「今の就労移行支援、なんだか自分に合わないかも…」
「勇気を出して辞めたいと伝えたのに、強く引き止められてしまった…」
そんな悩みを抱えていませんか?
就労移行支援は、あなたの就職をサポートするための大切な場所。しかし、そこがストレスの原因になってしまっては本末転倒です。
この記事では、法律の専門家の視点も交えながら、あなたが安心して次のステップに進むための知識と具体的な方法を徹底的に解説します。
- 就労移行支援はいつでも辞められるという根拠
- 事業所が引き止める本当の理由
- トラブルなく円満に退所するための全手順
- それでも辞めさせてくれない時の相談窓口リスト
- 辞めた後のポジティブな選択肢
一人で抱え込まず、正しい知識を身につけて、あなたらしい未来への一歩を踏出しましょう。
記事を読むのが面倒な方のために、AIキャスターによる「ポッドキャスト」を作りました。
読み間違いがありますが、ご容赦ください。
▼就労移行支援、辞めたいのに辞められない?あなたの権利とトラブル対処法、安心の次の一歩へ
【結論】就労移行支援はあなたの意思でいつでも辞められる

まず、最も大切な結論からお伝えします。就労移行支援サービスは、あなたの自由な意思でいつでも辞めることができます。 事業所が「辞めさせてくれない」と主張することは、法的に見ても不当な引き止め行為にあたる可能性が非常に高いです。
辞めることは「権利」- 法律上の根拠
就労移行支援の利用は、あなたと事業所との間で交わされる「利用契約」に基づいています。これは民法の「契約の自由」という原則に則っており、サービスを利用する自由も、利用を終了(解約)する自由も保障されています。
また、障害者総合支援法においても、利用者の意思に反してサービスの利用を強制するような規定は一切ありません。サービスの主体はあくまで利用者であるあなた自身です。
違約金やペナルティは基本的に発生しない
「辞めたら違約金を請求されるのでは…」と心配される方もいますが、安心してください。
就労移行支援のような福祉サービスの利用契約で、利用者が途中解約したことに対して高額な違約金を課すような条項は、消費者契約法に違反し、無効となる可能性が極めて高いです。
万が一、契約書にそのような記載があったり、口頭で請求されたりしても、すぐに支払いに応じる必要はありません。まずはこの記事で紹介する公的な相談窓口に連絡してください。
なぜ事業所は「辞めさせてくれない」のか?考えられる3つの理由

法的には辞められるはずなのに、なぜ事業所は強く引き止めるのでしょうか。その背景には、いくつかの理由が考えられます。相手の事情を客観的に知ることで、冷静に対処しやすくなります。
理由1:経営上の問題(補助金など)
多くの就労移行支援事業所は、国や自治体からの給付金で運営されています。この給付金は利用者の出席日数などに基づいて計算されるため、利用者が一人辞めると事業所の収入に影響が出る可能性があります。特に定員に満たない事業所の場合、経営上の観点から引き止められるケースも考えられます。
理由2:利用者への責任感や善意からの引き止め
すべての引き止めが悪意からとは限りません。「ここで辞めたら、この人の就職が遠のいてしまう」「もう少し続ければきっと良くなるはず」といった、担当者の責任感や純粋な善意から、心配して引き止めているケースも少なくないでしょう。しかし、その善意が結果的に利用者の負担になっているのであれば、見直しが必要です。
理由3:担当者とのコミュニケーション不足
あなたが「辞めたい」と感じている本当の理由が、担当者に正しく伝わっていない可能性も考えられます。例えば、「支援内容が合わない」と感じているのに、担当者は「人間関係に疲れているだけ」と捉えているかもしれません。このような認識のズレが、的を射ない引き止めにつながっている場合があります。
【実践】トラブル回避!円満退所の4ステップ

感情的になって突然「辞めます!」と告げるのは得策ではありません。冷静に、順序立てて進めることが円満な退所への近道です。
ステップ1:辞めたい理由と意思を固める(セルフチェック)
まずは、なぜ辞めたいのか、自分の気持ちを整理しましょう。紙に書き出してみるのがおすすめです。勢いで辞めて後悔しないためにも、一度立ち止まって考えてみてください。
チェック項目 | Yes/No | 具体的な理由 |
---|---|---|
プログラム内容が自分の目指す就職と合っているか? | ||
スタッフのサポートは適切か?(過干渉、放置など) | ||
事業所の雰囲気や他の利用者との関係は良好か? | ||
通所自体が心身の負担になっていないか? | ||
辞めた後の具体的なプラン(他の事業所、休養など)があるか? |
このチェックリストで自分の考えがまとまったら、退所の意思を固めましょう。
ステップ2:事業所に退所の意思を伝える(伝え方例文付き)
意思が固まったら、事業所の管理者や担当者に面談を申し込み、直接「退所したい」という意思を伝えます。この時、感情的にならず、「相談」ではなく「決定事項の報告」として、決意が固いことを示すのがポイントです。
<基本の伝え方>
「お忙しいところ恐れ入ります。今後のことでご報告があり、お時間をいただけないでしょうか。◯月◯日をもって、こちらの事業所を退所させていただきたいと考えております。」
詳しい理由別の伝え方は後ほど解説します。
ステップ3:退所届の提出と手続き
多くの事業所では、所定の退所届(利用終了届など)があります。面談の際に書類を受け取り、必要事項を記入して提出します。提出日や最終利用日などを明確にしておきましょう。私物は計画的に持ち帰るようにします。
ステップ4:市区町村の障害福祉課への報告
就労移行支援の利用は、市区町村が発行する「障害福祉サービス受給者証」に基づいて行われています。そのため、退所した(サービス利用を終了した)ことは、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口に報告が必要です。多くの場合、事業所側で手続きを代行してくれますが、念のため自分でも確認しておくと安心です。
それでも辞めさせてくれない場合の具体的な対処法と相談窓口

