ最後までご覧ください。

▼記事を読むのが面倒な人のためにAI解説動画を作りました。読み間違いはご容赦くださいませ。

  1. そもそも自立訓練(機能訓練)とは?目的と役割をわかりやすく解説
    1. 障害者総合支援法に基づく「リハビリテーション」
    2. 目的は「身体機能」と「生活能力」の維持・向上
    3. 病院のリハビリとの違い【医療から福祉へ】
  2. 【比較表】生活訓練や就労移行支援との違いは?あなたに合うサービスはどれ?
    1. 目的と対象者の違いが一目でわかる比較表
    2. どのサービスを選ぶべき?状況別の選び方ガイド
  3. 誰が利用できる?自立訓練(機能訓練)の対象者を具体的に解説
    1. 対象となる障害や疾患の例
    2. 具体的な利用対象者のイメージ(3つのケース)
    3. 「自分は対象?」と思ったらまず相談を
  4. どんな訓練をするの?具体的なサービス内容とプログラム例
    1. 専門スタッフによる個別支援計画
    2. 提供されるプログラムの具体例
    3. 【1日のスケジュール例】で見る訓練イメージ
  5. 期間と料金は?安心して利用するための基本情報
    1. 利用期間は原則1年6ヶ月(18ヶ月)
    2. 利用料金の仕組みと自己負担額
    3. 経済的負担を軽減する制度
  6. 利用開始までの5ステップ|相談からサービス開始までの流れ【図解】
  7. 後悔しない!自分に合った事業所の選び方5つのチェックポイント
  8. 自立訓練(機能訓練)に関するよくある質問(Q&A)
  9. まとめ:未来への一歩、まずは相談から始めてみませんか?

そもそも自立訓練(機能訓練)とは?目的と役割をわかりやすく解説

自立訓練(機能訓練)は、少し難しく聞こえるかもしれませんが、簡単に言えば「障害のある方が自立した日常生活や社会生活を送れるように、一定期間、身体機能や生活能力の維持・向上のために必要な訓練を行う場所」です。

障害者総合支援法に基づく「リハビリテーション」

自立訓練は、国が定めた「障害者総合支援法」という法律に基づく公式な福祉サービスです。この法律は、障害のある人が基本的人権を享受し、自立した生活を送れる社会を実現することを目的としています。その目的を達成するための一つの手段が、自立訓練なのです。

目的は「身体機能」と「生活能力」の維持・向上

機能訓練の最大の目的は、利用者の「身体機能」「生活能力」を維持・向上させることです。

  • 身体機能の維持・向上:
    理学療法士や作業療法士などの専門スタッフによるリハビリテーションを通じて、身体の動きや能力を高めます。
  • 生活能力の維持・向上:
    食事、入浴、着替えといった身の回りのことから、掃除、洗濯、金銭管理といった地域で生活していくために必要な能力を高めます。

これにより、利用者が自信を持って地域社会で生活していくための「土台」を築きます。

病院のリハビリとの違い【医療から福祉へ】

「リハビリなら病院でもやっていたけど、何が違うの?」と疑問に思う方も多いでしょう。両者の違いは「目的」と「期間」にあります。

病院のリハビリ(医療)自立訓練(機能訓練)(福祉)
目的病気や怪我の治療、機能回復地域での安定した自立生活
期間疾患ごとに期限が定められている(例:脳血管疾患180日)原則1年6ヶ月(18ヶ月)
場所病院・クリニック障害福祉サービス事業所
ゴール自宅や施設への退院地域生活への移行、就労など次のステップへ

病院のリハビリが「治療」をゴールとするのに対し、自立訓練は退院後の「生活」そのものを支え、質の向上を目指すサービスです。医療から福祉へとスムーズにバトンをつなぎ、利用者の生活を長期的にサポートする重要な役割を担っています。

【比較表】生活訓練や就労移行支援との違いは?あなたに合うサービスはどれ?

