AIやデータサイエンスが学べる就労移行支援【Neuro Dive】

就労移行支援でスタッフと合わない・いじめに遭った時の対処法|相談先と事業所変更の全手順

利用中のトラブル・人間関係

就労移行支援事業所に通い始めたものの、「スタッフの態度がどうしても合わない」「他の利用者から嫌がらせを受けている気がする…」そんな悩みを抱えていませんか?

本来、就職に向けて安心して訓練に取り組むべき場所で、人間関係のストレスを感じるのは本当につらいことだと思います。

「自分が我慢すればいいだけ」「これは社会に出るための試練なんだろうか」と一人で抱え込んでしまう方も少なくありません。

しかし、その悩みは、決してあなたが悪いわけではありません。 そして、我慢し続ける必要もありません。

この記事では、就労移行支援でスタッフや他の利用者と合わない、いじめを受けていると感じた時に、あなたが取るべき具体的な行動を3つのステップで徹底解説します。さらに、事業所を変更する際の手順や、次の事業所選びで失敗しないためのポイントもご紹介します。

この記事を読み終える頃には、あなたの心のモヤモヤが晴れ、次の一歩を踏み出す勇気が湧いてくるはずです。

記事を読むのが面倒な方のために、AIキャスターによる「ポッドキャスト」を作りました。
読み間違いがありますが、ご容赦ください。

▼就労移行支援の人間関係トラブル対処法:我慢しなくていい!具体的なステップと環境を変える選択肢

それって当たり前じゃないかも?「合わない」「いじめ」の具体例

まずは、あなたの置かれている状況が客観的に見てどうなのか、よくあるトラブル事例と照らし合わせてみましょう。「これって自分だけじゃなかったんだ」と気づくだけでも、少し心が軽くなるかもしれません。

スタッフとのトラブル事例

支援を提供するはずのスタッフとの関係がストレスの原因になることは、残念ながら少なくありません。

  • 高圧的な言動や人格否定
    「そんなこともできないの?」「だからあなたはダメなんだ」といった、あなたの尊厳を傷つける言葉を投げかけられる。
  • 相談しても真剣に取り合ってくれない
    悩みを相談しても「気のせいじゃない?」「もっと頑張らないと」と流されたり、真剣に聞いてもらえなかったりする。
  • 特定の利用者だけをえこひいきする
    お気に入りの利用者とは楽しそうに話すのに、自分には冷たい態度を取るなど、対応に明らかな差がある。
  • 合理的配慮を無視した対応
    事前に伝えてある障害特性への配慮(例:静かな場所での休憩、指示の出し方など)を無視・軽視される。

このような対応は、適切な支援とは到底言えません。場合によっては、障害者虐待防止法における「心理的虐待」に該当する可能性もあります。

他の利用者とのトラブル事例

同じ目標を持つ仲間であるはずの利用者との間で、トラブルが発生することもあります。

  • 悪口や陰口、仲間外れ
    聞こえるように悪口を言われたり、グループワークで意図的に外されたりする。
  • 私物を隠される、作業の邪魔をされる
    休憩中に席を外したら私物がなくなっていた、PC作業中にわざとぶつからられるなど、直接的な嫌がらせ。
  • 無視や威圧的な態度
    挨拶をしても無視されたり、常に睨みつけられたりして、事業所にいるだけで萎縮してしまう。

このような行為は、紛れもない「いじめ」です。

「合わない」と感じるのは、あなたのせいだけではない

たとえ明確ないじめや虐待がなくても、「なんとなくスタッフと価値観が合わない」「事業所の雰囲気が苦手」と感じることもあるでしょう。

就労移行支援は、あなたの大切な時間とエネルギーを使って未来のために投資する場所です。そこで過度なストレスを感じ続ける必要は全くありません。相性が悪い環境で無理をしても、良い結果には繋がりにくいものです。