正規のステップを踏んでも、執拗な引き止めにあったり、「辞めさせない」と高圧的な態度を取られたりした場合は、一人で戦う必要はありません。すぐに以下の外部機関に相談してください。
相談窓口 | 特徴 | こんな時におすすめ |
---|---|---|
市区町村の障害福祉担当窓口 | 最も身近な公的機関。事業所の指定や指導権限を持つ。 | まず最初に相談すべき場所。事業所との直接的なやり取りに困っている。 |
相談支援事業所 | あなたのサービス利用計画を作成した中立な立場の専門家。 | 担当の相談支援専門員がいる場合。客観的なアドバイスが欲しい。 |
都道府県運営適正化委員会 | 福祉サービスに関する苦情解決を目的とした第三者機関。 | 事業所や市区町村の対応でも解決しない場合の次の手。 |
弁護士など法律の専門家 | 法的な観点から具体的な解決策を提示。最終手段。 | 違約金を請求された、悪質な引き止め行為があるなど、法的な問題に発展した場合。 |
重要なのは、一人で抱え込まず、必ず第三者に相談することです。 相談したという事実が、あなたを守る盾になります。
【ケース別】退所理由の伝え方と例文

退所の意思を伝える際、正直な理由を言いにくい場合もあるでしょう。嘘をつく必要はありませんが、相手を刺激せず、かつ自分の意思が伝わるように工夫することが大切です。
理由①:事業所の支援内容が合わない
「こちらのプログラムも大変勉強になったのですが、自分の目指す職種を考えた時に、より専門的なスキルを学べる別の方法を試してみたくなりました。これまでサポートいただき、ありがとうございました。」
(ポイント: 事業所への感謝を述べつつ、あくまで前向きな理由であることを強調する)
理由②:人間関係のトラブル
「大変申し上げにくいのですが、環境の変化からか、少し心身のバランスを崩してしまい、通所を続けるのが難しい状況です。一度、環境を変えて療養に専念したいと思います。」
(ポイント: 特定の個人を非難するのではなく、「体調」や「環境」を理由にすることで、角が立ちにくい)
理由③:体調の悪化
「最近、体調が優れず、安定した通所が難しくなってきました。医師とも相談し、一度治療に専念する必要があるとの判断になりました。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。」
(ポイント: 医師の判断という客観的な事実を伝えることで、相手も引き止めにくくなる)
理由④:就職が決まった、または就職活動に専念したい
「おかげさまで就職先が決まりました(または、本格的に就職活動に専念するため)。つきましては、◯月いっぱいで退所させていただきたく存じます。大変お世話になりました。」
(ポイント: 就労移行支援の目的である「就職」が理由なので、最もスムーズに受け入れられやすい)
就労移行支援を辞めた後の選択肢|あなたの未来は一つじゃない

今の事業所を辞めることは、決して終わりではありません。むしろ、あなたに合った道を見つけるための新しいスタートです。
選択肢 | メリット | デメリット |
---|---|---|
別の就労移行支援事業所を探す | 自分に合ったプログラムや環境が見つかる可能性がある。 | 再度、事業所探しや手続きが必要になる。 |
就労継続支援(A型・B型)を利用する | 賃金を得ながら働ける(A型)。自分のペースで通える(B型)。 | 一般就労への移行スピードは比較的ゆっくりになる傾向。 |
ハローワークの障害者専門窓口 | 豊富な求人情報があり、専門の相談員がいる。 | 事業所のような手厚い訓練プログラムはない。 |
障害者向け転職エージェント | 非公開求人や専門的なキャリア相談が可能。 | ある程度のスキルや経験が求められる場合がある。 |
一度休養に専念する | 心身の健康を回復させ、リフレッシュできる。 | ブランク期間が長引くことへの不安が生じる可能性。 |
どの選択肢がベストかは、あなたの状況や体調によって異なります。焦らず、市区町村の窓口や相談支援専門員とよく相談しながら、次のステップを決めていきましょう。
まとめ:一人で抱え込まず、適切な場所に相談しよう
就労移行支援を辞めたいのに辞めさせてもらえない状況は、非常につらく、不安なものです。しかし、あなたは決して一人ではありません。
改めて重要なポイントを振り返ります。
- 就労移行支援はあなたの意思でいつでも辞められる
- 違約金の心配はほとんどない
- 円満退所には、冷静な準備と明確な意思表示が重要
- 困った時は、必ず市区町村の窓口など外部の機関に相談する
- 辞めることは、より良い未来への新たな一歩
この記事が、あなたの悩みを解消し、次の一歩を踏み出す勇気につながれば幸いです。あなたの選択を、心から応援しています。
注意書き: この記事の情報は2025年8月時点の法令や制度に基づいて作成されています。福祉サービスに関する制度は変更される可能性があるため、最新かつ正確な情報については、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口や厚生労働省の公式ウェブサイトで必ずご確認ください。