障害福祉サービスには、自立訓練(機能訓練)の他にもよく似た名前のサービスがあります。特に「生活訓練」や「就労移行支援」との違いが分からず、混乱してしまう方も少なくありません。
ここで、それぞれの違いを明確にしておきましょう。

目的と対象者の違いが一目でわかる比較表

サービス名主な目的こんな人におすすめ
自立訓練(機能訓練)身体機能生活能力の維持・向上身体的なリハビリが必要な方、日常生活の動作をスムーズにしたい方
自立訓練(生活訓練)自己管理能力の向上(生活リズム、金銭管理、対人関係など)生活リズムが乱れがちな方、一人暮らしの練習がしたい方
就労移行支援就職に必要なスキル習得と就職活動のサポート障害者雇用での就職を目指している方

簡単に言うと、「身体のリハビリが中心なら機能訓練」、「生活リズムやメンタルの安定が中心なら生活訓練」、そして「働くことが目標なら就労移行支援」と考えると分かりやすいでしょう。

どのサービスを選ぶべき?状況別の選び方ガイド

  • 「退院後、まずは身体の動きを良くしたい」機能訓練から始めるのがおすすめです。
  • 「昼夜逆転を治し、規則正しい生活を送りたい」生活訓練が適しているでしょう。
  • 「体力もついてきたし、そろそろ働きたい」就労移行支援で就職を目指しましょう。

もちろん、これらのサービスを組み合わせて利用したり、機能訓練を卒業した後に就労移行支援へステップアップしたりすることも可能です。どのサービスが自分に最適か迷ったら、市区町村の障害福祉窓口や相談支援事業所に相談してみましょう。

誰が利用できる?自立訓練(機能訓練)の対象者を具体的に解説

自立訓練(機能訓練)は、特定の障害種別に限定されず、幅広い方が利用対象となります。

対象となる障害や疾患の例

  • 身体障害: 脳卒中後遺症、脊髄損傷、切断、関節疾患、神経筋疾患など
  • 精神障害: 統合失調症、うつ病、双極性障害、発達障害(ASD, ADHD)など
  • 知的障害
  • 難病

上記はあくまで一例です。障害者手帳の有無は必須条件ではなく、医師の診断書や意見書などに基づき、市区町村がサービスの必要性を認めれば利用できる場合があります。

具体的な利用対象者のイメージ(3つのケース)

ケース1:病院を退院し、地域生活へ移行したい方

脳梗塞で入院し、リハビリを経て退院が決まったAさん。自宅での生活に不安があり、日中の活動の場として、また身体機能の維持・向上のために機能訓練の利用を開始した。

ケース2:特別支援学校を卒業し、地域生活の準備をしたい方

特別支援学校を卒業したBさん。すぐに就職するのではなく、まずは日常生活のスキルを高め、自信をつけたいと考えている。機能訓練を利用しながら、自分のペースで社会参加の準備を進めている。

ケース3:日中の活動の場を探している方

長年、精神的な不調で自宅に引きこもりがちだったCさん。少しずつ外に出る練習を始めたいと思い、機能訓練事業所に通い始めた。体力づくりや他の利用者との交流を通じて、生活リズムを整えている。

「自分は対象?」と思ったらまず相談を

「自分は対象になるのだろうか?」と一人で悩む必要はありません。まずは、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口や、相談支援事業所に気軽に問い合わせてみましょう。専門の相談員が、あなたの状況を丁寧にヒアリングし、最適な道を一緒に考えてくれます。

どんな訓練をするの?具体的なサービス内容とプログラム例

自立訓練(機能訓練)では、画一的なプログラムではなく、利用者一人ひとりの心身の状態や目標に合わせて作成された「個別支援計画」に基づいて、多岐にわたる訓練が行われます。

専門スタッフによる個別支援計画

利用を開始すると、まず理学療法士、作業療法士、精神保健福祉士などの専門スタッフが面談を行い、あなたの希望や課題を詳しく聞き取ります。そして、「3ヶ月後には一人でバスに乗って買い物に行けるようになる」といった具体的な目標を設定し、その達成に向けたオーダーメイドの支援計画を作成します。