今すぐできること・やるべきこと|感情的になる前の第一歩

状況を冷静に把握し、具体的な行動に移るためには「準備」が非常に重要です。感情的に行動してしまう前に、まずは以下の2つのことを始めましょう。

やってはいけないNG行動

  • 何も言わずに我慢し続ける
    心身の健康を損なうだけでなく、状況が悪化する可能性があります。
  • 無断欠席を繰り返す
    事業所側との信頼関係が崩れ、いざ相談したいという時に不利になることがあります。休む場合は必ず連絡を入れましょう。
  • 感情的に相手を攻撃する
    相手に反撃の口実を与えてしまい、問題解決から遠ざかってしまいます。

必ずやるべき2つの準備

1. 客観的な事実の記録(5W1H)

相談する際に最も重要になるのが「客観的な事実」です。いつ、誰に、何をされたのかを具体的に記録しておくことで、あなたの主張に説得力が生まれます。手帳やスマートフォンのメモ機能で構いませんので、記録をつけ始めましょう。

【記録のポイント】

項目記録する内容の例
When(いつ)2025年8月18日(月)午前10時30分頃
Where(どこで)〇〇事業所内のPC訓練室で
Who(誰が)利用者のAさんと、スタッフのBさん
What(何を)Aさんに「作業が遅い」と聞こえるように言われた。Bさんはそれを聞いていたが注意しなかった。
How(どのように)周囲にも他の利用者がいる中で、見下すような口調で言われた。
(どう感じたか)非常に悔しく、悲しい気持ちになった。その後の訓練に集中できなかった。

2. 信頼できる第三者への相談

一人で抱え込まず、まずは事業所とは関係のない、信頼できる人に話を聞いてもらいましょう。家族、友人、主治医、カウンセラーなど、あなたの味方になってくれる人です。話すことで気持ちが整理されたり、客観的なアドバイスがもらえたりします。

【3ステップで解決】具体的な対処法ロードマップ

準備ができたら、いよいよ具体的な行動に移ります。以下の3つのステップに沿って進めていくのがおすすめです。

STEP1: 事業所内の信頼できる人に相談する

まずは、事業所内での解決を目指します。ただし、トラブルの相手であるスタッフ本人に直接訴えるのは得策ではありません。

相談相手として適しているのは、管理者やサービス管理責任者(サビ管)です。彼らは事業所全体を管理し、利用者からの相談に対応する立場にあります。

【相談時のポイント】

  • アポイントを取る
    「ご相談したいことがあるので、お時間をいただけますでしょうか」と事前にアポイントを取りましょう。
  • 記録を見せる
    準備しておいた記録を見せながら、「いつ、どこで、誰に、何をされたか」を具体的に、冷静に伝えます。
  • どうしてほしいかを伝える
    「Aさんから私が見えない席に移動させてほしい」「スタッフBさんの言動について、指導してほしい」など、具体的な要望を伝えましょう。

事業所には、利用者の尊厳を守り、安全で安心してサービスを利用できる環境を提供する責務があります。これは障害者総合支援法や障害者虐待防止法にも定められています。まともな事業所であれば、真摯に対応してくれるはずです。

STEP2: 外部の公的な相談窓口を活用する

事業所内に相談しても改善が見られない、または相談できる相手がいない場合は、ためらわずに外部の力を借りましょう。無料で相談できる公的な窓口がたくさんあります。

【悩み別・相談窓口一覧】

相談窓口名こんなときにおすすめ
市区町村の障害福祉担当課就労移行支援事業所の指定・監督を行っている行政機関。最も基本的な相談先。
障害者虐待防止センタースタッフからの言動が「虐待かも?」と感じた時に。匿名での相談も可能。
発達障害者支援センター発達障害の特性に関する悩みも含めて、総合的に相談に乗ってくれる。
地域の相談支援事業所あなたのサービス等利用計画を作成した相談支援専門員に相談する。
法テラス(日本司法支援センター)法的な解決が必要だと感じた場合に、無料で法律相談ができる。

これらの機関に相談することで、行政から事業所へ指導が入るなど、状況が大きく動く可能性があります。

STEP3: 環境を変える「事業所の変更(転所)」を検討する

様々な手を尽くしても状況が改善しない場合、あるいは「もうこの事業所に通うこと自体が限界だ」と感じる場合は、事業所を変更する(転所する)という選択肢を真剣に考えましょう。

【転所を考えるべきサイン】

  • 事業所に行くことを考えると、体調が悪くなる(腹痛、頭痛など)。
  • 相談しても「あなたの受け取り方の問題」などと言われ、まともに取り合ってもらえない。
  • 事業所全体の雰囲気が悪く、改善が期待できない。
  • スタッフの退職・交代が頻繁で、支援体制が安定していない。

あなたにとって、就労移行支援はあくまで「手段」であり、「目的」ではありません。目的は、あなたに合った職場で安定して働くことです。その手段が苦痛でしかないのであれば、ためらう必要はありません。

事業所を辞める・変える前に知っておきたい注意点とポイント

転所を決意した場合に、スムーズに手続きを進め、次の事業所選びで失敗しないためのポイントを解説します。

就労移行支援の利用期間はリセットされる?

就労移行支援の標準的な利用期間は原則24ヶ月(2年)です。事業所を変更した場合、利用期間はリセットされず、前の事業所での利用期間が引き継がれます。

ただし、市区町村の判断によっては、やむを得ない事情があると認められた場合に、利用期間がリセットされたり、延長されたりするケースもあります。これはあくまで例外的な措置であり、必ず認められるわけではありません。

お住まいの市区町村の障害福祉担当課に「まずは相談してみる」というスタンスで確認することが重要です。

次は失敗しない!自分に合う事業所の選び方

次の事業所選びは、絶対に失敗したくないですよね。必ず複数の事業所の見学・体験利用を行い、ご自身の目で確かめることが重要です。

【見学・体験時に確認すべきチェックリスト】

チェック項目具体的な確認ポイント
スタッフの雰囲気・言葉遣いは丁寧か?
・利用者に対して笑顔で接しているか?
・スタッフ同士のコミュニケーションは良好か?
利用者の雰囲気・利用者の表情は明るいか?
・訓練に集中しているか?利用者同士の私語が多すぎないか?
事業所の環境・清掃は行き届いているか?
・パーソナルスペースは確保されているか?
・静かに休憩できるスペースはあるか?
プログラム内容・あなたの希望する職種に合った訓練内容か?
・個別支援計画について、具体的に説明してくれるか?
相談・サポート体制・困った時にすぐに相談できる雰囲気か?
・面談は定期的に行われているか?
・管理者やサビ管は信頼できそうか?

退所・転所をスムーズに進めるための伝え方

現在の事業所に退所・転所の意向を伝える際は、「一身上の都合により」「家庭の事情で」といった理由で問題ありません。詳細を正直に話す義務はありませんが、もし伝える場合は、「〇〇という理由で、環境を変えて頑張りたいと思います」と前向きな形で伝えると、スムーズに進みやすいでしょう。

まとめ:一人で抱え込まないで。あなたには最適な環境を選ぶ権利がある

就労移行支援事業所でのスタッフとの不和やいじめは、決して軽く考えてはいけない問題です。あなたの心と体の健康が、何よりも大切です。

この記事でご紹介した内容を、もう一度おさらいしましょう。

  1. まずは状況を客観視し、事実を記録する。
  2. 事業所内の信頼できる人(管理者・サビ管)に相談する。
  3. 改善しない場合は、市区町村などの外部機関に迷わず相談する。
  4. 最終手段として、あなたに合う事業所に「転所」する権利がある。

どうか一人で抱え込まず、我慢し続けないでください。あなたには、自分に合った環境で、安心して未来のための訓練を受ける権利があります。

この情報が、あなたの辛い状況を乗り越えるための一助となれば幸いです。

【免責事項】
この記事に記載されている情報は2025年8月時点のものです。制度や相談窓口に関する最新の情報は、お住まいの市区町村や各機関の公式サイトで必ずご確認ください。

タイトルとURLをコピーしました