提供されるプログラムの具体例

事業所によって特色はありますが、一般的に以下のようなプログラムが提供されます。

カテゴリプログラムの具体例
身体機能の維持・向上・理学療法(歩行訓練、筋力トレーニング、関節可動域訓練)
・作業療法(巧緻動作訓練、福祉用具の選定・使用訓練)
・言語聴覚療法(発声訓練、嚥下訓練)
生活能力の向上・日常生活動作(ADL)訓練(食事、更衣、入浴、排泄)
・家事訓練(調理、掃除、洗濯、買い物)
・金銭管理、服薬管理
コミュニケーション能力の向上・SST(ソーシャルスキルズトレーニング)
・グループワーク、ディスカッション
心理的サポート・専門員によるカウンセリング
・ピアサポート(利用者同士の分かち合い)
・ストレスコーピング(対処法)の学習
その他・体力づくり(軽スポーツ、ヨガ)
・趣味・創作活動(園芸、手芸、絵画)
・地域生活への移行支援(公共交通機関の利用訓練)

【1日のスケジュール例】で見る訓練イメージ

時間内容
9:30送迎・来所、バイタルチェック
10:00午前のプログラム(個別訓練)
・理学療法士と歩行訓練
・作業療法士とPC入力練習 など
12:00昼食・休憩
13:00午後のプログラム(グループ訓練)
・SST(テーマ:上手な断り方)
・軽スポーツ(ボッチャなど)
15:00清掃・1日の振り返り
15:30退所・送迎

これはあくまで一例です。週1回の利用から毎日通う方まで、利用頻度も個別支援計画に基づいて決められます。

期間と料金は?安心して利用するための基本情報

福祉サービスの利用にあたって、期間と費用は誰もが気になるところです。ここでは、その基本情報を解説します。

利用期間は原則1年6ヶ月(18ヶ月)

自立訓練(機能訓練)を利用できる期間は、原則として1年6ヶ月(18ヶ月)と定められています。ただし、市区町村の審査により、特に必要性が高いと認められた場合には、更新が可能な場合もあります。

利用料金の仕組みと自己負担額

サービスの利用料金は、その1割を利用者が負担しますが、所得に応じて月々の負担上限額が定められています。そのため、利用しすぎて高額な請求が来る心配はありません。

所得区分世帯の収入状況負担上限月額
生活保護生活保護受給世帯0円
低所得市町村民税非課税世帯0円
一般1市町村民税課税世帯(所得割16万円未満)※9,300円
一般2上記以外37,200円

※入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者は除く。

多くの方が月額0円または9,300円の負担で利用しています。ご自身の区分がわからない場合は、市区町村の窓口で確認できます。

経済的負担を軽減する制度

上記の自己負担とは別に、事業所で提供される昼食代や創作活動の材料費などが実費としてかかる場合があります。こうした費用負担を軽減するために、自治体独自の助成制度などが設けられている場合もあるため、合わせて確認してみましょう。

利用開始までの5ステップ|相談からサービス開始までの流れ【図解】

「利用してみたい」と思ったら、どのような手続きが必要なのでしょうか。ここでは、相談から利用開始までの大まかな流れを5つのステップで解説します。

  1. 【STEP1】相談
    まずはお住まいの市区町村の障害福祉担当窓口や、相談支援事業所に相談します。「自立訓練(機能訓練)を利用したい」と伝えましょう。
  2. 【STEP2】申請・障害支援区分の認定
    窓口でサービス利用の申請を行います。その後、認定調査員による聞き取り調査などが行われ、心身の状態に応じた「障害支援区分」が判定されます。
  3. 【STEP3】サービス等利用計画案の作成
    指定特定相談支援事業所の相談支援専門員が、あなたの希望や目標をヒアリングし、どのようなサービスをどのくらい利用するかを盛り込んだ「サービス等利用計画案」を作成します。
  4. 【STEP4】支給決定・受給者証の交付
    市区町村が、提出された計画案などをもとにサービスの支給量などを決定し、「障害福祉サービス受給者証」が交付されます。これがサービスの利用許可証となります。
  5. 【STEP5】事業所との契約・利用開始
    利用したい事業所を選び、見学や体験利用を経て、最終的に契約を結びます。契約後、いよいよサービスの利用がスタートします。

手続きには少し時間がかかる場合もあるため、早めに相談を始めることをお勧めします。


後悔しない!自分に合った事業所の選び方5つのチェックポイント

サービスの質は、利用する事業所によって大きく異なります。あなたにとって最適な場所を見つけるために、契約前に必ず確認したい5つのポイントをご紹介します。

1. 見学・体験利用で雰囲気を確認しよう

パンフレットやウェブサイトだけでは分からない「事業所の空気感」を肌で感じることが最も重要です。スタッフの対応は親切か、他の利用者はどのような表情で過ごしているか、清潔で安全な環境かなどを自分の目で確かめましょう。ほとんどの事業所で見学や体験利用が可能です。

2. 専門スタッフの専門性と配置を確認しよう

あなたの課題解決に必要な専門スタッフが在籍しているかを確認しましょう。例えば、歩行訓練を重視したいなら理学療法士、日常生活の動作を改善したいなら作業療法士がいると安心です。スタッフの資格や経験、配置人数なども質問してみましょう。

3. 訓練プログラムは自分の目的に合っているか確認しよう

事業所にはそれぞれ特色があります。リハビリに特化した事業所、PCスキル習得など就労準備に力を入れている事業所、創作活動が盛んな事業所など様々です。提供されているプログラムが、自分の目標達成に繋がるものかを見極めましょう。

4. 個別支援計画を一緒に考えてくれるか確認しよう

一方的に計画を提示されるのではなく、あなたの希望や意見を尊重し、一緒に目標設定や計画作成を行ってくれる事業所を選びましょう。「どのようなプロセスで計画を立て、見直しを行っていくのか」を具体的に説明してくれるかどうかが判断のポイントです。

5. 卒業後の進路(実績)を確認しよう

これまでに利用した人たちが、訓練終了後にどのような生活を送っているか(地域での一人暮らし、就労移行支援へのステップアップ、復職など)の実績を確認することも重要です。あなたの目指す未来像に近い実績が多ければ、より安心して利用できるでしょう。

自立訓練(機能訓練)に関するよくある質問(Q&A)

Q
働きながらでも利用できますか?
A

自治体の判断によりますが、原則として日中のサービスであるため、常勤で働きながらの利用は難しい場合が多いです。ただし、休職中の方や、短時間のアルバイトと両立したい場合などは利用できる可能性がありますので、市区町村の窓口にご相談ください。

Q
65歳以上でも利用できますか?
A

65歳になる前に障害福祉サービスを利用していた方など、一定の条件を満たせば介護保険ではなく自立訓練を利用できる場合があります。これも自治体の判断となるところが大きいため、諦めずにまずは窓口で相談することが重要です。

Q
送迎サービスはありますか?
A

多くの事業所で送迎サービスを実施しています。自宅からの距離や身体状況によって対応が異なる場合があるため、利用を検討している事業所に直接ご確認ください。

Q
家族はどのように関われば良いですか?
A

ご家族の理解と協力は、ご本人が安心して訓練に取り組む上で非常に重要です。事業所では、定期的な面談や連絡帳を通じてご家族との連携を図っています。ご本人の目標や進捗を共有し、家庭での様子を伝えるなど、事業所と協力してサポートしていくことが大切です。不安な点があれば、遠慮なく事業所のスタッフに相談しましょう。

まとめ:未来への一歩、まずは相談から始めてみませんか?

今回は、「自立訓練(機能訓練)」について詳しく解説しました。最後に、重要なポイントを振り返ります。

  • 自立訓練(機能訓練)は、身体機能や生活能力の維持・向上を目指す福祉サービス
  • 病院のリハビリが「治療」目的なのに対し、機能訓練は「生活」を支えるのが目的
  • 身体のリハビリ中心なら「機能訓練」、生活リズム改善なら「生活訓練」、就職目的なら「就労移行支援」
  • 費用は所得に応じた上限額があり、多くは無料または低額で利用可能
  • 事業所選びは、見学や体験を通じて自分の目で確かめることが何より重要

病気や障害によって、先の見えない不安を感じているかもしれません。しかし、あなたは一人ではありません。自立訓練(機能訓練)は、専門家のサポートを受けながら、同じような悩みを持つ仲間と出会い、もう一度自信を取り戻すことができる場所です。

この記事を読んで少しでも興味を持ったら、ぜひお住まいの市区町村の障害福祉窓口や相談支援事業所のドアを叩いてみてください。その小さな一歩が、あなたの未来を大きく変えるきっかけになるはずです。


※本記事の情報は2025年8月時点のものです。制度やサービス内容は変更される場合がありますので、ご利用の際は必ずお住まいの市区町村の担当窓口や、厚生労働省の公式サイトで最新の情報をご確認ください。

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